ネタバレ考察『サンダーボルツ*』と対になるアベンジャーズメンバーは?『エンドゲーム』以来の演出に注目 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『サンダーボルツ*』と対になるアベンジャーズメンバーは?『エンドゲーム』以来の演出に注目

Eileen Steinbach/©︎2025 Marvel

映画『サンダーボルツ*』公開中

映画『サンダーボルツ*』が2025年5月2日(金) より全国の劇場で公開され、全世界興収第1位を獲得する大ヒットを記録している。2週目の週末を迎えた時点で興行収入は1億9,000万ドルを超えており、今後も続伸していくものと見られる。

そんな中、米マーベル公式は次々と新たなプロモーションを投入。劇中の展開と絡んだネタバレありの広告を早々に展開して話題を呼んでいる。中でも、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以来となる演出を盛り込んだポスターが注目を集めている。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の結末に関するネタバレを含みます。

『サンダーボルツ*』アベンジャーズ“対応”メンバーをネタバレ考察

米マーベルは、『サンダーボルツ*』の初週末を終えた公開4日目に『ニュー・アベンジャーズ』という本作の“真のタイトル”を発表。サンダーボルツがラストで“ニュー・アベンジャーズ”になる展開を早々にネタバレし、『ニュー・アベンジャーズ』をタイトルとした新たなプロモーションを次々投下している。

映画公開の初週末三日間以降の盛り下がりを払拭するアイデアであり、二段階の広報が行われる異例の展開だ。そんな中、公開された『サンダーボルツ*』の新たなポスターは、サンダーボルツとボブのシルエットが映し出されたもので、その影は旧アベンジャーズの姿を表現したものとなっている。

実はこのポスター、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の際に制作されたポスターのオマージュで、共にポスターデザイナーのEileen Steinbachが手掛けている。当時はブルース・バナーにドクター・ストレンジホークアイにワンダアイアンマンにスパイダーマンキャプテン・アメリカにバッキーナターシャ・ロマノフにニック・フューリーソーにロキの影が当てられていた。

ブルース、クリント、トニー、スティーブ、ナターシャ、ソーの6人は映画『アベンジャーズ』(2012) で共闘したオリジナルのアベンジャーズメンバー。陰になっているのは『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』(2018) で死んだか消えてしまったキャラクター達だ。

一方、『サンダーボルツ*』の新ポスターでは、そのオリジナルのアベンジャーズメンバーの影がサンダーボルツのメンバーに対応する形で添えられている。それぞれのキャラは、どのように“ニュー・アベンジャーズ”に対応しているのだろうか。

ゴースト/ホークアイ

最も関係が薄いように思えるのがゴーストことエイヴァ・スターとホークアイことクリント・バートンの組み合わせだ。『サンダーボルツ*』の序盤では、タスクマスターがホークアイの能力をコピーした弓攻撃を見せることはあったが、エイヴァとクリントは面識がないはずだ。

また、スーパーパワーを持たないクリントに対し、エイヴァは身体が揺らいで物質をすり抜ける量子フェージングというスーパーパワーを持っている。一見最も遠い二人のようにも思えるが、二人を結びつける要素もある。

一つは、量子フェージング状態となった後のエイヴァがクリントと同じくS.H.I.E.L.D.でエージェントとして働いていたことだ。アベンジャーズにはナターシャもいたが、ニュー・アベンジャーズではエイヴァは唯一のS.H.I.E.L.D.出身メンバーということになる。

また、クリントがナターシャの良き友であったように、エイヴァもエレーナの良き友になっている。“ブラック・ウィドウの理解者”という意味では、エイヴァとクリントにも共通する部分があることが分かる。

レッド・ガーディアン/ハルク

レッド・ガーディアンことアレクセイ・ショスタコフに対応するのはハルクことブルース・バナーだ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』のポスターでは変身時のハルクではなくブルースの姿が描かれていたが、『サンダーボルツ*』のポスターでは変身時のハルクの影が描かれている。

この二人もキャラ同士に接点はない。むしろブラック・ウィドウのケアに依存しがちだったハルクに対し、アレクセイは娘のエレーナに必要以上のケアを与えようとしている。そういう意味では、レッド・ガーディアンはハルクの「カウンターパート」なのかもしれない。

設定上でレッド・ガーディアンとハルクが似ている点は、二人が共にキャプテン・アメリカのスーパーソルジャー計画をベースにして力を得ているという点だ。米国で世界初のスーパーソルジャーとなったスティーブ・ロジャースに対し、レッド・ガーディアンはソ連が対抗して生み出したスーパーソルジャーだ。『サンダーボルツ*』ではソ連製の超人血清を打ったことを明かしている。

ブルースもまた、当時のサディアス・ロス将軍がスティーブ・ロジャースの実験成功を再現するために再開したスーパーソルジャー計画の実験を知らずに受けてハルクとなっている。西と東の国家がスティーブ・ロジャースの影を追い求めた結果生まれたアベンジャーという意味では、二人には共通する点がある。

エレーナ/ナターシャ

最もわかりやすいのは二人のブラック・ウィドウ、エレーナ・ベロワとナターシャ・ロマノフだ。『エンドゲーム』の時にソーとロキの兄弟が対になっていたように、姉妹であるエレーナとナターシャも対になっている。

『サンダーボルツ*』の劇中では、エレーナはアレクセイから「姉さんを継ぐ時が来た」と言われる場面もあった。最終的にエレーナはニュー・アベンジャーズとしてナターシャのように表舞台に立つことになる。

姉はアベンジャーズで、妹はニュー・アベンジャーズ。二人は姉妹ともにアベンジャーズに所属することになった。そういう意味では、エレーナは最も正統派のニュー・アベンジャーズメンバーなのかもしれない。

バッキー・バーンズ/アイアンマン

意外にもバッキーに対応するのはアイアンマンことトニー・スタークだ。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) では、ウィンター・ソルジャー時代の洗脳されたバッキーがトニーの両親を殺害していたことが明らかになり、バッキー&スティーブンvsトニーの戦いに発展した。

最後までバッキーを守ろうとしたスティーブに対し、トニーはバッキーを拒絶した人物でもある。こちらの記事で詳しく考察したが、バッキーはかつて政府のバックアップを受けていたアベンジャーズに拒否された存在だ。だが、ニュー・アベンジャーズは過去に傷があっても入れるチームになっている。また、洗脳が残っていた時のバッキーと同じように、自身の制御に不安があるボブをチームに置いてもいる。

二人は共にスティーブの友人だったが、アベンジャーズの運営方針は異なる。トニーの旧アベンジャーズが作れなかった居場所をバッキーが作り出そうとしているなら、バッキーはトニーのカウンターパートということになるだろう。

ジョン・ウォーカー/キャプテン・アメリカ

かつて二代目キャプテン・アメリカを襲名していたジョン・ウォーカーは、初代キャプテン・アメリカのスティーブ・ロジャースと対になっている。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) で認めていたように、ジョン・ウォーカーとスティーブは面識はない。

一方で、同作ではジョン・ウォーカーはパワーブローカー製の超人血清を打っている。三代目キャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソンは超人血清を打っておらず、スーパーパワーを持たないことがその特徴だ。

能力の点ではジョン・ウォーカーの方がスティーブ・ロジャースに近いが、高潔な人間性という点ではサムの方がスティーブに近く、バッキーも言っていたようにサムは盾の継承者でもある。ジョン・ウォーカーはスティーブ・ロジャースの“影”に苦しむことなく活動できるのか、という点にも注目だ。

ボブ/ソー

最後はボブとソーの組み合わせだ。セントリー/ヴォイドとして劇中最強クラスの強さを見せたボブには、ストームブレイカーを持つソーの影が添えられている。この二人も面識はないが、『サンダーボルツ*』の劇中ではボブがソーに言及する場面がある。

ボブはセントリーとしてサンダーボルツメンバーを制圧した後、主導権を握るヴァルに対して反抗的な態度を見せる。その中で、「なぜ神が指示に従う?」と問い、ヴァルが「アベンジャーズ全員よりも強い」とボブを評価したことを指摘し、「アベンジャーズには神がいる。ソーは神だろ?」と論を展開していく。

神よりも強いという自信を与えられたボブは、その間の記憶は失ったようだが、記憶を取り戻すと厄介なことになりそう。実際のところ、ボブが暴走してしまえばニュー・アベンジャーズのメンバーには止めることができない。アベンジャーズのオリジナルメンバーの中でも対抗できるのはソーくらいだろう。『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』では二人の絡みに注目だ。

それぞれのカウンターパートを背負い、ヒーローとしての道を歩み出したサンダーボルツ改めニュー・アベンジャーズ。オリジナルアベンジャーズの影と、サムが率いるアベンジャーズにどう対処していくのか、今後から目が離せない。

映画『サンダーボルツ*』/『ニュー・アベンジャーズ』は公開中。

『サンダーボルツ*』公式

本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。

『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。

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コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。

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『サンダーボルツ*』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

バッキーはなぜニュー・アベンジャーズといることを選んだのか。バッキーの過去をヒントに考える考察はこちらから。

バッキーはなぜ議員に? そして、最後は議員を辞めた? 演じたセバスチャン・スタンが語った背景とその解説はこちらから。

エレーナとボブの共通点とは? ボブ役のルイス・プルマンが語った背景と二人についてのネタバレ解説はこちらから。

『サンダーボルツ*』のラストを受けた、“三つのアベンジャーズ”についての考察はこちらの記事で。

タスクマスターの死について『サンダーボルツ*』の監督が語った内容はこちらから。

 

サンダーボルツメンバーのこれまでのまとめはこちらから。

サンダーボルツは『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でドクター・ドゥームと戦う5大勢力の一つに数えられている。詳しくはこちらの記事で。

 

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ラスト&ポストクレジットの解説&考察はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終回のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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