『流転の地球』撮影現場の様子は…?
韓国人キャストが語る撮影秘話
中国初のブロックバスターSF映画『流転の地球 (原題: 流浪地球、英題: The Wandering Earth)』。Netflixでの配信が決定し、日本でも公開に期待が高まっている。そんな中、『流転の地球』に出演した韓国人のチェ・キョンジョンが、同作の撮影秘話を明らかにしている。
実は役者じゃなかった!?
中国メディア Global Timesのインタビューに答えたチェ・キョンジョンは、『流転の地球』への出演が決まった際の意外なエピソードを披露した。実は、彼は役者ではなく、普段はトレーダーとして働いている。ある日、仕事から帰宅すると、妻から「友人が (『流転の地球』のオーディションのために) 中国に住む韓国人を捜している」と告げられたのだという。そこでチェは、身長、体重、年齢、そして経歴を紹介する15秒の動画を撮影。すると翌日には制作側から連絡を受け、『流転の地球』への出演が決定したのだ。
公開されないかと……
普段はトレーダーとして働く自分が、いきなり世界が注目するブロックバスター映画に——一見すると夢のような展開だが、『流転の地球』の公開までは、ことの重大性にピンときていなかったようだ。チェ・キョンジョンは、同作が公開されるのは「2018年の春節」と聞かされていたが、同年の春節には、彼が出演している作品はどこにも見当たらなかった。結局、チェは、同作が2019年の春節に公開されることが決まったと妻に聞かされるまで、『流転の地球』は「公開されないだろう」と思っていたのだとか…。
明かされる撮影現場の様子
その背景には、『流転の地球』の“リアル”な撮影現場での経験もあったのかもしれない。撮影現場は非常に慌ただしい様子だったというが、指揮をとったフラント・グォ監督は非常に親切に彼に接してくれたという。またチェは、グォ監督から同作への出演について謝意も伝えられたという。
撮影は、チェ以外の二人の韓国人も参加したが、セリフがあったのはチェだけ。30キロのスーツを着ながら挑んだ撮影は、午後8時から午前3時まで続き、「家に帰って母に会いたい」というセリフにも実感を込めることができたのだとか。彼の出演料は1,000元 (約1万6,600円)と、ホテルの宿泊費+交通費。財政上の問題で、一時は撮影継続も危ぶまれた『流転の地球』のリアルな撮影現場が目に浮かぶ。
地球規模の作品に
まさに“地球規模”の作品である『流転の地球』には、様々な国の人々が登場する。加えて、ドイツのVFX制作チームや、ニュージーランドのスーツ制作チームも制作に参加している。ニュージーランドで行われたスーツ制作では、現場の役者とサイズを合わせることができなかったという苦労が語られている。
今回ご紹介したチェが着込んだ30キロのスーツは、そのニュージーランドで制作されたスーツだ。海をこえて、中国で韓国人キャストの衣装として使用されることになった。様々なキャストとスタッフの努力が結実し、『流転の地球』は史上最大の中国SF映画として公開にこぎつけたのだった。
驚異的な興行成績
『流転の地球』はアジア初のヒューゴー賞長編小説部門受賞を達成したリュウ・ジキン (劉慈欣)が2000年に発表した短編小説「さまよえる地球」を実写映画化した作品。春節 (旧正月) に中国で公開されるや驚異的な興行収入を叩き出した。2019年4月7日現在、2019年の興収ランキングで約6億9,900万ドルを記録し、『キャプテン・マーベル』に次ぐ第2位につけている。日本でも公開を待ち望む声が上がっていたが、Netflixが世界190ヶ国での配信を発表。日本語ページも登場し、映画ファン、SFファンたちは配信開始を今か今かと待ちわびている。なお、チェの出身の韓国では、2019年4月18日より劇場公開されることが決まった。
世界中で公開と配信が進めば、更なら撮影秘話や舞台裏も明らかになるかもしれない。Netflixでの配信開始と、あわよくば日本でも劇場公開される日を待とう。
Source
Global Times