『シャン・チー』大ヒットスタート
MCU最新作にして映画第25作目となる『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は2021年9月3日(金)に劇場公開を開始。世界中で初週末の興行収入第1位を獲得する大ヒットを記録している。この好成績が10月15日(金)米公開を予定していた映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の10月1日(金)への公開繰り上げに影響を与えたとされている。MCU新ヒーローの誕生はコロナ禍での大ヒットと共に幕を開けている。
そんな『シャン・チー』にもMCUでお馴染みのポストクレジットシーン(ミッドクレジットシーン)が用意されている。その解説はこちらの記事に詳しいが、今回、米Marvel.comで本作の指揮をとったデスティン・ダニエル・クレットン監督や出演者らがその意図について語っている。
以下の内容は、映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』の内容に関するネタバレを含みます。
ポストクレジットシーンの秘密
『シャン・チー』のエンディングでは、世界を救ったシャン・チーとケイティがサンフランシスコに戻り、友人たちと食事を楽しむ。二人は中国での大冒険について語るが、奇妙奇天烈な話の数々に友人たちはついていけない様子。そこに『ドクター・ストレンジ』(2016) でお馴染みのウォンがスリングリングを使って現れ、シャン・チーとケイティを会議に招待する。それも大物二人が待つ会議に。
シャン・チーを演じたシム・リウはこのシーンを「完璧なポストクレジットの構成だったと思います。これから起こることに備えるとともに、MCUという名のサーカスへの完璧な歓迎になっていました」と語る。無名の俳優からMCUの新時代を飾る新ヒーローに抜擢されたシム・リウは、このポストクレジットシーンへの招待を受けたシャン・チーを自分自身と重ね合わせてこう話している。
誰かが私に向かって「あなたの人生はここから変わる。永遠に」と言っているようなものでした。ウォンが私の顔をじっと見て、「これから君たちの人生は想像したこともないようなものになるだろう」と言うのです。
確かにウォンのこのセリフは非常に印象的だった。シャン・チーのように、そしてシム・リウのように、ある日突然人生が大きく変わることがあり得るということを多くの人に伝えたのではないだろうか。
なお、ケイティを演じたオークワフィナは、ポストクレジットシーンでテン・リングスの内部でシグナルを送るビーコンについて、「ケイティと同じで、何が起きているのかは私にも分かりません。でも、何かがあることは分かります。何かが起ころうとしているんです」と語っている。
誰が最適か
そして、ミッドクレジットの“会議”シーンについて、『シャン・チー』のプロデューサーであるジョナサン・シュワルツはキーパーソンとしてウォンの存在を挙げている。ウォンを「gateway(入り口)」とした上で、以下のように語っている。
私たちは観客の皆さんにシャン・チーが巨大なものの一部であることを示したかったんです。それが目的としてあって、「そう、彼は彼女ら/彼らの一員であり、一連の出来事に関わっているんだ」と言うために、誰がシャン・チーと話すべきなのかという話になりました。
私とデスティン・ダニエル・クレットン監督とケヴィン・ファイギは「誰が正しいのか? 誰がそのシーンを演じるべきか? キャラクターとしても、MCUで進んでいる物語的にも誰が正しいのか?」と言うことを話し合いました。その結果、ウォン、ブルース、キャロルが指輪について分かることを共有し、シャン・チーを大きなユニバースに迎え入れることになったのです。
確かに、残されたアベンジャーズのメンバーでは、ソーは宇宙に旅に出ており、ワンダやピーター・パーカーは大変な状況、サム・ウィルソンもキャプテンになる前のタイミングだと考えられる。ハルクことブルース・バナーは右手を負傷したままだが、その見た目は元の人間の姿に戻っている。キャロル・ダンバースはまた髪型を変えて忙しそうにしている。このミッドクレジットシーンでは、それぞれの物語が同時進行しているMCUらしさを見せながら、シャン・チーがアベンジャーズという大きな流れに合流していることを示しているのだ。
だが、プロデューサーのジョナサン・シュワルツが徹底して「アベンジャーズ」という言葉を避けて「巨大なもの」「大きなユニバース」と表現している気がする。映画の中でも「サーカス」という表現に置き換えられていた。ポストクレジットシーンでも明言されなかったシャン・チーのアベンジャーズ加入は、どこか別のタイミングで正式に示されることになりそうだ。
「完璧なエンディング」
そして、『ドクター・ストレンジ』以降、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) にも『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) にも登場し、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告でもその姿を現しているウォン。ジョナサン・シュワルツもウォンを「入り口」と話すが、デスティン・ダニエル・クレットン監督もウォンの存在を称賛している。
ベネディクト(ウォン)は、とてもパワフルな俳優です。彼がシーンに登場するとエネルギーが変化するのを感じます。そして二人のヒーローをMCUの広大な世界に導いてくれるというのは、この映画にとって完璧なエンディングだと感じました。
ウォンは劇中でも『インクレディブル・ハルク』(2008) に登場したアボミネーションを優しく指導する姿を見せていた。最後には「ホテル・カリフォルニア」を歌う姿を見せるなど、今まで以上に魅力的な姿を披露している。
『シャン・チー』のミッドクレジットとポストクレジットシーンではMCUフェーズ4の“進行形”の形を垣間見ることができた。今後どのような展開を見せるのか、まだまだMCUから目が離せない。
映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』は2021年9月3日(金)より全国で公開中。
ミッドクレジットとポストクレジットの解説はこちらから。
シャーリンがフェーズ4に呼び込んだ新たな流れについては、こちらで詳しく考察している。
シャーリンを演じたメンガー・チャンが語るシャーリンの撮影秘話はこちらから。