ネタバレ解説『サンダーボルツ*』バッキーはどうなった? 〇〇は辞めた? ラストの状況を俳優が明かす | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『サンダーボルツ*』バッキーはどうなった? 〇〇は辞めた? ラストの状況を俳優が明かす

©︎2025 Marvel

『サンダーボルツ*』公開

2025年に公開された映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、ドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』に続くMCU最新作『サンダーボルツ*』が2025年5月2日(金) より全国の劇場で公開された。映画『サンダーボルツ*』はバッキー・バーンズやエレーナ・ベロワを中心としたニューチームを描く作品で、公開後から大きな話題を呼んでいる。

みんなが気になるのはセバスチャン・スタン演じるバッキー・バーンズがどうなったのかというところ。今回は、『サンダーボルツ*』でバッキーがどうなったのか、そして演じたセバスチャン・スタンはその後のバッキーについてどのように語っているのかを見ていこう。以下の内容は結末に関する重大なネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『サンダーボルツ*』の内容および結末に関するネタバレを含みます。

映画『サンダーボルツ*』バッキーはどうなった?

下院議員になったバッキー

映画『サンダーボルツ*』では、バッキー・バーンズはブルックリン選出の下院議員として登場する。ブルックリンを含む選挙区は民主党の牙城だが、スティーブ・ロジャースと同じブルックリン出身のバッキーに市民は票を投じたようだ。

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』では、バッキーは新たにキャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソンの危機に駆けつけ、サムの発言を通して下院議員を目指してキャンペーンに奔走していることが明らかになっていた。

そして、『サンダーボルツ*』では無事に新米議員になっているバッキーは、CIA長官のヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌことヴァルの悪事を悪事を暴くために公聴会に出席。パーティーではヴァルの助手のメルに接近して、ヴァルの情報を引き出すことに成功した。

バッキーが議員になった理由とは

The Hollywood Reporterでは、バッキーを演じるセバスチャン・スタンがバッキーが議員になった理由をこう語っている。

フットボールチームのクォーターバックが入れ替えになったり引退したりして、もうプレーしていないにもかかわらず現場に来続けている姿を想像してみてください。周りの人は言うでしょう、「好きにしていいよ、心配しないで」と。彼はただ何らかの形で役に立ちたいと思っていて、周りの人たちは彼の背中に手を置いて「君がいてくれて助かるよ」と言う。

私にはそんなふうに見えます。彼は一貫して役に立つ方法を見つけようとしているだけなんです。おそらく誰かが彼に(政治を)やってみたら、というアイデアを授けたんだと思います。

非常に興味深い例えだ。アメフトのクォーターバックは、チームを牽引する中心選手を指す。すでに引退したけれど相変わらず現場に顔を出していて、周りもそれを止める様子はない。第一線は退いたけれど、ただ助けになりたいという思いで練習や試合を見に行くのだろう(暇でもあるのだと思う)。

長く苦しんできたバッキーだったが、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でのセラピーと贖罪を経て、苦しい期間は終わりを迎えたように思える。だがそれは、これから何をするかを自分で選ばなければならないということでもある。毎日後輩達の練習を見に行くこともできるが、バッキーは違うことで何か貢献できないかと考えたのだ。

セバスチャン・スタンは、何か人の役に立つ方法はないかと模索し続けているバッキーが、誰かから政治の道を勧められたのだろうとも話している。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) のラストでは、バッキーはルイジアナのウィルソン家のコミュニティーでサムやサムの姉のサラと過ごしていた。もしかすると、銀行の融資を断られるなどして苦しんだサムやサラから世の中を良くするために議員になることを勧められたのかもしれない。

いずれにせよ、バッキーの肉体はまだまだ元気だ。数少ない友人のサムはキャプテン・アメリカとして頑張っている。エンドゲーム後の不安定な社会の中で、スーパーパワーだけでなく名声も持つ人間として、バッキーは政治家という新しい生き方を選ぶことになった。

ぎこちないバーンズ議員

『サンダーボルツ*』で議員になっているバッキーはどこかぎこちない。取材対応では「心配」を連呼し、ヴァルを追求する先輩議員のゲイリーと話をするときは、周囲を気にしながら「カメラは2台しかない」と言いつつ接触している。不正を追求する権力の側に立ったのに、スパイ生活や逃亡生活の癖が抜けきらないのだ。

そんなバッキーに対してゲイリーは、ヴァルを裁くのはシステムだと教える。だがバッキーは「そのシステムは毎日午後4時で休廷になる」と、まるでかつてのデアデビルのようなことを言う。それでも、資料を読むようゲイリーに言われたバッキーは、家で簡素な食事を摂りながら資料に目を通す。

左腕を食洗機で洗うシーンは予告編でも話題になったが、米ComicBookMovie.comによると、セバスチャン・スタンはこの描写は議員生活の多忙さを表していると語ったという。そんな中、メルからの着信を受けたバッキーは、洗い終わった左腕を装着。それでも、「この電話を追跡して」というメルの要望には、「もうそんなことはしたくない」と拒否反応を見せている。

この通話の中では、メルは高校時代にエイリアンが襲来し、アベンジャーズに助けられたという過去を示唆する。2012年の映画『アベンジャーズ』での“ニューヨークの戦い”を指しているのだろう。その話を聞いたバッキーは「俺が90歳くらいの時か」と言っているが、今バッキーは110歳以上で、ニューヨークの戦いからは15年ほど経っているので、5歳くらいサバを読んでいる。

ドラマ『ホークアイ』(2021) では、幼い頃のケイト・ビショップがニューヨークの戦いでホークアイに助けられたという過去も描かれた。以来ケイトはホークアイに憧れていた。ニューヨークではニューヨークの戦いを経験した世代が大人になって社会に出ており、ヒーローに対してはそれほど悪い感情を抱いていないのかもしれない。

「アベンジャーズはもういない。誰も助けに来ない」というメルの言葉に、バッキーは「俺たちが人々を助けられる」と証人になるよう説得するが、メルは“政治家一年生のバーンズ議員”を頼ろうとはしなかった。

議会から現場へ

バッキーはここで一旦政治家としての限界を(少し早いが)感じたのではないだろうか。バイクを走らせ現場へ向かい、サンダーボルツの面々を確保したバッキーだが、この時はまだサンダーボルツのメンバーに諮問委員会で証言させようとしている。この時点で、バッキーのアイデンティティーはヒーローと議員の半々くらいになっている。

だが、バッキーはまたもメルからの電話でヴァルがボブをスーパーヒーローに仕立てようとしていると聞き、サンダーボルツメンバーと共に立ち上がることを決意する。メルが抱く危機感はバッキーの想定以上のもので、ヴァルの一番近くにいるメルの意見を聞き入れる柔軟さがバッキーにはある。

バッキーはサンダーボルツメンバーと共にボブをヴォイドから救い、ニューヨークを救った。ヴァルの咄嗟の策によってサンダーボルツはニュー・アベンジャーズを襲名し、『サンダーボルツ*』のポストクレジットシーンでは、14ヶ月が経過しても“政府公認のアベンジャーズ”として活動するバッキーの姿があった。

バッキーは議員を辞めた?

セバスチャン・スタンが語る

気になるのは、ニュー・アベンジャーズとなったバッキーは下院議員を辞めたのかということだ。ウォッチタワーでヴァルの前に現れた時点で、バッキーはヴァルから短い議員人生だったね、というようなことを言われていたが、ポストクレジットシーンではニュー・アベンジャーズ版のコスチュームを着ており、胸には議員バッチの代わりにアベンジャーズのロゴがついている。

バッキーは下院議員を辞めたのか、セバスチャン・スタンはその問いに米Entertainment Weeklyにこう答えている。

えぇ、もう線を引いたようなものですよね。彼はまだ自分が過去にしてこなかったようなやり方で、助けになる方法を見つけようとしています。最終的には、「いや、俺は俺であって、俺のやり方でやろう」と思い至るんです。

セバスチャン・スタンは「でも最近は変な議員も多いから……」と笑って付け加えたというが、「線を引いた」という表現は、バッキーがスティーブに倣ってノートの「償い(復讐)リスト」の項目を一つずつ線を引いて消していた様子を思い出す。バッキーにとっては政治家は一つの手段であり、一旦それは達成したということだろうか。

「まぁいいか」の精神

このインタビューでは、ジョン・ウォーカー役を演じたワイアット・ラッセルが、バッキーがスーパーヒーローとして活動するにあたって、厳密には議員を辞職する必要はないと指摘したという。一方で、ジェイク・シュライアー監督は「彼は、彼にとってより理にかなった居場所を見つけたと思います」と語り、バッキーが政治家としてのキャリアを終えたことを示唆している。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を経て、新しい人生を歩むタイミングを迎えたバッキー。今までやってこなかったことで人の役に立ちたいと思い、誰かの助言を素直に聞いて政治家に挑戦したが、そこでも誰かを救ったのは今までのやり方だった。

だから結局現場に戻った110歳超のおじいちゃんは、自分と似た過去を持つメンバーのチームで、自分と他者の居場所を守っている。引退したのに現場にやって来るフットボールOBがやっぱり現役に復帰するなんて、バッシングを浴びてもしょうがない展開だ。でも、どうしてかバッキーだったら許されてしまう。

余談だが、EWの取材では、セバスチャン・スタンは『サンダーボルツ*』のバッキーに「議員になるのに、なんで髪を伸ばしてるんだ!?」とセルフツッコミを入れ、「でも、伸ばしたかったから、『まぁいいか』って」と付け加えている。

長らく支配に苦しみながら生きてきたバッキーだが、今のバッキーには「天然わがままおじいちゃん」特有の自由さがある。だから、ニュー・アベンジャーズでしばらく頑張って、サムとの関係もやり直しつつ、時代の要請があればまた政治家に戻ってもいいだろう。ニューヨーク市長選や州知事選、なんなら大統領選に出てもいい。「元ヒドラの暗殺者だけど!? まぁいいか」って。

映画『サンダーボルツ*』は2025年5月2日(金) 公開。

『サンダーボルツ*』公式

本記事の筆者・齋藤隼飛が翻訳を手がけた『マーベル・スタジオ:ジ・アート・オブ・ライアン・メイナーディング』は5月2日発売。500点以上のアートと共にMCUの歴史を辿る貴重な一冊なのでぜひチェックしていただきたい。

『サンダーボルツ*』オリジナル・サウンドトラックは発売中。

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コミック『サンダーボルツ』は中沢俊介の翻訳で発売中。

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Source
The Hollywood Reporter / Entertainment Weekly

『サンダーボルツ*』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

バッキーはなぜニュー・アベンジャーズといることを選んだのか。バッキーの過去をヒントに考える考察はこちらから。

バッキーはなぜ議員に? そして、最後は議員を辞めた? 演じたセバスチャン・スタンが語った背景の解説はこちらから。

『サンダーボルツ*』のラストを受けた、“三つのアベンジャーズ”についての考察はこちらの記事で。

タスクマスターの死について『サンダーボルツ*』の監督が語った内容はこちらから。

 

サンダーボルツメンバーのこれまでのまとめはこちらから。

サンダーボルツは『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』でドクター・ドゥームと戦う5大勢力の一つに数えられている。詳しくはこちらの記事で。

 

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ラスト&ポストクレジットの解説&考察はこちらから。

バッキーの「I love you」発言への海外の反応と、10年前にあった伏線の考察はこちらから。

『キャプテン・アメリカ:BNW』までのMCU時系列解説はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終回のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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