ネタバレ考察『ヴェノム:ザ・ラストダンス』MCU合流はどうなる? あのシーンの背景を監督が語る | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『ヴェノム:ザ・ラストダンス』MCU合流はどうなる? あのシーンの背景を監督が語る

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『ヴェノム:ザ・ラストダンス』先行上映開始

「ヴェノム」シリーズ最新作にして「最終章」と銘打たれた映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』が2024年10月25日(金) よりDolby Cinema・Filmed for IMAXでの先行上映をスタート。先行上映は27日(土) まで行われ、11月1日(金) より一般上映を開始する。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は前作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) 以来の新作になるが、ヴェノム&エディの登場はMCU映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) 以来でもある。ソニー・ピクチャーズが展開するSSUと、マーベル・スタジオが展開するMCUは合流することになるのか、今回は『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のネタバレありで解説&考察していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の内容に関するネタバレを含みます。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』MCUとの合流をネタバレ考察

『ノー・ウェイ・ホーム』から繋がったあのシーン

映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の冒頭では、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のミッドクレジットシーンの続きが描かれる。『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のミッドクレジットシーンでMCUのメインユニバースであるアース616に飛ばされたヴェノムとエディは、『ノー・ウェイ・ホーム』のラストで結局スパイダーマンには会わないまま元のユニバースに戻ったのだ。

ヴェノムとエディがMCUのユニバースに飛ばされたのは、ヴェノムがシンビオートの集合意識にアクセスし、様々なユニバースのシンビオートの知識を得たからだ。サム・ライミ監督版の『スパイダーマン3』(2007) ではシンビオートがピーター・パーカーに寄生して“ブラック・スパイダーマン”になったため、ドクター・ストレンジの魔法が呼び寄せた“スパイダーマンの正体を知っている人物”に含まれたのだ。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では、ヴェノムとエディはアース616のメキシコのバーから、SSUのユニバースのバーに戻されている。結局二人は何が起きていたかを知る余地もなく、ヌルとコーデックスをめぐる戦いに巻き込まれていくことになる。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のポストクレジットシーンには、すでに“MCUデビュー”を果たしているバーテンダーが登場したものの、やはりMCUと直接繋がるような要素はなかった。一方で、ミッドクレジットシーンにはヌルが再登場。宇宙より以前から存在しているという強大なヴィランであり、SSUとは少し規模感の桁が違う。ヌルを巡ってMCUのマルチバース展開と合流する展開は、“状況証拠”程度には示されている。

また、『ヴェノム3』では何度か「別世界への扉は既に開かれている」という表現が用いられた。これはエイリアンは既に地球にやってきているという意味で使われていたものだが、ヌルを通してSSUでもマルチバースの扉が開くことが示唆されていたのかもしれない。

監督が語った背景

では、「ヴェノム」シリーズの脚本を手掛け、『ヴェノム3』で初監督を務めたケリー・マーセル監督はMCUとの合流についてどう発言しているのだろうか。米Hollywood Reporterのインタビューで、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の冒頭がMCUで描かれたシーンから始まることについて、マーベルの幹部が関与していたのかという質問にこう答えている。

いえ、関与はしていません。というのも、MCUに登場したシーンは私たちが既に撮影したものだったからです。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のヴェノム登場シーンはソニーの「ヴェノム」チームによって撮影されたものであることを認め、続けて『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のラストは「既に存在していました」と明言している。ソニーとしては、MCUでの出来事によって『ヴェノム3』の内容が変わることは想定していなかったということである。

実はマーベル側では、『ノー・ウェイ・ホーム』での自由の女神像の決戦にヴェノムが加わる案も議論されたことが明かされている。この案が実現されていれば、「一緒に自由の女神像を見たい」というヴェノムの願いも味わいが違うものになってしまっていただろう。

結果的に、ヴェノムとスパイダーマンが出会わなかったことで『ヴェノム:ザ・ラストダンス』におけるヴェノムとエディの物語は、より純度の高いものになったと言える。『ヴェノム3』を観ても、ヴェノムとエディの物語を完成させたかったというケリー・マーセル監督の気持ちも分かる。では、ヴェノムがわざわざMCUの世界を訪れたことの意味はどこにあるのだろうか?

MCUにはヴェノムの欠片が?

この疑問についても、ケリー・マーセル監督は発言している。『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ではカットされていたが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ではヴェノムが元のユニバースに戻った後に、ヴェノムの一部がMCUのユニバースのバーカウンターに残された。

『ザ・ラストダンス』では、ヴェノムがソニーのユニバースでもバーカウンターに自分の一部を残していく描写がある。軍人のレックス・ストリックランドは、これにウイルスの生存戦略だと言及しているが、ではMCUのユニバースに残されたヴェノムの欠片はどうなったのだろうか。

上記のインタビューで「MCU版のメキシコのバーに残されたヴェノムの欠片、あれがどうなるかは誰にも分からないということですか?」と聞かれ、ケリー・マーセル監督はこう答えている。

現時点では、誰にも分からないと思います。

詰まるところ、ヴェノムのMCU合流について明かせることはまだないということのようだ。ヴェノムとエディがMCUの世界を訪れた意味があったとすれば、①MCUの世界にもヴェノムが現れる可能性が生まれたこと、②シンビオートがユニバースを超えて知識を共有できる様子が描写されたこと、この二点に絞られる。では、ヴェノムがMCUに登場するとすれば、どのような形になるのだろうか。

考察:ヴェノムはいかにしてMCUに合流するのか

『スパイダーマン4』に登場する?

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』公開と時を同じくして、MCUでは『スパイダーマン4』が『アベンジャーズ/ドゥームズデイ(原題)』と『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ(原題)』の間に公開されることが発表された。

次のMCUの大規模クロスオーバー作品である『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』では、トニー・スタークを演じてきたロバート・ダウニー・Jr.がヴィランのドクター・ドゥーム役で登場する。ピーター・パーカーはトニー・スタークの最後を看取ったが、今度はピーター・パーカーが死ぬとすれば。そして、死んだピーターに寄生していたシンビオートがピーターを蘇生するとすれば。

『スパイダーマン4』では、ピーター・パーカーにコーデックスが生成され、”神”レベルの大ヴィランであるヌルはユニバースを跨いでコーデックスを奪おうとするのではないだろうか。ヌルの解放が実現すれば、マルチバースのスーパーヒーローが総出で戦う『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』にへと繋がっていく可能性もあるだろう。

SSUでのMCUコラボはどうなった?

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では明確にMCUとの合流に繋がる展開がなかった。しかし、SSU作品では、映画『モービウス』(2022) にはMCUからヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスが登場。スパイダーマンの正体を知るヴェルチャーはヴェノムとは逆にドクター・ストレンジの魔法の影響でSSUのユニバースに来てしまっていた。

2024年12月13日(金) 公開のSSU映画『クレイヴン・ザ・ハンター』では、主人公のクレイヴン・ザ・ハンターが原作コミックと同じ流れでシニスター・シックスを結成する可能性もある。シニスター・シックスはスパイダーマンの宿敵になるヴィランチームで、『モービウス』のポストクレジットシーンではヴァルチャーがモービウスにチームアップを持ちかけていた。

一方で、SSU自体が興行的に苦しい状況にあり、稼ぎ頭の「ヴェノム」シリーズが完結した中で、シニスター・シックス結成の流れがどこまで描かれるのか、SSUがこのまま継続されるのかどうかは雲行きが怪しい。ソニーとしては「スパイダーバース」シリーズが好調なだけに、SSUの今後の計画は『ヴェノム3』と『クレイヴン・ザ・ハンター』の興行成績次第という部分もあるだろう。

そうした状況であればこそ、『スパイダーマン4』をはじめとするMCU側でヴェノムの次の展開が描かれる可能性は大いにある。ともあれ、SSUとMCUの次の展開を注視しよう。

映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は2024年10月25日(金) から27日(日) にDolby Cinema・Filmed for IMAXで先行上映。11月1日(金) より一般上映開始。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』公式

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『ヴェノム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』はBlu-rayが発売中。

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Source
Hollywood Reporter

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の脚本家が語ったヴェノム登場シーンの裏側はこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』エンディングからミッドクレジット、ポストクレジットの解説はこちらの記事で。

『ヴェノム4』はあるのか? 監督が語った今後と続編の可能性についてはこちらから。

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テディ・ペインの今後についての考察はこちらの記事で。

 

2026年7月公開が決定した『スパイダーマン4』の最新情報はこちらから。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ラストの解説はこちらから。

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『モービウス』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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