『ヴェノム3』先行上映スタート
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のDolby Cinema・Filmed for IMAXでの先行上映が2024年10月25日(金) よりスタート。先行上映は27日(土) まで行われ、11月1日(金) より一般上映を開始する。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は2018年に公開された『ヴェノム』、2021年に公開された『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』に続く「ヴェノム」シリーズ第3弾。トム・ハーディ演じるエディ・ブロックとヴェノムの物語はこの『ヴェノム3』で一旦幕を閉じるとされている。
今回は、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』に待っていた結末について、気になるポイントを考察してみよう。「ヴェノム」シリーズはこれで本当に終わることになるのだろうか。なお、以下の内容は『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の結末についてのネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ヴェノムは死んだ?
ヴェノムに訪れた危機
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の最大の注目ポイントは、「ヴェノムは死ぬのか?」ということだった。『ヴェノム3』は「ヴェノム」シリーズ最終章と銘打たれ、公開前から「ヴェノムとエディが一緒にいたら世界が滅びる」という内容が描かれると喧伝されてきた。日本の「ヴェノム」公式SNSでも「#ヴェノムのさよならまでにしたい20のこと」というハッシュタグが使用されるなど、ヴェノムが本作で死ぬのでは、という疑念は深まるばかりだった。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では大物ヴィランであるヌルが登場。“シンビオートの創造主”というゲームチェンジャーの登場で、ヴェノムと全てのシンビオートにこれまでにない危機が訪れる。
そして重要だったのは、ヌルほど強力なヴィランであるヌルをどのようにして閉じ込めておくかということ。『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では、“コーデックス”という鍵がなければヌルは解放されないということになっていた。だが、そのコーデックスがヴェノムとエディ・ブロックの身体に生成されたことで、ヴェノムはヌルから狙われることになるのだ。
コーデックスは、シンビオートが別の生き物と共生し、その生き物が一度死んだ後に蘇生した場合に生成されることになっていた。映画『ヴェノム』でヴェノムがエディ・ブロックを蘇生したことで、二人の間には“コーデックス”が生成されており、ヴェノムが完全体になった時にコーデックスが現れるようになっていた。
ヌルは同じく自らが創造したシンビオートハンターのゼノファージを地球に送り込み、ヴェノムとエディはゼノファージから追われることになる。新しい住処を求めて地球へやってきた他のシンビオート達もゼノファージの餌食となり、ヴェノムは次々と仲間を失っていくことになる。
ヴェノムの最後…?
ヴェノムとエディがコーデックスを持っていることがヌルに伝わると、ヌルは複数のゼノファージを地球へと送り込む。一匹でも苦戦していたのに、複数のゼノファージを前にしてヴェノムとエディはいよいよ窮地に立たされることに。ここでヴェノムは二人で生き延びることを諦めるのだった。
ヴェノムはエディとニューヨークに行って自由の女神像を見るという約束をしていた。だが、傷ついたエディを前にしてヴェノムはその夢が叶わないことを悟り、最後の作戦に出ることになる。変幻自在で他の生物に寄生できるでシンビオートの強みを活かし、全てのゼノファージを自らに取り込むと、エリア51に設置されていた酸のシャワーを浴びたのだ。
エディに「お前のことを忘れない。俺のことも忘れないでくれ」と告げたヴェノムは、最後に「今は、さよなら」と言う。ストリックランドが自爆し、ヴェノムとゼノファージはエリア51ごと吹き飛ぶことに。シンビオートは火に弱いため、ヴェノムは炎に焼かれてしまった可能性が高い。
映画『ヴェノム』のラストでは、ヴェノムはロケットの爆発からエディを守るために「さらばだ、ヴェノム」と言ってエディの盾になった。この時もヴェノムは死んだかに思われたが、ヴェノムはちゃんとエディの中で生きていた。
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のラストで、ベッドの上で目を覚ましたエディは「ひどい夢を見た」と言ってヴェノムに呼びかけるが、米軍の将軍はヴェノムはもういないと告げる。今度こそ、ヴェノムは死んだようだ。
ヴェノムが生きてる可能性は? 4つの要素を考察
だが、エディを知るヴェノムが今後の作品に登場する可能性はまだある。映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』までに描かれた4つの要素から紐解いていこう。
MCUに登場?
まず、思い出されるのは映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) のミッドクレジットシーンでヴェノムとエディが元のユニバースに戻された時、バーカウンターにヴェノムの一部を残していったことだ。『ヴェノム:ザ・ラストダンス』でもシンビオートがその一部を排出して残していく行動について、ストリックランドが“生存戦略”として触れていた。
『ヴェノム3』では、ヴェノムとエディが元のユニバースに戻るシーンから描き直されたが、シンビオートがバーカウンターに残される描写はカットされていた。だが、マーベル・スタジオが展開するMCUのメインユニバースであるアース616にヴェノムの一部が残っているとすれば、今後、MCUにヴェノムが登場する可能性もあるだろう。
エリア55で生き延びた?
すでに書いた通り、ヴェノムがその一部を残していったのはアース616だけではない。SSUのユニバースでもバーカウンターにコインと一緒にヴェノムの一部を残していき、ストリックランドがそれを回収している。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のポストクレジットシーンでは、SSUのユニバースのバーテンダー、シンビオートを入れていたカプセル、そしてゴギブリが登場。ゴギブリは核爆発も生き延びる生き物として劇中で紹介されていた。エリア51の地下深くでシンビオートの研究をしていたエリア55から、生き延びたシンビオートが世に放たれる可能性は大いにある。
集合意識に眠る可能性
しかし、上記の二つのセオリーには疑問もある。ヴェノムが射出したヴェノムの“欠片”は、ヴェノムと同一の個体と言えるのか? ということだ。
映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、クレタス・キャサディがエディに噛みつき、ヴェノムの成分を摂取したことでカーネイジが生まれた。『ヴェノム3』でトキシンを宿していたパトリック・マリガン刑事はカーネイジの一部を取り込んだと見られ、シンビオートが分裂して別の宿主を持つと別のシンビオートが生まれるというのが定説だ。
ということはやっぱり、エディを知るあのヴェノムはもう帰ってくることはないのだろうか。いや、可能性はまだある。『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストでは、ヴェノムがシンビオートは800億光年に及ぶ集合意識による知識があると話し、エディにその片鱗を見せようとした。
MCU「スパイダーマン」シリーズの脚本家を務めてきたクリス・マッケナは、シンビオート同士が脳の中を接続し、様々なユニバースの知識を共有できたことで、エディとヴェノムをアース616のユニバースに呼び寄せる結果を生んだと話している。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、ドクター・ストレンジの魔法が失敗したことで、他のユニバースからスパイダーマンの正体を知る人をアース616に呼び寄せてしまった。
トビー・マグワイアが演じるスパイダーマンの世界では、『スパイダーマン3』(2007) でピーター・パーカーがシンビオートに寄生されて“ブラック・スパイダーマン”になった。ここでシンビオートはスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることを知っていたため、その知識を共有したヴェノムがアース616に召喚されたということだ。
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストでアース616に飛んだ後、ヴェノムはテレビに映るピーター・パーカーを見て「こいつだ」と言っていた。他のシンビオートと記憶を共有したから会ったことがないピーターのことを知っていたのだ。
このピーター・パーカーの例がエディ・ブロックに当てはまることがあるかもしれない。ヴェノム本体は消えてしまったが、シンビオートの接続された知識を通して記憶が共有されるとすれば……。ヴェノムがアース616に残したシンビオートがエディ・ブロックとの記憶を得て、マルチバース展開によってエディと再会する、ということもあり得るだろう。
ヴェノムの意味深な言葉
思えば、死にゆくヴェノムが「俺を忘れないでくれ」と言うのは分かるが、すぐに死ぬつもりなのに「お前のことを忘れない」と言うのは少し変ではある。あの時ヴェノムは、死んでも集合意識(クラウドメモリ)によって記憶を失うことない、と伝えたかったのではないだろうか。
それに、『ヴェノム』で「さらばだ(Goodbye)」と言った時と違い、『ヴェノム3』ではヴェノムは「今は、さよなら(It’s just bye for now)」と言った。あの言葉は、いずれエディの元に必ず帰ってくるという宣言だったはず。そう信じて、今はエディとヴェノムの思い出を噛み締めよう。
映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は2024年10月25日(金) から27日(日) にDolby Cinema・Filmed for IMAXで先行上映。11月1日(金) より一般上映開始。
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』サントラは配信中。
2024年6月20日に刊行された石川裕人訳のコミック『ベスト・オブ・ヴェノム』は発売中。
『ヴェノム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』はBlu-rayが発売中。
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