ネタバレ解説『サンダーボルツ*』タスクマスターはどうなった? 監督が語った真相とは | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『サンダーボルツ*』タスクマスターはどうなった? 監督が語った真相とは

©︎2025 Marvel

映画『サンダーボルツ*』公開

MCU映画最新作『サンダーボルツ*』が2025年5月2日(金) より劇場で公開された。『サンダーボルツ*』は、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) のエレーナ・ベロワやレッド・ガーディアン、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のバッキー・バーンズやジョン・ウォーカーといった面々が登場し、チームアップするクロスオーバー作品だ。

個性豊かなメンバーが揃う『サンダーボルツ*』のメンバーの中でも、映画公開前から注目を集めているキャラクターがいる。それは、映画『ブラック・ウィドウ』のヴィランとして登場したタスクマスターだ。

タスクマスターは『サンダーボルツ*』の予告映像や場面写真における登場回数が少なすぎるとして話題となった。また、『アベンジャーズ/ドクター・ドゥーム』のキャスト発表においてはタスクマスターを演じたオルガ・キュリレンコの名前がなかったことでも注目を集めた。

映画『サンダーボルツ*』でタスクマスターはどうなったのか。今回はその結末を振り返り、ジェイク・シュライアー監督が語った背景も紹介していこう。なお、以下の内容は本編の重要なネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の内容に関するネタバレを含みます。

映画『サンダーボルツ*』タスクマスターはどうなった?

まさかの展開

映画『サンダーボルツ*』では、ヴァルが経営していたOXE社で行っていた非人道的な人体実験の証拠を隠滅するために、ヴァルのエージェントであったエレーナ、ゴースト、ジョン・ウォーカー、そしてタスクマスターがOXEの施設に招集される。ヴァルの狙いは四人を殺し合わせた上で焼き払い、OXEの悪事を知る証人を消し去ることだった。

その意図を知らないままエレーナ、ゴースト、ジョン・ウォーカー、タスクマスターの四人は交戦し、ゴーストがタスクマスターの頭を撃ち抜いたのだった。なんとあっけない結末。そこから一同は結託してサンダーボルツ結成に向けて動き出すことになる。

つまり、タスクマスターがプロモーションにほとんど登場していなかった理由は、タスクマスターがサンダーボルツに加わることなく早々に退場することを意味していたのである。ウォッチタワー(旧アベンジャーズタワー)に立つタスクマスターの映像や画像も公開されていたが、これは序盤の展開を隠すためのミスリードだったようだ。

これまでのタスクマスター

タスクマスターは2021年に公開された映画『ブラック・ウィドウ』で登場。ブラック・ウィドウを養成するレッドルームの用心棒のような存在だったが、後にレッドルームを運営するドレイコフの娘アントニアであったことが明らかになる。

かつてナターシャ・ロマノフはレッドルームを抜けてS.H.I.E.L.D.に所属するために、テストとしてブダペストでドレイコフの暗殺任務に取り組み、アントニアを巻き添えにして任務を遂行していた。しかし、アントニアは顔の火傷と瀕死の重症を負いながらも生き延び、ドレイコフにチップを埋め込まれて暗殺兵器として利用されていた。

『ブラック・ウィドウ』のラストではナターシャがアントニアにかけられた洗脳を解いて謝罪。世界に散らばったウィドウの洗脳を解くという任務を得たエレーナ、アレクセイらと共に飛び去って行った。

タスクマスターのその後

『ブラック・ウィドウ』公開時、タスクマスターを演じたオルガ・キュリレンコはアントニアについて、「自分のアイデンティティのために戦うキャラクターですが、恐らくその戦いからは抜け出せません」と語っている。また、「当然、悪の親玉が消えたとしても、他の人物が同じことをやろうとするでしょう」と、ドレイコフの死後もタスクマスターを利用しようとする何者かに狙われるのではないかと予想していた。

映画『サンダーボルツ*』での登場は『ブラック・ウィドウ』以来となり、タスクマスターはエレーナと同様にヴァルの下で殺しのエージェントを担っていたことが明らかになっている。ドレイコフの支配から逃れたアントニアだったが、結果的にはヴァルに目をつけられて殺し屋の道を歩み、早すぎる死を迎えたのだった。

なお、映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) では元ウィドウのヘレンが闘技場で登場した。ドラマ『ホークアイ』(2021) では、洗脳を解こうとエレーナが接触した元ウィドウが普通の暮らしを手に入れていたという展開も描かれた。全てのウィドウが解放後も殺し屋を続けたというわけではなく、中でもエレーナやアントニアは裏稼業から足を洗えなかったということなのだろう。それは彼女らに力があるが故の結果だったのかもしれない。

監督が語ったタスクマスターの“死”

『サンダーボルツ*』が必要としていたもの

しかし、タスクマスターは本当に死んだのだろうか。目を撃たれたようだったが、ドラマ『ホークアイ』でウィルソン・フィスクは目を撃たれても生きていたので、目を撃たれたぐらいでは死なないというパターンもMCUではあり得る。

映画『サンダーボルツ*』で監督を務めたジェイク・シュライアーは、Brandon DavisのYouTubeでインタビューを受け、本作におけるタスクマスターの扱いについて明言した。ジェイク・シュライアー監督によるとタスクマスターはやはり死んでおり、すでに怒ったファン達からのメッセージも受け取っているという。それに対して「理解できます」とした上で、こう話している。

マーベルで仕事をすること、ケヴィン(・ファイギ)とルイス(・デスポジート)と仕事をすることの良い点は、彼らは恐れないということです。その映画にとって正しいと考えることであれば、思い切ったことをやります。

(中略)

この映画は少し迫力に欠けるように感じていました。それはそれでR指定にはならないかもしれませんが、誰も退場させず、そういう雰囲気も持ち込まないのであれば、作品に必要な緊張感を与えることができるのか? もちろん、犠牲であり悲しいことでした……喜んでやったわけではありません。

(タスクマスターの死を)もっと後に持っていこうという話もありました。しかし、そうするとあの瞬間の悲しみが映画の残りのパートにかかりすぎて、私たちが本当に気づかなければならないものから気を散らしてしまう気がしたんです。

まず、ジェイク・シュライアー監督は『サンダーボルツ*』の“物語における要請”として誰かが死ぬ必要があったということを明かしている。確かにタスクマスターの死によって、ヴァルは本気なのだということは伝わった。だが、タスクマスターの死の“意味”についてはどうだろうか。

エレーナの言葉

ゴーストがやらなければ、タスクマスターがウォーカーを殺したでしょう。彼女らは皆、それが仕事なんです。殺し屋の仕事です。だからこそ、とても悲しい。もう一方の観点では、このキャラクター達がたどり着いた場所、その状況を見ているということでもあります。

(作品の後半で)エレーナがこの件に触れるのは、願わくば、ささやかではあるけれど、起きたことを気にかけているということを示したいという気持ちがありました。ゴーストに聞かれて彼女は「えぇ、彼女は大変な人生だった。たくさんの人を殺して、殺された。いつか私たちがそうなるように」と言うのです。

ですから、気まぐれや投げやりな気持ちでやったのではありません。悲しいことではあるけれど、私たちのテーマや他のキャラクター達に何が起こるかを伝えるために、死を描いたんです。(タスクマスター役の)オルガは私たちと共にその撮影に挑んでくれました。簡単なことではなかったでしょう。

タスクマスターことアントニアは物語の要請によって死んでしまったということに変わりはないが、同時にレッドルームを離れた後も殺し屋稼業を選んだが故に行き着いた末路だったということなのだろう。そして、その結末はエレーナ、ゴースト、ウォーカーの誰にでも起こり得たのだ。

とはいえ、やっぱりタスクマスターの物語はもっと見てみたかったし、サンダーボルツもといニュー・アベンジャーズのメンバーに彼女が加われなかったことも残念だった。ナターシャやワンダといった女性キャラ達は長らく弔われずにいた。アントニアにはせめてニュー・アベンジャーズによる弔いの機会がもたらされますように。

映画『サンダーボルツ*』は2025年5月2日(金) 公開。

『サンダーボルツ*』公式

本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。

『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。

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コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。

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Source
Brandon Davis YouTube

『サンダーボルツ*』ラストのネタバレ解説&考察はこちらの記事で。

『サンダーボルツ*』のラストを受けてアベンジャーズはどうなるのか、ネタバレ考察はこちらから。

ケヴィン・ファイギが明かした『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でドクター・ドゥームと戦う5大勢力と、同作の出演キャストについてはこちらの記事で。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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