ルーク・ケイジはMCUに帰ってくる?
2024年1月から配信を開始したドラマ『エコー』は、キングピンことウィルソン・フィスクの右腕として生きていたマヤ・ロペスの物語を描く作品だった。同作では、サノスの指パッチンにより人口の半分が消えている時代(2013年〜2018年)にマヤがキングピンの下で働き始めていたことが明かされた。
『エコー』ではその時代にあってもキングピンの組織犯罪を追いかけるデアデビルの姿も描かれた。デアデビルを主人公に据えたMCUドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』は2025年春に配信される予定となっており、同作にはパニッシャーことフランク・キャッスルも登場することが明らかになっている。
さらに、『ボーン・アゲイン』ではデボラ・アン・ウォール演じるカレン・ペイジやエルデン・ヘンソン演じるフォギー・ネルソンも、ABC制作のドラマ『デアデビル』(2015-2018) と同じオリジナルキャストで出演することも決定している。となれば、気になるのはルーク・ケイジのカムバックについてだ。
ドラマ『ルーク・ケイジ』(2016-2018) は、『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』(2015-2019) に続く《ザ・ディフェンダーズ・サーガ》作品として配信された。マイク・コルター演じる主人公のルーク・ケイジは超人的な怪力と銃弾を弾く鋼の肌を持つ。ルーク・ケイジは変身もしないし、武器も使わない。マスクを被って素性を隠すこともなければ、仰々しいヒーロー名を名乗ることもない。ハーレムの黒人コミュニティを背負って戦う、“素顔のヒーロー”の代表格だ。
近年のMCUでは、シャン・チーやケイト・ビショップ、マヤ・ロペスなど、素顔で戦うキャラクターも増えてきた。ルーク・ケイジのカムバックも十分にあり得る話だが、演じたマイク・コルターはどう語っているのだろうか。
演じたマイク・コルターは…
ルーク・ケイジを演じたマイク・コルターは、2023年1月に米Comicbook.comのインタビューでルーク・ケイジの再演について聞かれ、以下のように答えている。
(ルーク・ケイジのように身体を)シェイプしているのは体型維持のためで、今はルーク・ケイジを演じることについては考えていません。現時点では過去のことだと捉えています。もし再演について連絡を受けたら? 今はスケジュールが埋まってしまっていますが、連絡が来て何かが動き出したら最高ですね。
ですが、私は(ルーク・ケイジとして)過ごした時間に満足していますし、あの役を誰かが引き継いでくれるなら、それも嬉しいことです。キャラクターがより長く生き続けられますからね。ファンの皆さんはどのような形であれ、ずっとルークを見られるわけですから、私はその一部になれたということだけでも幸せに思います。
マイク・コルターは、再演についてオープンな姿勢を示しながらも、別の役者に引き渡したいという考えも示している。そうなれば、ルーク・ケイジというキャラクター自体はブルース・バナーやローディ・ローズのように俳優の変更によって引き継がれていく可能性もあるだろう。
さらに、同時期の公開された米Inverseのインタビューでは、マイク・コルターはルーク・ケイジを再び演じることについて以下のように語っている。
可能性は常にあります。しかし、同時に私は今やっていることにとても満足しています。映画で役を演じることにね。とても良い環境にいるんです。
マイク・コルターがこれらの内容を語ったのも、2023年に公開された映画『ロスト・フライト』に関するインタビューでのこと。マイク・コルターは《ザ・ディフェンダーズ・サーガ》の終了後、ドラマ『イーヴィル:超常現象捜査ファイル』(2019-) へのレギュラー出演などはあるが、『SKIN/スキン』(2018) や『ブレイクスルー 奇跡の生還』(2019) など、毎年映画作品に出演している。
キャリア的にはドラマ俳優からステップアップしたと捉えることもできる。最初にルーク・ケイジを演じた年から9年が経過し、2024年にはマイク・コルターは48歳を迎える。マイク・コルターがルーク・ケイジという役を次の俳優に託したいと考えるのは自然な発想だとも言える。
クリステン・リッターとのツーショットも
それでも、『ルーク・ケイジ』のファンとしてはマイク・コルターの再演を観てみたいという思いもある。マイク・コルターは時折、ジェシカ・ジョーンズを演じたクリステン・リッターとのツーショットをSNSで披露することで知られている。2023年2月にもクリステン・リッターがストーリーズにマイク・コルターとの写真をアップしている他、お互いのフィードにも投稿がある。
マイク・コルターが2022年にクリステン・リッターとの写真を投稿した際には、ザ・ディフェンダーズとルーク・ケイジ、ジェシカ・ジョーンズのハッシュタグをつけてもいる。
ジェシカ・ジョーンズとルーク・ケイジといえば、劇中でも共闘しており、ヒーロー名なし、コスチュームなし、マスクなし、能力はシンプルな怪力と耐久力と、共通点も多い。二人のMCU復帰は正式に発表されていないが、クリステン・リッターが再演を望んでいることもあり、二人の再共演が実現する可能性は低くないだろう。
ルーク・ケイジがMCUに戻ってくる理由
物語にはルーク・ケイジが必要?
マイク・コルター自身やスタジオのリキャストに関する意向はさておき、ストーリー的にはルーク・ケイジは今後のMCUに必須の存在だと言える。ドラマ『エコー』のラストで、キングピンことウィルソン・フィスクがニューヨーク市長選に出馬することが示唆されたからだ。
原作コミックでは、ルーク・ケイジもまたニューヨーク市の市長選に出馬することになる(その結果がどうなるかは、MCU版のネタバレになる可能性もあるのでここでは伏せておこう)。MCUにおいても、ニューヨークで広く顔を知られているルーク・ケイジが、ウィルソン・フィスクの対抗馬として市長に名乗りをあげる展開は十分に考えられる。
デアデビルやスパイダーマンのような覆面のヒーローにはない、認知度と透明性 (transparency) がルーク・ケイジにはあるのだ。もちろん、ウィルソン・フィスクが市長になれば、ハーレムの街への影響も計り知れない。ルーク・ケイジは必ず動き出すはずだ。
マーベル・スタジオは方針転換
ルーク・ケイジが今後のMCUに求められる理由はもう一つある。それは、2024年1月に配信されたドラマ『エコー』の好調を受けて、マーベル・スタジオが方針を変更したことだ。『エコー』の製作費は『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) の約5分の1とされており、マーベル・スタジオは製作コストをかけずにヒットした『エコー』に倣い、ドラマシリーズではストリートレベルのヒーローを押し出していく方針とされている。
『エコー』の製作費が高騰しなかった理由の一つは、VFXの利用を最小限にとどめたからだ。『エコー』は派手な演出を必要とせず、ネイティブ・アメリカンのコミュニティと“外部”の人々の人間ドラマで視聴者を魅了した。キャラのインフレが続き、下降トレンドに入りつつあったMCUにとっては、『エコー』は大きな転機になりうる。
『ルーク・ケイジ』という作品もまた、ルーク・ケイジというキャラの特徴からVFXをほとんど必要としなかった。一方で、ブラック・ミュージックやアメリカの黒人文学、ニューヨークの歴史といった豊穣な背景を活かした演出で作品に深みをもたらしていた。
MCUがようやく『ルーク・ケイジ』に追いついたと言っても過言ではない。ルーク・ケイジはMCUに帰ってくるのか、そのルークはマイク・コルターによって演じられることになるのか。次の展開と続報を楽しみに待とう。
ドラマ『ルーク・ケイジ』はディズニープラスで配信中。
シーズン1のBlu-rayはボックスセットが発売中。
Source
Comicbook.com / Inverse
『エコー』のラストが今後のMCUに与える影響についての考察はこちらの記事で。
ペドロ・パスカルのMCU参戦についての情報はこちらから。
MCUの最新タイムラインの解説&考察はこちらから。
MCU版ヤング・アベンジャーズのメンバー予想はこちらから。