ネタバレ!「皆の声を聞いた」エディ&ヴェノムのロマンスの変遷を監督が語る『ヴェノム:ザ・ラストダンス』 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ!「皆の声を聞いた」エディ&ヴェノムのロマンスの変遷を監督が語る『ヴェノム:ザ・ラストダンス』

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『ヴェノム:ザ・ラストダンス』公開

映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』が2024年11月1日(金) より全国の劇場で公開された。本作は、『ヴェノム』(2018)、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) に続く『ヴェノム3』として公開され、シリーズの最終作と位置付けられている。

今回は、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』で長編映画監督デビューを果たしたケリー・マーセル監督のコメントを通して、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』で更に進化/深化したヴェノムとエディの関係について迫ってみよう。なお、以下の内容は本作の結末に関するネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の結末に関するネタバレを含みます。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』エディとヴェノムはどうなった?

「最終章」と銘打たれた映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では、エディとヴェノムの間に”コーデックス”と呼ばれる物質が生成され、これがシンビオートの創造主ヌル解放の鍵となる。ヌルはこのコーデックスを手に入れるためにシンビオートハンターのゼノフォーゼを派遣し、ヴェノムを含む地球にやってきたシンビオート達は窮地に立たされることになる。

ゼノフォーゼと米政府からの逃避行を続けるヴェノムとエディだったが、目的地のニューヨークに着けば自由の女神像を見て、ブロードウェイミュージカルを観て……とプランを立てている。3作目ということもあって、ヴェノムには「ミュージカルは嫌いだったか?」とエディを気遣う優しさが芽生えている。

一方のエディも、エイリアンを怖がるムーン家の末っ子に「エイリアンはいない」と言ってやりながらも、終盤ではヴェノムの存在を明かした。ヴェノムも「怖がらないで」と、エディが助けてやりたいムーン家に優しく接している。ヴェノムは生存本能の象徴のような存在として登場したが、エディとの旅路を経て、とても人間的になったように思う。

だが、エディとヴェノムが一緒にいることで地球が危機に晒される。ヴェノムはついに自分が死に、エディを生かすことを選んだのだった。『ヴェノム3』のラストでエディはヴェノムと一緒に戦い、生活をして、夕焼けを見た思い出を振り返っている。「ヴェノム」シリーズの最終章は、ヴェノムとエディの物語の締めくくりとして描かれることになった。

監督が語った“ロマンス”の背景

気になるのは、「ヴェノム」シリーズの過去2作で登場したミシェル・ウィリアムズ演じるアン・ウェイングが『ヴェノム:ザ・ラストダンス』には登場しなかったことだ。『ヴェノム』はエディとアンのロマンスを中心において幕を開けたが、最後はエディとヴェノムの物語で幕を閉じた。この転換について、シリーズ全作の脚本に携わっているケリー・マーセル監督が語っている。

The Hollywood Reporterのインタビューでは、同監督はインタビュアーから「『ヴェノム』ではヴェノムとスタン・リーがエディにアンを諦めないように助言している。真のラブストーリーがエディとヴェノムの間にあることが分かるまで、エディとアンのロマンスの再燃が当初の計画だったのではないか」と指摘されている。これに対し、ケリー・マーセル監督はこう答えている。

えぇ、そうだと思います。私たちはファンの皆さんの声を聞きます。各作品の後に、私たちは振り返りを行い、皆さんが何を好んで何を好まなかったのかを確認します。そして、皆さんがヴェノムとエディの関係に熱くなっていることは明らかでした。『ヴェノム』ではドクター・ダン(アンの婚約者)も好感度が高かったんです。なので、私たちは「皆が大好きなリード(・スコット、ダン役)を呼び戻さなきゃ」と思ったんです。

『ヴェノム2』のストーリーは一緒に暮らさざるを得なくなって、お互いをおかしくさせる二人(ヴェノムとエディ)の話になると感じました。同作で二人が別れるのは7年目の浮気のようなもので、カーネイジとシュリークと対峙しながら、それを経験するというのが2作目のあらすじでした。これらの映画の軸になっていたのは、いつもヴェノムとエディの関係でした。

ケリー・マーセル監督は当初はエディとアンのロマンスを継続させる可能性があったことを認め、ファンの声を聞いてヴェノムとエディの関係を中心としたシリーズに移り変わっていったことを明かしている。カメオ出演した故スタン・リーの伏線を放棄してでも、ヴェノム×エディの物語に舵を切ったのは英断だったと言っていいだろう。

徐々に現れた変化

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の公開後には、エディとヴェノムが互いを愛しているかどうかを言い争う未公開映像公式から公開されたことも。同作を手がけたアンディ・サーキス監督も同作を「ラブストーリー」と表現した。エディとヴェノムの関係に皆が注目していることは明白であり、ソニー・ピクチャーズは徐々に現在の方向性を固めていったのだろう。

思えば『ヴェノム3』ではヴェノムはエリア55でエディの身体に戻るため、一時的にサディ・クリスマスの身体に寄生した。『ヴェノム』『ヴェノム2』ではアンの身体を借りており、アンには“シー・ヴェノム”となる素養があるかのように描かれていた。しかし、『ヴェノム3』ではクリスマスに寄生しており、ヴェノムはわりかし誰にでも寄生できるようになっていた。これも設定が微妙に変更された点と言えるかもしれない。結果的に、ヴェノムはエディに自ら好んで寄生しているという側面が強調されることになっている。

なお、ケリー・マーセル監督は『ヴェノム』では他の三人の脚本家と共に共同脚本を、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ではトム・ハーディと共同脚本を、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』では単独で監督・脚本を手がけている。SSUの作品で女性監督が監督と脚本を単独で手がけたのは本作が初めてのことだった。

ケリー・マーセル監督は、やはりヴェノムとエディの物語はこれで終わりとしつつ、「スタジオが望むなら」と前置きした上で、「どのように続くのかは分かっている」と語った。エディとヴェノムが再会できる日は来るのか。今は二人の思い出に浸って、思いを馳せよう。

映画『ヴェノム:ザ・ラストダンス』は2024年11月1日(金) より全国の劇場で上映開始。

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Source
The Hollywood Reporter

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

『ヴェノム:ザ・ラストダンス』でヴェノムは死んだのか? 再登場についての考察はこちらの記事で。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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