中国SF『流転の地球』スーツ制作の裏側を公開 | VG+ (バゴプラ)

中国SF『流転の地球』スーツ制作の裏側を公開

via: Screenshot on Weta Workshop ©︎2019 WETA WORKSHOP

スーツ制作の裏側が明らかに

記録的大ヒットの『流転の地球』

中国史上第二位の大ヒットを記録している中国初のSFブロックバスター『流転の地球 (原題: 流浪地球, 英題: The Wandering Earth, 原作: さまよえる地球)』。日本ではNetflixで配信されることが決定、NHKでも報道されるなど、SFファン以外の間でも期待は高まっている。

『流転の地球』は、多くのハリウッド映画同様、様々なスタジオの協力によって完成した作品だ。VFXでは、ドラマ『スタートレック: ディスカバリー』(2017-) や映画『オブリビオン』(2013) を手がけたドイツのピクソモンド (Pixomondo) を始めとする複数のスタジオが協力している。

数々の名作SFを手がけたウェタが担当

今や一目見ただけで『流転の地球』だと分かる特徴的なスーツを制作したのは、ニュージーランドのウェタ・ワークショップ (Weta Workshop) だ。ウェタは、『第9地区』(2009) 、『エリジウム』(2013)などニール・ブロムカンプ監督も愛用しているスタジオ。『ブレード・ランナー 2049』(2017)、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)、『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017) など、数々のSF作品を手がけてきた。

過酷な環境下で生き抜く為のスーツ

そのウェタ・ワークショップが、『流転の地球』のスーツ制作の裏側を披露するメイキング映像を公開している。『流転の地球』で描かれたのは、地表は凍え、人間が活動するには過酷な環境となった地球だ。太陽の爆発が近づく中で、人類は“地球ごと”太陽圏を脱出することを決意。10,000個もの推進機関を地球に設置し、太陽系に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリを目指す——。そこで必要となるのが、過酷な環境下でも活動できる防護スーツだ。トレイラーやポスターで幾度となく登場する特徴的なスーツを、ウェタはどのようにして作り上げたのだろうか。

オファーの経緯を紹介

メイキング映像には、ウェタの共同創業者でありクリエイティブ・ディレクターでもあるリチャード・テイラーが登場。中国人デザイナーによって制作された美しいコンセプトアートとともに、『流転の地球』での“ヒーロースーツ”の制作のオファーを受けたと話している。テイラーは、「ウェタ・ワークショップでは、デザインに情熱を持てることが最優先事項」と、『流転の地球』がワクワクしながら制作に臨める作品であったことを認めている。

制作時の苦労が明らかに

ウェタが制作したのは、5つの外骨格と15のヘルメットおよびバックパック、そしての19のスーツだ。膨大な数の色の組み合わせや、素材や重さ、3Dとの相性を試し、中国の撮影チームと連携しながら完成させたという。また、『流転の地球』は中国の青島で撮影が行われた為、ニュージーランドにスタジオを置くウェタ・ワークショップは、同作に出演する俳優陣と接触する機会を持つことができなかった。この為、多くの人々に“試着”を依頼し、サイズの調整を行った様子も紹介されている。

「パーフェクト・コラボレーション」

メイキング映像には、中国から制作チームが見学に来た際の様子も公開されている。映画制作を通じて中国のスタッフとニュージーランドのスタッフが交流を持つ様子が紹介された。ウェタの共同創業者、リチャード・テイラーは、今回の『流転の地球』での仕事を「パーフェクト・コラボレーション」と評価している。
『流転の地球』に出演し、自ら出資も行ったウー・ジン (呉京) は、「同作の制作に7,000人もの人々が携わり、SF映画制作に関する教養を育んだこと」の大切さを強調していた。ハリウッド以外の場所でブロックバスター映画が制作されたこと自体が特別な意味を持っているのだ。中国史上初のSFブロックバスター作品として制作された『流転の地球』は、映画制作の現場で、中国とニュージーランドを繋ぐ架け橋となったようだ。

Source
Weta Workshop

VG+編集部

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