『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』放送中!!
2011年にTV放送され、当時社会現象とも呼べる大ヒットを記録した『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、まどマギ)。その外伝作品である『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(以下、マギレコ)の2期作品、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』が2021年7月31日よりTOKYO MX、MBSその他でTV放送中、ABEMA、dアニメストア他でネット配信中だ。
無事に鶴乃をウワサから目覚めさせ、遂に灯花、ねむとの対面を果たしたいろは。2期は一旦ここで最終回。第3期も決定しているようなので、続く物語を楽しみに待とう。それでは、早速最終回第8話を振り返っていこう。
以下の内容は、アニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』2期第8話の内容に関するネタバレを含みます。
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』2期第8話「強くなんかねーだろ」 あらすじ・感想
失敗した鶴乃とのコネクト
みたまの助言に従いやちよが鶴乃をウワサから引き剥がすべく仕掛けた攻撃は失敗し、鶴乃本人にダメージを与えてしまう。だが、それでも立ち上がり「鶴乃ちゃんは最強。誰よりも強い。強いから平気」とうわ言のように繰り返す鶴乃の姿にやちよは戦慄を覚える。と同時に自らを悔やむ。自分は鶴乃のことを本当は理解していなかったのに理解したつもりになっていただけじゃないのか、と。
前回みたまに対してももこが自らの弱さを吐露することによって和解が成り立ったように、今回はこれまで”強さ”を一手に引き受けてきたやちよが遂に自らと向き合う。マギレコはやはり人間関係に焦点を当てた物語のようだ。他者を理解することの困難さ、自分勝手な理解や誤解が状況を悪化させていく。しかしそこで自らを振り返ることができれば、その先に未来は展けていく。
対して、まどマギはどちらかと言うと人間関係よりは個人の選択に焦点が当てられた物語だったように思う。自分が何を賭け、何のために戦うのか。それがストレートに描かれた硬派な物語だったが、マギレコは登場人物も多く、かつそれぞれが過去にトラウマを抱える人物として描かれており、その傷を如何に癒すかということがテーマとなっているようだ。
鶴乃の過去
いろはは鶴乃の精神世界と思しき空間で、鶴乃とやちよの過去を垣間見る。やちよはかつて鶴乃、みふゆ、ももこ、そしてメルという魔法少女とチームを組んでいたが、ある日の魔女との戦闘でメルは命を失ってしまう。その日は食堂が繁盛していたために鶴乃は戦闘に参加できなかった。自責の念に駆られた鶴乃はその日以来「最強」を目指すようになった。
やちよも思いは同じく、自分がもっと強ければメルを守れたと悔やむ。その事件をきっかけにみふゆはマギウスへと近付き、やちよはもう誰も巻き込むまいと一人で戦う道を選び、ももこはレナやかえでという新たな仲間を得てチームは散り散りになってしまった。もっと強くならなければ人から見放されてしまうという強迫観念が、知らず知らず鶴乃を追い込んでいた。
筆者はアニメ版しか追えていないのだが、どうやら原作ゲーム版ではメルは魔女化してしまったようである。ということは、いろはが「違うんだよ」と鶴乃を庇った際に鶴乃が倒していた魔女がやはりメルだということだろうか?
そのことをきっかけとして、「もう誰も魔女にはさせない」と決意した鶴乃はマギウスに接近し、灯花に接触したことによりウワサと一体化させられてしまう。みふゆが「自分が死にたくない」という恐怖からマギウスに入ったのとは対照的に…
おまえ強くなんかねーだろ!
鶴乃の精神世界からキレーションフェントホープの戦場へと戻ったいろはとやちよ。二人へと迫る鶴乃に対して、フェリシアは「もういいだろ、おまえ強くなんかねーだろ!」と言い放つ。一見自分本位に見えるフェリシアだが、他人に何かを押し付けることはしない。ただ自分がやりたいようにやるだけだ。
他人のために我慢しないフェリシアは、だから他人に我慢させることもない。そんなフェリシアの強さは、やちよや鶴乃の他人を背負うことで自らを追い込んだ結果として作り上げられた見かけ上の強さとは対極にあるものだ。やちよは「自分がしっかりしなければ」という”正しさ”に縛られた自罰的な思考が、結局は鶴乃を追い詰める他罰を招いてしまっていた。
けれどフェリシアは自分で選んだ結果は自ら引き受け、誰を責めることもない。それができるのはちゃんと自分で選択しているからだ。筆者としては、フェリシアの気儘な振る舞いこそ自立した真の強さに思える。そのように個人が自立しているということが、むしろ対等な関係を築く上での前提条件ではないだろうか?
フェリシアがやちよや鶴乃とは別種の「強さ」を見せてくれたことは有難い。
いろはとまどかのコネクト
自分が鶴乃を追い詰めていたことに気付いたやちよは、鶴乃にはもう強がって欲しくないと本心を口にする。その気持ちにいろはも自分の気持ちを重ね、二人は再び鶴乃とのコネクトを試みる。無事にウワサから引き剥がされた鶴乃はやちよに抱き付いて泣く。その様子を見て、まどかはさやかの剣に自らの気持ちを託し、さやかはマミへの一撃で無事にウワサから引き剥がすことに成功する。
間髪を入れずまどかに声を掛けコネクトするいろは。二人の弓は「魔女誘導装置のウワサ」ごとキレーション城を木っ端微塵に破壊する。ダブル主人公の合体技ということで映像の迫力も相俟って非常にアツい展開なのだが、ついさっき会ったばかりで大した絡みもないままに描かれてしまったのが惜しい。尺の都合もあるだろうが、もう少し早く二人を出会わせて、それなりに互いの身の上を語り合わせるなどした上での合体技ということであれば展開としても不自然でなく、より没入できたのではないだろうか。
そして、マミを救い出したまどかたち見滝原組も「ワルプルギスの夜」に備えて見滝原へと帰っていく。本当にここで退場してしまうのだろうか?
それではわざわざマミをマギウス入りさせたストーリー上の意味も希薄に思えてしまうし、幾度ものタイムリープを繰り返すほむらが「これまでとは違う」と感じて神浜にやって来た根拠が失われ単なるゲストキャラ同然になってしまう。やはりまどかたちと「ワルプルギスの夜」との戦いと、いろはたちとマギウスとの戦いはどこかで重なることを期待してしまうが、果たして。
建物内部を脱出した黒江はいろはを見付けて駆け寄ろうとするが、背後から自らの影に声を掛けられ行く手を阻まれてしまう。やはりこの影は黒江自身の何らかのトラウマであり、いろはが探す妹のういとは無関係のようだ。濁り続けるソウルジェムに蝕まれる黒江の精神。
「なぜ物語に加わろうとするの?」というメッセージは、劇中で黒江がいろはたちの物語に加われないということと、そもそも黒江はアニメのために作られたオリジナルキャラであり原作ゲーム版には存在しなかったというメタ設定を踏まえた二重のメッセージとなっている。黒江は果たして物語に加わることができるのだろうか?
いろはは遂に灯花、ねむと再会するが、そこでねむはいろはと灯花の「二人には真実を語ろう」と言う。遂にねむの口から真意が語られる時がやってきた。
第3期へと続く。
アニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』は、TOKYO MXで2021年7月31日より毎週土曜24時から放送中。
ABEMAでは24:30より配信中。その他放映情報については公式サイトをチェック。
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』のBlu-rayは予約受付中。
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd-覚醒前夜-』第7話のネタバレ感想はこちらの記事で。
第1話のネタバレ感想と過去シリーズの振り返りはこちらの記事で。
第2話のネタバレ感想はこちらの記事で。
第3話のネタバレ感想はこちらの記事で。
第4話のネタバレ感想はこちらの記事で。
第5話のネタバレ感想はこちらの記事で。
第6話のネタバレ感想はこちらの記事で。