ネタバレ解説『猿の惑星/キングダム』時系列は? 全10作、旧5部作から『聖戦記』含むタイムラインをおさらい | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『猿の惑星/キングダム』時系列は? 全10作、旧5部作から『聖戦記』含むタイムラインをおさらい

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『猿の惑星/キングダム』公開

「猿の惑星」フランチャイズの最新作『猿の惑星/キングダム』が2024年5月10日(金) より全国の劇場で公開された。1968年公開の映画『猿の惑星』から数えてフランチャイズ10作目となる本作は、前作『猿の惑星/聖戦記』(2017) から300年後が舞台になる。

初代『猿の惑星』では3978年が舞台となり、『猿の惑星:創世記』(2011) から幕を開けたリブート三部作では現代が舞台になった。「猿の惑星」の時系列は少々ややこしくなっており、今回は「猿の惑星」作品のタイムラインをおさらいしてみよう。時系列を理解することで、次に起きることも見えてくるかもしれない。

なお、以下の内容は『猿の惑星/キングダム』を含む「猿の惑星」全作品のネタバレを含むのでご注意いただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『猿の惑星/キングダム』およびそれまでの「猿の惑星」作品の内容および結末に関するネタバレを含みます。

「猿の惑星」シリーズの時系列は?

「猿の惑星」シリーズ最新作『猿の惑星/キングダム』では、前作『猿の惑星/聖戦記』から300年後が舞台となっている(劇中では「数世代後」とされているが、予告やパンフレットの公式設定は「300年後」とされている)。かつて人間が住んでいた街は廃墟と化す段階を超え、もはや自然の一部になっている。かつての人類が生きた遺跡の上に動物が暮らしているという状態だ。

「猿の惑星」シリーズは、2011年公開の『猿の惑星:創世記』からリブート三部作が制作され、地球が猿の惑星へと変貌することになった経緯が描かれた。1968年公開の『猿の惑星』からのオリジナル5部作は地球が猿の惑星となって以降の物語だ。『猿の惑星/キングダム』はその中間に位置する作品で、物語としてはリブート三部作→キングダム→オリジナル5部作という流れになる。ここからは、その流れを時系列順で紹介していこう。

『猿の惑星:創世記』——2008年〜2016年

2011年に公開された『猿の惑星:創世記』は現代を舞台にした作品で、製薬会社ジェネシスに勤める主人公のウィルはアルツハイマーの治療薬を開発している。2008年、その薬を実験用のチンパンジーに投与して知能が劇的に向上したブライトアイズという雌猿は密かに子どもを産んでいた。研究が中止され、猿が殺処分されそうになる中、ウィルはその子猿を連れ帰って育てることにした。

ウィルはこの子猿に“シーザー”と名付け、手話を教えて、アルツハイマー型認知症になった父と一緒に育てることにした。3年後の2011年には、ウィルは恋人になるキャロラインと出会い、シーザーが後に猿達の最初の拠点とするミュアウッズ国定公園を訪れる。シーザーにはこの人間と生活していた頃の幸せな思い出があり、そこから生まれたシーザーの人類に対する慈悲によって、人類の寿命は数世紀単位で伸びたと考えられる。

その5年後の2016年、ウィルの父のアルツハイマーが再発したことをきっかけにシーザーが近隣住民とトラブルを起こしてしまい、シーザーは保護施設に預けられる。そこで虐待を受けて「ノー!(No!)」と声をあげたことが猿が発した最初の言葉になった。

なお、賢い母から生まれた子猿がシーザーとなり、猿のリーダーとなっていく展開はオリジナル5部作の第3作目『新・猿の惑星』(1971) からの三作で描かれた前史とも一致する(具体的な経緯は大きく異なるが)。また、最初に話した言葉が「ノー」であったということも同作で語られたことだ。

ウィルは治療薬を改良したALX113を完成させていたが、シーザーはこれを盗み出して保護施設の猿達に散布した。猿達は脱走し、ゴールデンゲートブリッジで警官隊を圧倒すると、シーザーの思い出のミュアウッズ国定公園へと姿を消した。その戦いの中で、ジェネシス社から虐待を受けて育ったコバはウィルの上司のジェイコブスが乗ったヘリを橋から蹴り落とし、初めて猿による意図的な殺人が行われた。

また、『猿の惑星:創世記』のラストでは、猿の知能を向上させたALZ113は人類にとっては死に至る感染症を起こすウイルスで、”猿インフルエンザ”と呼ばれる感染症が広がっていったことが明かされる。猿社会の勃興と共に人類の文明の没落が始まるというクレバーな設定だ。時系列としては、この時点で2016年になっている。

『猿の惑星:新世紀』——2026年

2014年公開、シリーズ最大のヒット作となった『猿の惑星:新世紀』は、時系列としてはシンプルで、前作から10年が経過した2026年が舞台になっている。人類の文明は衰退していたが、シーザー達はミュアウッズ国定公園に集落を作って平和に暮らしていた。

猿の社会は「エイプはエイプを殺さない」というシーザーが作った掟の上に成り立っている。先述の『新・猿の惑星』では、猿のコーネリアス(シーザーの息子とは別人)によって、「人は人を殺すが、猿は猿を殺さない」という言葉が紹介され、人類衰退の要因は人類が殺し合いをしたからだと指摘されている。

『猿の惑星:新世紀』では、シーザーにはブルーアイズという名の息子がおり、第二子としてコーネリアスが生まれる。その集落の近くをマルコムら人間が水力発電所を起動するために訪れ、遭遇したコバの息子を銃撃してしまう。シーザーは怒るコバの意見も汲み取り、仲間を連れてサンフランシスコの人間の集落に出向くと、互いに縄張りを侵害しないことを宣言して帰っていく。

この不可侵の約束は人間社会を生きながらえさせることにもなり得たが、電力を必要としていた人間側は、マルコムの説得によって水力発電所での作業を許可された。電力は復活するも、シーザーの行動に不満を抱いていたコバがクーデターを起こす。このクーデターに用いられたのが人間の銃だ。これが人間の武器を使わなかった猿達が初めて銃を手にした瞬間であり、『猿の惑星/キングダム』ではプロキシマスの部下達はスタンバトン(電流が流れる棒)という武器を使っている。

コバはシーザーを狙撃し、猿の集落に火を放つと、人間社会への侵攻を開始。命令に従わない猿を粛清するなど、「猿による猿殺し」の歴史も幕をあけている。一方のシーザーは重症のところをマルコムらに助けられ、人間と共同戦線を結ぶ。ブルーアイズ、モーリス、ロケットらシーザー側の猿達と反撃したシーザーは、「もはやエイプではない」としてコバを殺す。シーザーは、「エイプはエイプを殺さない」という掟を自ら歪曲する形で破ることになった。

『猿の惑星:新世紀』の2026年の段階でも、シーザーはマルコムと友情を結び、人類にも良い人間がいることを理解している。それでも、猿達を守るためには馴れ合いはできないというのがシーザーの姿勢だ。なお、“マルコム”というキャラクター名は、『猿の惑星・征服』(1972) に登場する猿のリーダー・シーザーを助ける人間マクドナルドのコミック版におけるファーストネームと同じである(続編の『最後の猿の惑星』(1973) に登場するマクドナルドはブルースという名前になっている)。

『新世紀』のラストでは、人間の援軍がサンフランシスコに近づいており、シーザーは同じ猿であるコバが生んだ火種を受け入れる。マルコムとは別れて戦争への準備を始めるのだ。人類と猿が分離して暮らしていた平和な時期は、わずか10年だけだったということだ。

『猿の惑星:聖戦記』——2028年

2017年公開、「猿の惑星」リブート三部作の最後を飾った『猿の惑星:聖戦記』は、『新世紀』の2年後=2028年が舞台。シーザー率いる猿達は、ウェズリー・マカロー大佐率いる人間の軍隊と抗争に直面していた。かつてのコバの部下を中心に人間側に寝返る猿も現れている。

そんな中、偵察の旅に出ていたロケットとブルーアイズが新天地を発見して帰還。しかし、その夜にシーザーの集落は大佐の部隊に襲撃され、妻のコーネリアと息子のブルーアイズを殺されてしまう。大佐への復讐を誓ったシーザーは、新天地へ向かうコーネリアス達に群れを預けて復讐の旅に出るのだった。

これについてきたロケットとモーリス、ルカ、旅の途中で出会った喋れない少女ノヴァと、動物園で育ったバッド・エイプをを加えた一行は、大佐の基地を目指す。ノヴァの登場は、喋れない女性にノヴァと名付ける猿の習慣が生まれたこと、バッド・エイプの登場は、シーザーの集団以外にも喋れる猿が存在したことを示す重要な歴史である。

その後、シーザーは基地で捕まり、人間から喋る能力と理性を奪う猿インフルエンザの変異株が登場したことを大佐から聞かされる。大佐はその変異株に罹患した自分の子どもを自らの手で殺したこと、人類を守るために感染者を処刑していることを明かした。擁護できるものではないが、理解不能に思われた殺戮者にもロジックがあるということが示される衝撃の展開だった。

ロケットの手引きで捕えられていた猿達が大脱走に挑む中、大佐の部隊を討伐しようとする人間軍の本隊も到着。シーザーはその混乱に乗じて大佐に復讐を果たそうとするが、大佐の部屋で見たのは、ノヴァが落としたぬいぐるみから新型猿インフルエンザに罹患して喋れなくなった大佐の姿だった。

その姿を見たシーザーは復讐を止めるが、大佐は「感染者を殺して人類を守る」という自分のロジックを貫いて自害。そして、人間軍の本隊は雪崩によって壊滅し、自然の力が武器を持つ人間達を圧倒した。人間と猿の戦いは意外な形で幕を下ろしている。

シーザーは群れを率いて新天地へ到着するが、戦いでの負傷によって弱りきっていた。仲間の猿達とノヴァが新天地にたどり着いたことを見届けてシーザーはその生涯の幕を閉じる。そして、シーザーは伝説になる。『猿の惑星/キングダム』の冒頭では、猿達がシーザーを弔うシーンが描かれている。

『猿の惑星:聖戦記』が重要だったのは、2028年の時点で人類が言葉を失い始めたという歴史が示された点だった。初代『猿の惑星』では人類は喋る力を失っているが、それが猿インフルエンザの変異株による症状だったということが示唆されたのだ。

『猿の惑星/キングダム』——2328年頃

「前作から300年後が舞台」と銘打たれた『猿の惑星/キングダム』が2024年5月10日(金) より公開。単純計算で2328年頃が舞台だと考えられる。『猿の惑星/キングダム』では、イーグル族と呼ばれるワシと共に暮らす猿の部族が紹介されている。前作ではシーザーの群れの外にいたバッド・エイプが見つかったが、本作では猿のコミュニティは完全に分裂している。

主人公のノアはシーザーの伝説について知らない一方で、独裁者の猿プロキシマスはシーザー伝説を利用して猿達を支配し、そのプロキシマスに村を破壊されたラカは本来のシーザーの教義を信奉していた。シーザーの「エイプ 一緒なら 強い」「エイプはエイプを殺さない」という教義は生きているが、プロキシマスは前者を都合よく使うのみで、300年の時が世界を変えたことを示している。

人間の方はというと、文明を保持しているノヴァ/メイが登場。ラストでは一部の人類は基地の中で現代と変わらない文明と共に生き延びており、人工衛星を用いた遠方への通信にも成功している。一方で『猿の惑星:聖戦記』で言及された、変異株に感染して動物のような生き方をするようになった人間の群れも登場する。このことから、2328年の地球では文明を保持して反撃の機会を狙う人間と、変異株に感染して野生に戻った人間の二種類が生存していると推測できる。

また、『猿の惑星/キングダム』ではプロキシマスが人間の遺したシェルターから武器や知識を含む人類の文明を手に入れようとする。このシェルター/貯蔵庫とそこにあった「ママ」と声を出す人形は『猿の惑星』第1作目に登場したものであり、1650年が経過した同作では猿達はその存在を隠し通している。人間が高度な文明を持っていたという歴史を隠蔽するためだ。

『猿の惑星』——3978年

そして、1968年公開の第1作目『猿の惑星』3978年が舞台。『猿の惑星/キングダム』の1650年後ということになる。『猿の惑星/キングダム』は宇宙の存在を強調する形で幕を下ろしたが、『猿の惑星』は宇宙船イカルス号の内部から幕が開く。『猿の惑星:創世記』では2016年の時点で打ち上げから8ヶ月が経ったイカルス号が火星の探査に入り、その後遭難したと報道されている。

『猿の惑星』では、船内の時間は1972年7月14日で、準光速航行によって地球の時間は2673年3月23日になっているとされている。4人のクルーが冬眠状態に入った後、船はある惑星に落下。主人公の宇宙飛行士テイラーは、時代が3978年になっていることを知り、最後には猿に支配されたこの惑星が未来の地球であったことを知るのだった。

3978年の地球では、人類は喋れないようになっており、服装も『猿の惑星/キングダム』で登場した野生の人類のようにボロ布を身にまとっている。『猿の惑星』に登場する集落はジーラ博士とその夫のコーネリアスがいる村だけだが、『猿の惑星/キングダム』を見るに、猿の間でも分裂して集落や国家が存在していた可能性もあるだろう。

ちなみにこの頃には猿もかつての人間と同じように服を着ている他、脳外科手術も行えるようになっており、『猿の惑星/キングダム』から大きく進化している。また、猿が崇める神の像はシーザーのようなチンパンジーではなくオランウータンに似た姿をしている。1650年も経てば、シーザー伝説も歪曲されきったということだろうか(キリストの肌も本当は褐色だったが、歴史の中で白人にすり替えられている)。

本作で人間の主人公テイラーは、“禁断の地”とされていた場所(『キングダム』に登場した貯蔵庫の跡地)で、人類がかつて栄えていたことを示す遺産があることを猿側に証明した。ラストでは、テイラーは現地で出会った喋れない人類のノヴァと旅に出るが、禁断の地の果てで自由の女神像を見つけ、人間の愚かさに絶望して幕を閉じる。

『続・猿の惑星』——3955年?

『続・猿の惑星』(1970) の舞台は3955年。行方不明になったテイラーを探していた宇宙飛行士のブレントが猿の惑星にたどり着く。テイラーは旅の中で怪奇現象に直面し、一時、エヴァと離れることに。エヴァはブレントと出会い、二人はテイラーを探して旅に出る。そう、『続・猿の惑星』は『猿の惑星』の後の話なのに、3978年から3955年に時代が戻っているのだ。

これは、『猿の惑星』が続編を想定していなかったために生じた矛盾とされており、特に理由づけは行われていない。もうこの時点で年表は台無しになるのだが、『続・猿の惑星』は『猿の惑星』の直後の話だということだけ覚えておけば大丈夫だ。

『続・猿の惑星』では、超能力を使う新人類が地下で生き延びていたことが明らかになる。『猿の惑星/キングダム』でも文明を保持している人類が生き残っており、野生になった人類と進化した人類の二種類が存在するというコンセプトは、『続・猿の惑星』から『キングダム』へ継承されたと言える。

新人類は核弾頭の一種であるコバルト爆弾を保持しており、猿と新人類が戦闘を繰り広げる中、ノヴァを殺されたテイラーは人類に絶望し、コバルト爆弾を起動して地球を破壊した。これで『猿の惑星:創世記』から始まる「猿の惑星」フランチャイズの地球に関する時系列は終了することになる。だが、本シリーズが面白いのはここからだ。

『新・猿の惑星』——1973年(タイムスリップ後)

『続・猿の惑星』でオランウータン族とゴリラ族が人類と戦争を繰り広げている間、チンパンジーのジーラとコーネリアス、そして知人のマイロはテイラーのイカルス号を修理して宇宙へ脱出していた。しかし、地球が爆発した影響で時空が歪み、ジーラ達は1973年の地球に到着してしまう。これが1971年に公開された『新・猿の惑星』の冒頭部分だ。

つまり、「猿の惑星」は第1作目で猿に支配された未来の人類、第2作目でミュータントになった新人類、第3作目でタイムスリップというSF劇を惜しみなくやってきたシリーズなのだ。1973年の地球で、ジーラとコーネリアスは動物園に入れられ、そこでマイロを失ったりしながらも人間社会から人気を得て現代社会を謳歌する。しかし、ジーラが妊娠していることを知った一部の人類が、将来的に人類が猿に支配される未来を恐れてジーラとコーネリアスは追われることになる。

尋問の中でコーネリアスは、伝染病で犬や猫が死に始め、感染を防ぐために多くのペットが殺処分にされたこと、伝染病がおさまった頃に猿が新たなペットに選ばれたという前史を紹介する。そして、次第に猿は賢くなり、2世紀も経たないうちに人間の仕事を手伝えるようになったが、奴隷のような扱いを嫌って反乱を起こしたというのが猿が頂点に立った経緯だと話している。

その時の猿のリーダーの名前は“アルドー”で、シーザーの伝説はでてこない。一方で、ジーラとコーネリアスは結局殺されてしまうのだが、ジーラは無事に出産した赤ん坊に、死んだ友人の名前を取ってマイロと名付け、ある方法で生き延びさせることに成功していた。『新・猿の惑星』のラストは、マイロが「ママ」と最初の言葉を発して幕を閉じる。先述のように、死んだ聡明な母が子どもを遺した、という設定は『猿の惑星:創世記』に受け継がれている。

『猿の惑星・征服』——1991年(タイムスリップ後)

1972年公開の第4作目『猿の惑星・征服』は、18年後の1991年が舞台。コーネリアスが話した歴史の通り、犬や猫が伝染病で死滅し、猿がペットになる時代に。つまり、地球が猿の惑星になる歴史が繰り返されているのだ。

青年になったマイロは、今作では生きていることを隠すためか、「シーザー」と名付けられている。人間からシーザーという名前をつけられるという点も『猿の惑星:創世記』が継承している設定だ。しかし、コーネリアスが語った歴史の通りに人間に逆らい、生きているとを疑われることに。姿を隠すために育ての親のアーマンドから離れたマイロは、新たな奴隷主である知事に辞書の単語から名前を選ぶように言われ、「シーザー」を選んだ。

『創世記』は、『猿の惑星・征服』の影響を強く受けており、シーザーのオリジンを描きなおした作品でもある。『征服』で反乱を起こしたシーザーは、マクドナルドら一部の人間と協力しつつ、育ての親を殺されたことへの復讐心を説得される形で自制して、猿の惑星の誕生を宣言している。

先述の通り、コミック版ではマクドナルドの名前はマルコムとなっている。リブート三部作の『新世紀』でシーザーがマルコムと別れて人類との戦争に突入したことを考えると、マルコムという名の人間と共存するかどうかが歴史の転換点になっている可能性も考えられる。

この時点で「猿の惑星」シリーズとしては、最初に猿を率いたシーザーのオリジンが二つ存在することになる。もちろん、時代設定やアルドーという最初の猿の名前など、矛盾点の多い第二作目以降を「なかったこと」にして考えてもいい。だが、時系列で見れば、『猿の惑星・征服』からのシーザーの物語は、いわばタイムトラベルを使った“やり直しの歴史”であり、やり直しても別の形でシーザーが誕生するという見方もできる。

『最後の猿の惑星』——2003年-2670年(タイムスリップ後)

オリジナル5部作の最終作が1973年公開の『最後の猿の惑星』だ。1968年から1973年までで5作品を世に送り出したのだから驚異的なペースである。舞台は2003年に移行し、猿と人間の核戦争を経て猿が人間を召使としている社会が描かれている。

集落の長になったシーザーは、母のジーラが遺した過去の記録から、猿が世界を滅ぼすという未来を知ることに。『最後の猿の惑星』は『猿の惑星:聖戦記』に大きな影響を与えた作品で、同じようにゴリラが人間側に寝返ったり、シーザーの息子が殺されて復讐心に燃えたりする。人間と猿の敵、両方を相手にしなければならないという展開も似ているポイントだ。

人間を敵対視するゴリラの名前はアルドーで、シーザーの父であるコーネリアスが口にした猿のリーダーの名前と同じだ。アルドーはコバのように人類に同情するシーザーに反抗するが、アルドーは殺され、最後には人間のマクドナルドの助言もあり、シーザーは猿と人類の対等な関係になることを宣言する。

ラストは2670年の未来が描かれ、子猿と人間の子ども達がシーザーの伝説を一緒に聞く姿を見ているシーザー像が涙を流すシーンで幕を閉じる。アルドーが最初の長老になった世界線が、人間を奴隷にして地球を破滅に導く世界線であり、シーザーが最初の長老になった世界線が、人と猿が平等に暮らす地球を誕生させる世界線だったと考えられる。

まぁ、そうなるとリブート版のシーザーが最初の長老になった世界線は……? ということになるのだが、細かいことは気にしてもしょうがない。とはいえ、『猿の惑星/キングダム』のラストは宇宙を意識して終わるため、今後は『新・猿の惑星』のように宇宙に出て過去に戻り、歴史をやり直すという展開もあり得るだろう。オリジナル5部作での過去に戻っての「やり直し」も、何度目かのやり直しなのかも知れない。

リブート三部作と『猿の惑星/キングダム』から1650年後の『猿の惑星』にどう繋がるのか、あるいは繋がらないのかというのを考えるのも「猿の惑星」の楽しみ方の一つ。『猿の惑星/キングダム』の大ヒットによって「猿の惑星」フランチャイズが再起動することは確実視されている。次はどんな物語が描かれるのか、続報を楽しみに待とう。

映画『猿の惑星/キングダム』は2024年5月10日(金)より全国の劇場で公開。

映画『猿の惑星/キングダム』公式サイト

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『猿の惑星/キングダム』ラストのネタバレ解説はこちらから。

メイ視点で本作を振り返ることで見えてくる事実はこちらの記事で解説している。

続編についてのネタバレありの考察はこちらから。

『猿の惑星/キングダム』におけるプロキシマス・シーザーについての考察はこちらの記事で。

『猿の惑星/キングダム』におけるシーザーの遺産(レガシー)とも呼べる教義についてはこちらから。

ウェス・ボール監督が手がける実写版『ゼルダの伝説』の情報はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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