ネタバレ解説&考察『サンダーボルツ*』ラストの意味は? ポストクレジットのアレはMCUをどう変える? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&考察『サンダーボルツ*』ラストの意味は? ポストクレジットのアレはMCUをどう変える?

©︎2025 Marvel

映画『サンダーボルツ*』公開

MCU映画第36作目『サンダーボルツ*』が2025年5月2日(金) より日米で同時公開を迎えた。本作は、MCU作品の中では『エターナルズ』(2021) 以来となる続編ではないオリジナルタイトルの映画作品となる。一方で、これまでの映画やドラマで活躍を見せてきたエレーナ・ベロワやバッキー・バーンズが集結して新たなチーム・サンダーボルツが結成される。

2026年に『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の公開を控え、MCUの物語はどんな進展を見せたのか、今回は映画『サンダーボルツ*』のラストの展開について、ネタバレありで解説&考察していこう。なお、以下の内容は結末に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の内容及び結末に関するネタバレを含みます。

映画『サンダーボルツ*』ネタバレ解説

ヴァルとOXE

映画『サンダーボルツ*』では、意外にもヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌことヴァルがエレーナ・ベロワやジョン・ウォーカーらサンダーボルツのメンバーになると思われていた面々を抹殺するために追うという展開が描かれた。

驚いたのは、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) に登場したタスクマスターが早々に退場したことだ。予告やプロモーションにおけるタスクマスターの出番が少なすぎることから、ファンの間ではタスクマスターは死ぬのではという予測は立っていた。それでも他のメンバーと共にウォッチ・タワーに集結しているタスクマスターの画像もリリースされていたため、早々の退場には驚かされた。もうちょっと活躍が見たいところだった。

『サンダーボルツ*』の冒頭では、エレーナ・ベロワはドラマ『ホークアイ』(2021) に引き続きヴァルの下で働いている。映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022) でCIA長官に就任したことが明かされたヴァルは、OXEという会社を運営していたことも明かされる。どうやらエレーナはこれまで政府ではなくOXEの仕事をこなしてきたようだ。

OXEは原作コミックにも登場する組織で、バッキーは会長のヴァルにOXEのリソースを使ってサンダーボルツを結成することを提案する。映画『サンダーボルツ*』はその設定をうまく転用し、ヴァルがOXEでの非人道的な実験を議会に追求される中、エレーナらエージェントが証拠隠滅のために消されそうになるという展開が描かれている。

エレーナ、ジョン・ウォーカー、ゴーストはOXEの施設で被検体になっていたボブと逃げ出すが、ボブはその力を目覚めさせた後にヴァルらに捕獲されてしまう。OXEは人体実験を繰り返して人工的にスーパーヒーローを作り出そうとしていたのである。スーパーヒーローを作り出し政府と癒着する企業を描いたドラマ『ザ・ボーイズ』(2019-) を想起させる展開だ。

サンダーボルツ結成

娘のエレーナが心配で迎えに来たレッド・ガーディアンことアレクセイ、下院議員になりヴァルを追求するためにエレーナらを証人として捕獲しに来たバッキー・バーンズが加わり、5人は“サンダーボルツ”としてチームアップ。ボブの救出とヴァルの野望の打倒のためにニューヨークへ向かうことになる。

サンダーボルツはエレーナが小さい頃に所属していた1勝もできなかったサッカーチームの名前だった。エレーナは無駄な過去自慢の流れでサッカーチームの名前をあげたのだが、その後、ジョン・ウォーカーが皮肉でサンダーボルツの名前をあげ、アレクセイがそれを喜んだことでチーム名としてサンダーボルツが定着することになった。

それにしてもバイクに乗ったバッキー登場時のシーンは泣けるほど胸熱だった。色々あったけれど、目的を持って自分の意志で“善いこと”をしようとしているバッキー。議員になりながらもバイクで現場に出てくるバッキー。何より元気に頑張っているバッキーを見れただけで『サンダーボルツ*』はチケット代の元がとれる作品だったように思う。

ヴォイドとエレーナの解決法

そうしてチームアップしたサンダーボルツだが、造られたヒーロー・セントリーとなったボブの前に惨敗。チームはバラバラになるが、アレクセイとエレーナは互いに一緒にいたかったと正直な気持ちを吐露し、辛い人生の中で誰かと一緒にいることの大切さが描かれる。

思えば映画『ブラック・ウィドウ』でも、エレーナはアベンジャーズという“家族”がいる姉ナターシャに対して嫉妬心を抱いていた。同作ではやっとエレーナの家族がアッセンブルできたが、その後ナターシャは死に、ドラマ『ホークアイ』ではクリント・バートンへの復讐をやめ、目的もなく孤独に仕事をこなす日々に戻っていた。

エレーナはOXEの施設でボブと心の中の闇=虚無感=ヴォイドを共有していたが、対処法については「抑えつける」と言うことしかできなかった。エレーナがひと足先に「誰かと一緒にいる」という解決策を見つけた一方で、ボブは闇落ちしてヴォイドとなり、ニューヨークの街を闇に包んでいくことになる。

『サンダーボルツ*』ラスト ネタバレ解説&考察

最終ステージはヴォイドの中

映画『サンダーボルツ*』のクライマックスでは、ニューヨークの危機にサンダーボルツの面々が咄嗟に市民を守って賞賛を受ける。ヒーローになろうとしてヒーローになるのではなく、状況がその人をヒーローにする。MCUらしい展開だ。

誰かを倒すのではなく、人々を守ったことでヒーローとなったサンダーボルツ。しかし、最後にはヴォイド/ボブと向き合わなければならない。マーベルでも最強クラスの力を誇るセントリー/ヴォイドだが、ヴォイドが人々を影にしていく能力の真相は、影にされた人はヴォイドの中に入り、過去のトラウマに直面させられるというものだった。

OXEの施設でボブと触れた時にレッドルーム時代のトラウマを見ていたエレーナは、影になること=死ではないと判断して自ら暗黒の中へと入っていく。ジョン・ウォーカーもエレーナの意図を汲んでサンダーボルツメンバー全員でヴォイドの中へと入っていく。ウォーカーもまたOXEの施設でボブと触れ、家族のもとを去った自分の過去を視ていたからだ。

最終決戦は意外にもヴォイドの中で繰り広げられる。この展開はなかなか巧かったように思える。ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』(2025) シーズン1ではニューヨークが舞台になり、デアデビルらニューヨークに住む様々なキャラクターの群像劇が描かれ、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025) ではキャプテン・アメリカとファルコンが頼りになる国際規模のヒーローとして紹介された。

ニューヨークの街を舞台に派手な戦いを繰り広げるとなると、他のヒーローやヴィランの介入があって然るべき、ということにもなる。しかし、『サンダーボルツ*』ではメインの事件を数十分ほどの出来事にまとめ、主戦場をヴォイド/ボブの心の中に設定することで、余計な関与を生んだり、「なぜあの人は来ないのか?」という疑問を視聴者に持たせたりしない工夫がなされている。

MCUが避けてきた描写

エレーナらサンダーボルツはボブに寄り添おうとするが、ヴォイドの力が強すぎる。ヴォイドは鬱の象徴であり、ボブはヴォイドを激しく殴りつけるが、これは自傷の暗喩だろう。ボブの自分との戦いが描かれるが、それだけで解決できる問題ではないのだ。

実は精神疾患を持った人物がヴィランになるという設定は、MCUでは避けられてきた設定だ。MCUにおいてヒーローは「偶然力を手に入れてしまい、それを人々のために使おうとする者」であり、ヴィランは「力を自ら求める者」というケヴィン・ファイギが定めた明快な定義があったからだ。

同じマーベル作品でもソニー・ピクチャーズ主導の「スパイダーマン」シリーズや、ABC制作の『デアデビル』(2015-2018) などにはその定義は当てはまらなかった。ゆえにドクター・オクトパスはスパイダーマンと同じように事故で力を手にいれるが、精神的に不安定になったことでヴィランとなり、ブルズアイも力は元から持っていたがカウンセリングを必要とするメンタル面の問題を起点にヴィランになっていく。

だが、いわゆる“精神疾患”が理由(の一つ)でヴィランになるという設定は、メンタルに不調を抱える人への偏見を生む。だから『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) ではドクター・オクトパスの癇癪は物理的に“治療”できるものだったという設定になっていたし、『デアデビル:ボーン・アゲイン』ではブルズアイもまた利用される存在として描き直された。

そんな中で、映画『サンダーボルツ*』では鬱病を扱い、その上でボブは周りの人々にとって倒す相手ではなく、寄り添う相手として描かれた。それが上から目線にならずに成り立つのは、サンダーボルツの面々も同様にヴォイド=虚無感を内面に抱えていたからだ。

エレーナも抱えていた虚無感と孤独。誰かと一緒にいることでマシになることを、エレーナはアレクセイやサンダーボルツとの交流を通して理解していた。全力でボブに向かっていくエレーナの姿は最高にクールだ。最大の見せ場でブラック・ウィドウのアクションを披露するが、その目的はボブを孤立させないことである。『ブラック・ウィドウ』でエレーナを守るために上空から飛び降りたナターシャの姿を思い出す。

この世のままならなさ。それ自体をすぐに解決することは簡単なことではない。それでも、仲間と一緒にいることで潰れてしまわないようにすること、状況をマシにすることはできる。サンダーボルツはボブに寄り添い、「あなたは一人じゃない」と伝えたことでヴォイドは去り、ニューヨークは闇から解放されたのだった。

ラストの意味は?

対ヴォイド戦を終え、サンダーボルツはヴァルを捕えようとするが、ヴァルは辛うじて“引き分け”に持ち込む。記者会見場にサンダーボルツを連れ出し、エレーナ達を「ニュー・アベンジャーズ」だと発表したのだ。

映画『アイアンマン』(2008) のラストの記者会見でトニー・スタークが「私がアイアンマンだ」と宣言したことを想起させる展開。あるいは映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) でピーター・パーカーがトニーの用意したサプライズ記者会見を台無しにした時か。

だが、そのどちらとも違う、仕組まれた「ニュー・アベンジャーズ」誕生。それでも、姉のナターシャのように表舞台に出ることを望んでいたエレーナは、この状況をヴァルへの「貸し」として受け入れ、笑顔を見せるのだった。

ヴァルはCIA長官としてサンダーボルツに新たなアベンジャーズとしての席を作ることで、サンダーボルツメンバーを証人とした失脚劇を免れたのだ。しかもメディアという第3の権力を使うことで、即座の判断をサンダーボルツに強いる巧みな作戦だ。

ちなみにニュー・アベンジャーズは原作コミックにも登場した名前だ。コミックではキャプテン・アメリカとアイアンマンらが結成した非合法な非公式のチームで、その後、他の一部のヒーローは登録法に従って政府の管轄に入っていた。MCUにおける政府公認のニュー・アベンジャーズは原作とは真逆の存在ということになる。

ミッドクレジットでは、即興で襲名したニュー・アベンジャーズに対して世間が懐疑的な視線を送っていることが、実在の新聞の見出しや雑誌の表紙で表現されていく。「A-vengers」ならぬ「B-vengers」などと揶揄する声が多数だが、その中でも一人の少女を助けた場面のカットはどんな言葉よりも強く訴えかけるものがある。

最後には、「サンダーボルツ*」のタイトルが「ニュー・アベンジャーズ」へと変わる。「サンダーボルツ*」の「*(アスタリスク)」の意味が、「サンダーボルツ」が「ニュー・アベンジャーズ」の仮称であることを示すものであったことが示唆される。

映画を観ているこちらも「えーーー」という気持ちもありつつ、「まぁ悪いやつらじゃないしな」と、この先の展開が楽しみになるラストだった。そしてもちろん、映画『サンダーボルツ*』もとい『ニュー・アベンジャーズ』には、ポストクレジットシーンも用意されている。

ポストクレジットシーンの意味は?

ニュー・アベンジャーズが抱える問題

ミッドクレジットシーンでは、ニュー・アベンジャーズとなったサンダーボルツが朝食用の食料品の箱に描かれて食料品店に並べられている。ダンディーな装いとなったアレクセイが客にその商品を勧めるというコミカルなシーンが描かれている。

『サンダーボルツ*』のポストクレジットシーンは、本編の14ヶ月後が舞台に。バッキーが議員になる前の時期だった『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2027年4月が舞台であったため、『サンダーボルツ*』のポストクレジットシーンの舞台は2028年8月以降ということになる。

ウォッチ・タワー(旧アベンジャーズ・タワー)に集まったニュー・アベンジャーズのメンバーは、政府公認のアベンジャーズとして順調に活動を続けているようだ。一方、ボブはヴォイドを封印しているためスーパーパワーは使えず、皿洗いなどの雑用をしてチームを支えているらしい。

そして、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でロス前大統領からアベンジャーズ結成を依頼されたキャプテン・アメリカことサム・ウィルソンは、ニュー・アベンジャーズのことを認めていないという。サムとバッキーは仲違いしたわけではなさそうだが、サムは距離を置いている感じがする。

しかもサムはアベンジャーズの商標登録を申請したらしく、ニュー・アベンジャーズはチーム名変更の危機に立たされている。ということは、サムのアベンジャーズには弁護士がいるのだろう。ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) ではシー・ハルクことジェニファー・ウォルターズが「シー・ハルク」の商標を巡って争う展開もあったが、もしかするとジェニファーがサム達の顧問弁護士についているのかもしれない。

それはさておき、MCUのアース616には二つのアベンジャーズが存在することになった。エレーナとバッキーが率いる政府公認のニュー・アベンジャーズ、そして、サムとホアキン・トレスが所属するアベンジャーズだ。

なんだか王将と大阪王将のような、のれん分け状態が生まれているようだが、映画『マーベルズ』(2022) ではミズ・マーベルことカマラ・カーンが若いメンバーをリクルートする様子が描かれた。カマラ、ケイト・ビショップ、キャシー・ラングらの若手チームがサムのアベンジャーズに合流していればある程度スッキリするが、“アベンジャーズ乱立”となれば諍いも生まれやすくなるだろう。

あの宇宙船は?

そして、MCU最長級のポストクレジットシーンのラストでは、エレーナは宇宙の問題にも対処しなければならないと話し、ニュー・アベンジャーズは“余剰次元”からの飛行物体の到来を検知する。“余剰次元”とは、時間の1次元と空間の3次元以外に存在する5次元以上の空間のことで、簡単に言えば“別世界”ということになる。

この飛行物体は宇宙船で、機体にはファンタスティック・フォーのロゴマークである「4」が刻まれている。音楽もファンタスティック・フォーのテーマが流れており、2025年7月25日(金) 公開の映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』との繋がりが示される。

実はこのラスト、直前にネタバレが隠されている。エンドクレジットの音楽の箇所にファンタスティック4のテーマがクレジットされているのだが、本編では使用されていない。このため、ポストクレジットシーンでファンタスティック4に関する展開が待っていることが分かってしまうのだ。

それは瑣末なこととして、最後には「ニュー・アベンジャーズとボブは帰ってくる」という文字が映し出される。やはりボブはニュー・アベンジャーズのメンバーではないらしい。一気に2026年5月1日米公開予定の『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』への機運が高まり、映画『サンダーボルツ*』は幕を閉じている。

『サンダーボルツ*』ネタバレ考察&感想

懸念を払拭したサプライズ

映画『サンダーボルツ*』は、細かなコメディシーンを残しつつも、ストーリーはテンポ良く展開され、各キャラにも程よくスポットライトを当てた良作だった。何度でも観たくなるような魅力があるが、贅沢を言えばサンダーボルツのチームとしての通常活動も見たくなった。

直近のMCU作品は、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』で国レベルの物語を描き、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』で街レベルの物語を描いていた。『サンダーボルツ*』では意外にも個々の内面とそれに寄り添う周囲の人々という最小単位の物語が描かれた。この幅がMCUの面白いところであり、その余地によって、各ストーリーラインがぶつかり合わないための工夫が成り立つのだろう。

現在のMCUにおいては、ドラマは長編で映画は短編と考えていい。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が別ユニバースの物語とされる中で、アベンジャーズが存在しないところからどうやって『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』という大イベントに繋ぐのかという疑問は常にあった。

そんな中、ニュー・アベンジャーズのオリジンを2時間で描くために既にファンには馴染みのあるキャラを揃え、それをアベンジャーズではないチームの物語だとミスリードしておき、「*」を使って種明かしをするというサプライズは見事だった。私たちが見ていた『サンダーボルツ*』が『ニュー・アベンジャーズ』だったと知った後で本作を見直すと、きっとまた違う景色が見えるのだろう。

残念な点を挙げるならば、『ブラック・ウィドウ』でナターシャが助け出したタスクマスターことアントニアがほとんど意味もなく死んでしまったことだ。それも「ままならなさ」と言えばそうなのかもしれないが、誰からも弔われないというのは一時期ナターシャが置かれていた状態を思い出してしまう。

ニューヨークは大丈夫?

一方で、『サンダーボルツ*』が今後のMCUに与える影響は計り知れない。小さな話からするなら、ニュー・アベンジャーズがニューヨークを拠点にしたということは、『デアデビル:ボーン・アゲイン』でニューヨーク市長に就任したキングピンことウィルソン・フィスクと対立する可能性もある。

ニューヨークにいきなり連邦政府の組織がやってきたのだ。キングピンはFBIを牛耳った過去もあるが、曲者のスーパーヒューマンが揃うニュー・アベンジャーズは厄介な相手だ。ただ、『サンダーボルツ*』は『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1よりも少し後が舞台と考えられるため、キングピン市政は既に終了している可能性もある。『サンダーボルツ*』では存在感がなかったし、本編から14ヶ月後ならなおさらキングピン市政は倒れている可能性が高い。

気になるのはニューヨークにいる元アベンジャーズメンバーだ。ドクター・ストレンジやスパイダーマンことピーター・パーカーはニュー・アベンジャーズのことをどう思っているのだろうか。

加えて心配なのは、ヴォイドによってニューヨークの全ての人がトラウマを経験した可能性があることだ。それこそ孤独になることを選んだピーター・パーカーの精神状態は心配だし、危うさがあるデアデビルことマット・マードックも心配だ。もっとも、多くのトラウマを抱えながら全然平気だったバッキーのような例もあるので、大丈夫な人は大丈夫なのだろう。

2026年7月31日米公開(同年夏日本公開)を予定している映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では、ニューヨークを拠点にしていたニュー・アベンジャーズの14ヶ月間に触れられることはあるのだろうか。なんとなくアレクセイとピーターの絡みが見てみたいと思うのは筆者だけだろうか。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』はどうなる?

次のMCU映画は7月25日(金) 日米同時公開となる『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』だ。当初から映画『デッドプール&ウルヴァリン』(2024) のように別ユニバースの物語であることが示唆されていたが、海外のファンの間では、メインユニバースだが遠い惑星が舞台で、別ユニバースだとミスリードしているのでは、という考察も出ている。

今回、『サンダーボルツ*』では“余剰次元”という言い回しがされたが、ファンタスティック・フォーがどこかから次元を超えてMCUのメインユニバースであるアース616に来ることは確かだろう。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』では惑星を捕食するギャラクタスが登場するが、ファンタスティック・フォーの住む惑星はギャラクタスによって消滅してしまうのかもしれない。

理由がなんであれ、ファンタスティック・フォーが意図してアース616に現れたのであれば、デッドプールとウルヴァリンがいるアース10005との道を開くこともできるはず。『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にはX-MENも参戦することが明かされており、『サンダーボルツ*』のラストで描かれたファンタスティック・フォーの到来が今後の物語の鍵になりそうだ。

MCU全体では2025年6月24日よりドラマ『アイアンハート(原題)』がディズニープラスで配信される予定だ。同作がフェーズ5の最終作となる見込みで、7月に劇場公開される『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』からMUCはフェーズ6に突入する。

その後、アニメ『アイズ・オブ・ワカンダ(原題)』が8月、『マーベル・ゾンビーズ』が10月に4話ずつ配信される。12月にドラマ『ワンダーマン(原題)』、2026年に入るとドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2が3月配信、2026年中にドラマ『ヴィジョン・クエスト(仮)』の配信が予定されている。

2027年5月公開予定の『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』までまだまだいくつものイベントが待ち受けているMCU。まずは『サンダーボルツ*』の盛りだくさん過ぎる要素を考察して解像度を高めていこう。

映画『サンダーボルツ*』は2025年5月2日(金) 公開。

『サンダーボルツ*』公式

本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。

ちなみに今回エレーナ役のフローレンス・ピューが良いと思った方におすすめなのが6月6日公開の映画『We Live in Time この時を生きて』。SFではないがフローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールドの演技が堪能できる作品になっている。詳しくはこちらの記事で。

『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。

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コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。

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『サンダーボルツ*』のラストを受けた、“三つのアベンジャーズ”についての考察はこちらの記事で。

バッキーはなぜ議員に? そして、最後は議員を辞めた? 演じたセバスチャン・スタンが語った背景の解説はこちらから。

バッキーの過去がサンダーボルツメンバーとニュー・アベンジャーズに与えた影響についての考察はこちらから。

エレーナとボブの共通点とは? ボブ役のルイス・プルマンが語った背景と二人についてのネタバレ解説はこちらから。

タスクマスターの死について『サンダーボルツ*』の監督が語った内容はこちらから。

メルはどうなった? 俳優が語ったメルの過去とその後についてはこちらの記事で。

公式ポスターから読み解くニュー・アベンジャーズと対になる旧アベンジャーズメンバーの考察はこちらから。

サンダーボルツメンバーのこれまでのまとめはこちらから。

サンダーボルツは『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でドクター・ドゥームと戦う5大勢力の一つに数えられている。詳しくはこちらの記事で。

 

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ラスト&ポストクレジットの解説&考察はこちらから。

バッキーの「I love you」発言への海外の反応と、10年前にあった伏線の考察はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終回のネタバレ解説はこちらから。

 

ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン1最終回のネタバレ解説&考察はこちらから。

映画『デッドプール&ウルヴァリン』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストのネタバレ解説はこちらから。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストのネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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