『ダムゼル/運命を拓きし者』の運命は観客の評価に?
2024年3月8日よりNetflixにて配信開始されたファン・カルロス・フレナディージョ監督、ミリー・ボビー・ブラウン主演『ダムゼル/運命を拓きし者』。その続編に関して、ファン・カルロス・フレナディージョ監督が展望についてポッドキャストで語ったことを米Screen Rantが報じた。
本記事では『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編について、海外メディアの情報をもとに解説と考察をしていこう。なお、本記事は『ダムゼル/運命を拓きし者』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。
以下の内容は、映画『ダムゼル/運命を拓きし者』の内容に関するネタバレを含みます。
『ダムゼル/運命を拓きし者』の宇宙は本当に開かれている
注目すべきは観客の評価と主演のスター性?
ファン・カルロス・フレナディージョ監督は『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編の展望について「宇宙は本当に開かれている」と語った。そして『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編の制作は観客からの評価とミリー・ボビー・ブラウンのスター性にかかっていることを示唆した。
米映画評論サイトRotten Tomatoesでは配信開始前は56%と評価は芳しくなかったが、配信後の2024年3月9日には59%と若干の改善が見込まれている。続けて観客の評価では76%となっており、続編制作という今後の展望はどちらに転んでもおかしくない数字になっている。『ダムゼル/運命を拓きし者』は配信されて1日であるため、判断するには時期尚早だ。しかし、希望的な観測ができる数字とも取れる。
これからレビューが増えていき、それによって評価が変動する可能性もあり得る。米Rotten Tomatoesやそれ以外の『ダムゼル/運命を拓きし者』の評価にも注目していきたい。批評家の評価が悪くても、観客からの評価によって続編が制作された実例は存在しているからだ。
様々なおとぎ話をテーマに広がる世界観
『ダムゼル/運命を拓きし者』を撮ったファン・カルロス・フレナディージョ監督は続編について、このようなコメントを述べている。
つまり、『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編を作ることができたらとても嬉しいです。でも、観客がどう思うのか、どう反応するのかを待つ必要があります。確かに『ダムゼル/運命を拓きし者』の世界観は実にオープンです。特に、新しい家族の構成があります。ストーリーの中で、この新しいメンバーが登場するのですが、それについてはあまり言うべきではありません。だから間違いなく、もしそれが実現したら、私はとても喜んでそれを作ります。
この新しい家族とはドラゴンのことだろう。『ダムゼル/運命を拓きし者』のラストシーンでは、エロディは雛を殺された被害者であるドラゴンに対し、ドラゴン自身も罪なき娘たちを殺してきた加害者の側面があるとして贖罪のチャンスを与えている。監督のコメントから、エロディはドラゴンを新しく家族として迎え入れたことが考察できる。
エンディングは他にもあった?
『ダムゼル/運命を拓きし者』の最後は継母に故郷の領主になることを頼み、主人公のエロディは故郷へと帰る船に乗り、アウレア王国の王族を焼き尽くしたドラゴンと共に帰郷するものとなっている。そのため、『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編が撮られるとすれば「聖ゲオルギオスのドラゴン退治伝説」を皮肉ったような内容から別のものとなると考察できる。
続編の物語にかかわる『ダムゼル/運命を拓きし者』のエンディングについて、エロディの妹のフロリアを演じたブルック・カーターがインタビューで興味深い発言をしていたことを米The Directが報じた。それは『ダムゼル/運命を拓きし者』には複数のエンディングが存在していたということだ。
元々、『ダムゼル/運命を拓きし者』は脚本が何度か変更されており、それに合わせてエンディングも変更されたということだ。ブルック・カーターは以下のようにインタビューに答えている。
エンディングは2種類撮影しました。もう1つのエンディングを観てもらえたら、今後の展開についてまた違った雰囲気が始まるかもしれませんから。だから、1つはエロディが私たちと一緒にいるところで、もう1つはエロディが去っていくところです。
たくさんの変更がありました。かなり変えたと思います。最初から途中までのストーリーは変わりませんでしたが、エンディングはかなり変わりました。多くのセリフがカットされ、多くのセリフが追加されました。だから、撮り直しをしたときに、他のシーンに差し替えたシーンがたくさんありました。
もう一つの可能性
視聴者が観ることのできるエンディングでは、エロディはフロリアと継母と共に船に乗り、アウレア王国を去った。そしてドラゴンが船の横を飛び、エロディは我が家へと帰るのだった。ブルック・カーターのインタビューによれば物語の大筋は変わっていないが、エンディングは異なるバージョンが存在していることになる。
もしかすれば、エンディングでドラゴンと共にエロディが夢であった「世界を見たい」と「昔からずっと遠い土地に憧れていた。本で読んだ世界」へと旅立つ様子が描かれていた可能性もありえる。ドラゴンと囚われの姫君という殻を脱ぎ捨て、古典的な悪役と犠牲者という立場を捨てて、エロディは他のおとぎ話の世界へと入っていくのかもしれない。
抑圧された女性の解放をテーマとした『ダムゼル/運命を拓きし者』だったが、続編では他のおとぎ話の世界を探求することが考察できる。「聖ゲオルギオスのドラゴン退治伝説」以外にも囚われの姫君と窮地を救う王子様の物語や、おとぎ名無しの類型は多種多様に存在している。そのような様々なおとぎ話をテーマに『ダムゼル/運命を拓きし者』の続編を描いていくことを期待していきたい。
『ダムゼル/運命を拓きし者』は2024年3月8日よりNetflixにて配信開始。
Source
Inside Total Film/Rotten Tomatoes/The Direct
イヴリン・スカイの原作小説『ダムゼル/運命を拓きし者』は杉田七重による邦訳版が発売中。
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