初出:2020年6月11日
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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のファッションに注目
名作SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)。誕生から35年以上の時を経ても、多くの人々に愛されている。デロリアンを改造したタイムマシンで時を超え、両親の恋愛を成就させるというアイデアや、ユーモア溢れるコメディ要素、「ジョニー B. グッド」をはじめとするセンス溢れる音楽のチョイスなど、その魅力は枚挙にいとまがない。
今回はその中でも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でマーティが身を包んだファッションに焦点を当ててみよう。当時は最新だったファッションも、今振り返れば80年代のオールドスクールなファッションに仕上がっている。
おなじみのベスト
マーティと言えば、劇中でも“救命胴衣”としていじられるオレンジのベスト。ファンの間では1971年創業の米Class-5のダウンベストだと言われている。実はこのベスト、マーティを演じたマイケル・J・フォックスが「(駐車場での撮影が) 本当に寒くて、そうじゃなかったらあのベストは着ていません」と2009年に英Guardianで述べている。
ジャケットはマルチーノ
ベストの下に着ているのは米ゲス (Guess) のアッパーラインであるマルチーノのデニムジャケット。ツートーン柄になっており、胸にはフェンダーのベースとブーメラン型のピックのピンバッチ、「ART IN REVOLUTION」と書かれた缶バッチが付いている。
シャツはShah Safari
マーティは赤い無地Tシャツの上にチェック柄のシャツを着ている。これは、1975年に創業し、米シアトルに拠点を置くShah Safariの商品だ。
ジーンズはゲス
パンツはゲスのジーンズ。ゲスは1981年に生まれたブランドで米ロサンゼルスに拠点を置いている。裾を巻き上げてハイウェストで着こなすのが1980年代の流行だった。
スニーカーはナイキとコンバース
キックスは1973年に登場した米ナイキのブルーイン。1964年に創業したナイキも1955年には存在しない。なお、スケートボードでビフから逃げるシーンでは、マーティのキックスは米コンバースのオールスター (ハイカット) に履き替えている。コンバースは1908年に創業、オールスターは1917年に誕生しているので、1955年の世界でもおなじみだ。
アンダーウェアはカルバン・クライン
マーティンが履いている紫のアンダーウェアは、劇中のギャグとしても利用されている通り、米カルバン・クラインのもの。カルバン・クラインがこのブランドを創業したのは1968年のこと。1955年に同ブランドは存在せず、マーティのアンダーウェアに書かれた「カルバン・クライン」のロゴを見たロレインが、マーティの名前を「カルバン」だと勘違いする。
腕時計はカシオ
マーティが腕につけている時計はCASIO CA-50。電卓付きの腕時計だ。1984年に登場したこの腕時計は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』への登場をきっかけに世界的な知名度を得ることになる。メーカーはもちろん1957年に日本で設立されたカシオ計算機。
カセットプレーヤーはアイワ
マーティが音楽を聴くのはAiwa HS-P07。日本で1951年に創業したアイワのカセットプレーヤーだ。マーティはトヨタの車に憧れ、カシオの腕時計を付け、アイワの音楽プレーヤーを使っている。日本資本が入ってくる1980年代のアメリカの空気感が伝わってくる設定だ。なお、アイワはソニーが2002年に吸収合併している。
以上が、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』におけるマーティンのスタンダードなファッションだ。公開から35年が経過した今、同作は歴史の一部になりつつあるが、そのファッションには新たにオールドスクールな味わいも生まれている。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の誕生秘話と、続編またはリメイク製作の可能性については以下の記事に詳しい。
Source
Guardian