ラスト&ポストクレジット解説『ゴールデンカムイ』 最後の意味は? 続編はある? ネタバレ考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

ラスト&ポストクレジット解説『ゴールデンカムイ』 最後の意味は? 続編はある? ネタバレ考察&感想

©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

実写版『ゴールデンカムイ』公開

2014年から2022年まで週刊ヤングジャンプで連載され、2024年の時点で2700万部を突破している大ヒット作『ゴールデンカムイ』。その実写化作品である映画『ゴールデンカムイ』が2024年1月19日に全国公開された。セットや小道具の細部に至るまで、実際のアイヌにルーツを持つ職人の手作りという徹底的な映像美には予告編から衝撃を受けた。

その反面、事前に公開されている主要な俳優の中でアイヌにルーツを持つのが秋辺デボのみなど、批判的な意見もあった実写版『ゴールデンカムイ』。本記事ではそのような実写版『ゴールデンカムイ』のラストにかけての演出などについて解説と考察をしていこう。なお、本記事には実写版『ゴールデンカムイ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ゴールデンカムイ』の内容に関するネタバレを含みます。

日本映画の底力

アシㇼパとの別れ

マキタスポーツ演じる後藤竹千代から刺青人皮とアイヌの隠し埋蔵金の話を聞いた山崎賢人演じる“不死身の杉本”こと杉本佐一。そして、杉本はアイヌの隠し埋蔵金にまつわる事件で井浦新演じる父親(アチャ)を喪った山田杏奈演じるアシㇼパと出会い、共にアイヌの隠し埋蔵金を探すことになる。その最中、矢本悠馬演じる脱獄王こと白石由竹や、陸軍最強と称される第七師団の狙撃手の真栄田郷敦演じる尾形百之助と遭遇し、何度もピンチを乗り越えることになる杉本とアシㇼパ。

それらの死線を越え、アシㇼパの暮らすコタンに訪れた杉本は、そこでアシㇼパが愛されている姿を目にする。かつて日露戦争の最中、激戦区と言われた二百三高地の旅順攻囲戦で大量のロシア兵を殺し、仲間の日本兵の死体を盾にして前へと突き進んだ杉本。杉本は秋辺デボ演じるアシㇼパの大叔父の言葉を受け、この危険なアイヌの隠し埋蔵金強奪戦にアシㇼパを巻き込まないと決め、人知れずコタンを後にするのだった。

鶴見中尉の狂気

その頃、玉木宏演じる第七師団の鶴見篤四郎は杉本とアシㇼパの後を追って行方不明になった大谷亮平演じる谷垣源次郎ら部下を捜索していた。秋田県阿仁のマタギ出身である谷垣が山中で遭難するとは考えられないと考察する鶴見中尉。そこに鶴見中尉の上官が尾形らといった部下を無断で任務に当たらせ、危険な目に合わせたことに怒り、怒鳴り込んでくる。

鶴見中尉の頭の傷について触れる上官。鶴見中尉は旅順攻囲戦の砲撃で頭蓋骨を一部損傷し、前頭葉を一部失っていた。その傷口を塞ぐように陶器の額当てをつけている鶴見中尉。それを理由に鶴見中尉には第七師団を指揮することは不可能だと上官は罵るが、鶴見中尉は笑顔で指を噛み千切り、部下の工藤阿須加演じる月島基に上官を撃ち殺させるのだった。

ここは、陸軍最強と呼ばれる第七師団の兵士たちが日本政府にではなく、狂気を持った鶴見中尉に心酔していることが考察できる演出となっている。また、鶴見中尉が「同志は未だ冷たい石の下だ」と語ることで、第七師団の心は未だ日露戦争の中にあり、その点は杉本と共通しているとも考察できるようになっている。

和泉守兼定

翌日の朝、小樽で日が高い時間から女遊びに精を出す白石。そこで白石は柔道の達人であり、無類の女好きの“不敗の牛山”こと、勝矢演じる牛山辰馬と出くわす。牛山は舘ひろし演じる戊辰戦争の亡霊こと“新撰組鬼の副長”土方歳三と取引を結んでいた。白石は杉本から刺青人皮は剥いで繋げることが前提で彫られていると言われたことを思い出し、その場を逃げ出す。

牛山に追われる白石は栁俊太郎演じる双子の第七師団兵士、二階堂洋平と浩平にぶつかってしまう。そこで咄嗟に牛山のことを他人のふりをして売る白石。それによって陸軍最強の第七師団と戊辰戦争の亡霊と呼ばれる土方歳三陣営の銃撃戦がはじまってしまった。

しかし、それらすべては土方歳三による陽動作戦だと鶴見中尉は考察する。そう、土方歳三の真の目的は北のウォール街と呼ばれる小樽の百八十四銀行から、愛刀である和泉守兼定と当分の軍事資金を手に入れることだったのだ。

蝋燭ボリボリ

白石の語っていた脱獄の主犯格であり、アイヌの隠し埋蔵金事件の主犯格でもある存在“のっぺらぼう”。“のっぺらぼう”は刺青を彫った囚人に小樽に集まるようにと指示を出していたため、それを聞いた杉本も小樽にいた。蕎麦屋で食事をしていたところ二階堂兄弟に捕まり乱闘騒ぎになる杉本と第七師団。

そこに鶴見中尉が駆けつける。鶴見中尉は尾形の残した“ふじみ”という言葉から第一師団の不死身の杉本が尾形を倒した犯人だと考察していた。そして杉本を第七師団のアジトまで連れ去ると、団子を食べながら尋問を始める。その団子の串で杉本の頬を貫いて、杉本こそ尾形の残した言葉の不死身の杉本だと突き止めるのだった。

鶴見中尉の目的は第七師団により、北海道に軍事政権を立ち上げることであり、アイヌの隠し埋蔵金はそのための資金だった。そのために芥子畑によるアヘンの製造、鉱山開発による武器製造の拡大を狙っていたのだ。軍事政権発足のためにも確実にアイヌの隠し埋蔵金を手に入れたい第七師団は、杉本に仲間にならないなら拷問も厭わないと発言する。

それにより拷問を受ける杉本だったが、拷問にも動じず、それどころか二階堂兄弟と両手が椅子に縛り付けられた状態で戦い、2人相手に良い勝負をするほど強靭だ。。その頃、アシㇼパは最後の白いエゾオオカミであるレタㇻに靴下から杉本の居場所を探らせていた。だが、靴下は取り違えられており、レタㇻが見つけたのは白石だった。

白石を半ば脅す形で協力させ、第七師団のアジトまで案内させるアシㇼパ。そこで生きている杉本を見て安心する。白石は博打好きという理由からアシㇼパに協力し、全身にヒグマの油を塗り、関節を外して鉄格子の隙間から侵入した。杉本からは妖怪と驚かれながらも杉本の両手を拘束していた縄を外そうとした。そこに二階堂兄弟が入ってくる。

死闘の末の逃亡

事件が起きたと言われ、杉本を監禁していた部屋に向かう鶴見中尉。そこには死にかけた杉本と死体となった二階堂洋平、そして取り押さえられた状態で杉本を殺させろと泣き喚く二階堂浩平がいた。杉本の腸は飛び出しており、杉本は刺青人皮と引き換えに自分を病院に連れていくように取引を持ち掛ける。

部下が病院へと連れていく最中。二階堂洋平の死体に違和感を覚える鶴見中尉。鶴見中尉は死体を検分し、その腸が盗まれていることを突き止める。すべては杉本の作戦であり、杉本は二階堂洋平の腸で自分の腸が飛び出しているように偽装し、逃亡したのだ。それに気が付いて部下たちと共に鶴見中尉は追うが、アシㇼパの合流もあり、杉本には馬で逃げられてしまったのだった。

逃亡後、アシㇼパに謝罪する杉本。恋愛展開になりそうな雰囲気だが、アシㇼパは杉本を制裁棒ストゥで殴り、自分の覚悟を伝える。このような不必要な恋愛展開の無さが『ゴールデンカムイ』の魅力だ。

実際、近年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の調査で、20代の若者の過半数が不必要な恋愛展開に辟易していることが明らかになっている。『ゴールデンカムイ』はそのような作品だと言える。アシㇼパの覚悟の告白に杉本もアイヌの隠し埋蔵金を急いで手にいれないといけない理由を語った。

寅次、梅子、佐一

かつて杉本には泉澤祐希演じる寅次高畑充希演じる梅子という幼馴染がいた。しかし、その3人の平和な日常は杉本家に肺病の感染者が出たことで終わりを迎える。杉本家は佐一を残して3人が死亡。村八分にあった杉本は、村を出るために陸軍に入隊することを選び、実家に火をつけた。そして自分も連れていってという梅子に1年経って発症しなかったら戻ってくると告げて村を去るのだった。

1年後、村に帰って来た杉本は寅次と梅子が結婚していることを知る。寅次は何で戻って来たと杉本に詰め寄るが、杉本は2人の幼馴染の幸せを祝った。その寅次も二百三高地の旅順攻囲戦で杉本を庇い死亡してしまう。この二百三高地の撮影は10日かかり、撮影の相馬大輔はステディカムをつけたまま3~4回転んだと語っている。

原作版『ゴールデンカムイ』では日露戦争に伴い、徐々に日米の関係性が悪くなっていることが寅次の口から解説されている。そのため、視力が悪化していく梅子を腕の良いアメリカの医者に見せるには時間がないことも解説されている。寅次はその他にも自分が死んだら、1900年代当時では子持ちの目の悪い女性が就ける職業や結婚相手はいないと語り、だから梅子を杉本に託すと語って命を落とした。

杉本は梅子のもとに寅次の僅かな遺骨を届けに行くが、視界がほぼ失われていた梅子は戦争で変わり果てた杉本を幼馴染だと気づくことができなかった。杉本はそれを知り、立ち去るとそのまま砂金を取るべく北海道に向ったのだった。

ミッドクレジットシーンとエンドクレジットシーンの意味は?

ミッドクレジットシーンでは土方歳三が和泉守兼定の手入れをしている最中、同じく新選組の生き残りの木場克己演じる永倉新八がロシアから兵器を手に入れたと語っていた。蝦夷共和国をつくるという目的を笑う牛山だったが、土方歳三は実際のアイヌの隠し埋蔵金は二百貫(80億円)ではなく二万貫(8000億円)相当あると語った。

蝦夷共和国とは戊辰戦争末期に旧幕府軍が北海道を支配した際の名称で、他には蝦夷政権、箱館政権、北海道共和国とも呼ばれ、イギリスやフランスには事実上の政権として認められている。土方歳三は蝦夷共和国を再建するにあたり、アイヌの人々と協力することで以前は地元住民から反感を買ったという失敗を防ごうとしたと考察できる。北海道独立が“のっぺらぼう”と同じ目的だったため、本当のアイヌの隠し埋蔵金の量を知り得たと考察できる。

時を同じくして、鶴見中尉ら第七師団はアメリカの武器商人から大量の武器を仕入れ、病院では尾形が復活し、山中に捨て置かれた谷垣はコタンへと向かう。そして萩原聖人演じる「殺されたい」という欲望を抱える連続殺人鬼の辺見和雄小澤征悦演じる熊をも震えると言われる伝説の猟師の二瓶鉄造桜井ユキ演じる美を追い求める食人鬼の家永カノなど他の脱獄囚が映し出された。

そして、アシㇼパの父親とも友人だった池内博之演じるキロランケや、アシㇼパの父親と行動を共にしていた高橋メアリージュン演じるインカㇻマッも映し出されて、実写版『ゴールデンカムイ』は次回作への熱意が考察できるミッドクレジットシーンとなった。

もう一つのミッドクレジットシーンでは第七師団脱出時に使用した馬の肉による桜鍋の様子が映し出されている。杉本、アシㇼパ、白石の3人で鍋を囲むが、そこでアシㇼパがオソマ(うんこ)と呼んで毛嫌いしていた味噌を鍋に入れていることを知る。杉本はアシㇼパのために鍋を作り直そうと提案するが、アシㇼパは味噌に挑戦し、美味しい言うという異文化交流でミッドクレジットシーンは幕を閉じた。

エンドクレジットシーンでは“のっぺらぼう”がアシㇼパの名前を呼ぶなど、続編を匂わせる展開となった『ゴールデンカムイ』。アクションシーンやロケ場所、映像美などは日本映画の底力を感じさせてくれた。白組などが携わった動物のVFXや操演などは目を見張るものがあった。他にも美術面などでは実際にアイヌにルーツを持つ人々が多く携わり、実際の伝統的な手法で小道具からセットまで製作されている点には驚きだ。

その反面、主要な登場人物でアイヌにルーツを持つ俳優がアシㇼパの大叔父の秋辺デボ1人など、同時期に配信されたMCUドラマシリーズ『エコー』が実際のネイティブアメリカンにルーツを持つ俳優を多数起用したのと比較してしまう。次回作でアイヌにルーツを持つキャラクターが多く登場することが見込まれるため、そのような点でも『ゴールデンカムイ』の今後に注目していきたい。

『ゴールデンカムイ』は2024年1月19日より全国公開。

『ゴールデンカムイ』公式サイト

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比較対象となったドラマ『エコー』第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

『アクアマン/失われた王国』ラストとポストクレジットの解説はこちらの記事で。

『アクアマン/失われた王国』ラストから読み取るメッセージの解説はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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