伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』6月22日発売 Kaguya Planetから蜂本みさ「冬眠世代」、麦原遼「それはいきなり繋がった」が収録 | VG+ (バゴプラ)

伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』6月22日発売 Kaguya Planetから蜂本みさ「冬眠世代」、麦原遼「それはいきなり繋がった」が収録

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伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』6月22日発売

伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(早川文庫JA) が2022年6月22日に発売される。

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『新しい世界を生きるための14のSF』には、『なめらかな世界と、その敵』(2019) などで知られる伴名練が選んだ国内新鋭作家の短篇集未収録作品や未書籍化の作品が14編が収録される。多ジャンルで活躍する斜線堂有紀やキレのある短編を次々に発表している麦原遼などが参加している他、伴名練による解説が収録される。

Kaguya Planetからは、蜂本みさ「冬眠世代」、麦原遼「それはいきなり繋がった」が収録

『新しい世界を生きるための14のSF』には、バゴプラが主催するオンラインSF誌Kaguya Planetからも、蜂本みさ「冬眠世代」麦原遼「それはいきなり繋がった」が収録される。Kaguya Planetの掲載作が国内のアンソロジーに収録されるのはこれが初めて。

蜂本みさ「冬眠世代」は、知性を持つ熊たちの物語。冬が来れば、食料をたくわえる余裕のない貧しい熊は冬眠しなければならない。工場で働く熊のツブテは毎年冬眠を繰り返してきた。冬眠しないで済む裕福な熊との差が寂しいが、冬眠をしている間に見る夢の中では先祖の熊たちの記憶に降りていける。

わずか8,000字の世界の中に、幾代ものクマたちの物語が重層的に重なり合う濃厚な作品だ。

蜂本みさは惑星と口笛主催のプロアマ混合・ジャンル不問のオープントーナメント、ブンゲイファイトクラブの申し子。2019年に第一回ブンゲイファイトクラブで準優勝、2020年の第二回ブンゲイファイトクラブでは見事優勝を果たし、351名の頂点に立った。

西崎憲編『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(柏書房) に短編小説「ペリカン」を寄稿している。また、毎週水曜日21時より、谷脇クリタ、北野勇作と共に「犬と街灯とラジオ」(通称:犬街ラジオ)をツイキャスで配信。朗読やトークを披露している。また2022年にはKaguya Booksから初の単著が刊行される予定になっている。

麦原遼「それはいきなり繋がった」は、ある日突然、左右の反転した〈鏡の世界〉と繋がった世界を描いた小説だ。〈鏡の世界〉とこちらの世界の大きな違いは、〈鏡の世界〉にはあのウィルスによる感染症が流行していないということだ。変貌を遂げていく二つの世界を描いたポストコロナSFだ。

麦原遼は1991年生まれ、ゲンロン 大森望 SF創作講座の2期生。2018年に『逆数宇宙』で第2回ゲンロンSF新人賞優秀賞を受賞してゲンロンSF文庫からデビュー。Toshiya Kameiが英訳した「GかBか(ガール・オア・ボーイ)」(『Sci-Fire 2018』収録)がスコットランドのShoreline of Infinity誌に掲載。『S-Fマガジン』2020年8月号に掲載した「それでもわたしは永遠に働きたい」が大森望編『ベストSF2021』(竹書房) に収録された。

2022年には、『S-Fマガジン』2022年2月号に「レギュラー・デイズ」を、『小説すばる』2022年4月号に「あべこべブレイク」を、異常論文日本SF作家クラブ編『2084年のSF』に「カーテン」を寄稿している。

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第一回かぐやSFコンテスト読者賞、佐伯真洋も

また、第11回創元SF短編賞の最終候補に選出された佐伯真洋「青い瞳がきこえるうちは」も収録される。「青い瞳がきこえるうちは」は、先天的に全盲の卓球選手・白河優輝と昏睡状態にある元チャンピオン・糸川創を描いた卓球SFだ。

佐伯真洋は2016年、初めて書いたSF小説「母になる」で第4回日経星新一賞の最終候補に選出。同作のToshiya Kameiによるの英訳「Becoming a mother」がWelkin Magazineに掲載。VR空間上に作られた知識の階層と、そこに潜って学習をする子どもたちを描いた「いつかあの夏へ」で第1回かぐやSFコンテスト読者賞を受賞。また、Kaguya Planetでは植物船を舞台にしたポストヒューマンSF「月へ帰るまでは」を掲載している。

2022年8月に刊行されるSFアンソロジー『新月』(Kaguya Books) に新作SF短編小説を掲載予定だ。

収録作品は14編

『新しい世界を生きるための14のSF』には、文芸誌、Web、同人誌などから幅広く集められた14の作品が収録される。掲載される14編は以下の通り。(筆者名50音順)

芦沢央「九月某日の誓い」(『小説すばる』2020年2月号)
天沢時生「ショッピング・エクスプロージョン」(『S-Fマガジン』2022年2月号)
黒石迩守「くすんだ言語」(『伊藤計劃トリビュート2』ハヤカワ文庫JA)
琴柱遥「夜警」(ゲンロンSF創作講座サイト)
佐伯真洋「青い瞳がきこえるうちは」(note)
坂永雄一「無脊椎動物の想像力と創造性について」 (『NOVA 2021年夏号』河出文庫)
斜線堂有紀「回樹」(『S-Fマガジン』2021年2月号)
高橋文樹「あなたの空が見たくて」(同人誌『Sci-Fire 2019』)
蜂本みさ「冬眠世代」(Kaguya Planet)
宮西健礼「もしもぼくらが生まれていたら」(『宙を数える』創元SF文庫)
麦原遼「それはいきなり繋がった」(Kaguya Planet)
murashit「点対」(同人誌『紙魚はまだ死なない – リフロー型電子書籍化不可能小説合同誌』)
八島游舷「Final Anchors」(電子書籍・早川書房)
夜来風音「大江戸しんぐらりてい」(同人誌『月猫通り2168・69合併号』)

伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』(早川文庫JA) は2022年6月22日(水)発売。

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今年は日本SFアンソロジーがあつい!

今年の夏は日本SFアンソロジーが盛り上がっています。『新しい世界を生きるための14のSF』に加えて、日本SF作家クラブ編『2084年のSF』 、大森望編『ベストSF2022』 (竹書房文庫) 、『新月』(Kaguya Books)、 『Genesis 05』(東京創元社) と、各レーベルから5冊の日本SFアンソロジーが刊行されます。

SFメディアバゴプラでは、「日本SFアンソロジーの季節」と題して、各アンソロジーの魅力を紹介し、日本SFアンソロジーを盛り上げていく企画を実施します。企画を通して、出版社や組織の枠を越えた国内SFアンソロジーの魅力を読者の皆さんにお届けしたいと思います! 詳細はこちらから。

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