第10回中国星雲賞発表 長編部門は灰狐『固体海洋』、特別賞に『流転の地球』郭帆とヒューゴー賞受賞の郝景芳 | VG+ (バゴプラ)

第10回中国星雲賞発表 長編部門は灰狐『固体海洋』、特別賞に『流転の地球』郭帆とヒューゴー賞受賞の郝景芳

全球华语科幻星云奖

中国星雲賞の受賞作品が発表

2019年10月27日(日)、中国の重慶市で、世界華人科幻協会が主催する中国のSF賞・全球华语科幻星云奖 (英名: Xingyun Awards, 以下、中国星雲賞) の授賞式が行われ、各部門の受賞作品および受賞者が発表された。 未来事务管理局が運営する微博 (Weibo) アカウントに全受賞リストが掲載されている。

2019年の長編小説部門に選ばれたのは、灰狐の『固体海洋』。中編小説部門を阿缺「彼岸花」、短編小説部門を梁清散「济南的风筝」が受賞している。翻訳小説部門は、郝秀玉が翻訳を担当したフィリップ・K・ディックの短編集『预见未来——菲利普·迪克短篇小说全集(三)』に贈られた。

『流転の地球』「折りたたみ北京」クリエイターに特別賞

また、特別功労賞にあたる華語星雲賞メダルの贈与も行われている。中国初のSF大作映画『流転の地球』を大ヒットに導いた郭帆 (フラント・グォ) 監督、「折りたたみ北京」(2012) で2016年のヒューゴー賞中編小説部門を受賞した郝景芳にそれぞれ栄誉が贈られた。両名ともにこれからの中国SFを背負って立つクリエイターだ。

なお、『流転の地球』の製作を手がけた北京文化 (Beijing Culture) は、先日、北京市内に映画スタジオなどの商業施設が立ち並ぶ“映画タウン”の建設を発表したばかり。

SF作家の郝景芳は事業家としても活躍しており、SFドラマシリーズ『未来之尘』の製作に着手している。

10回目を迎えた中国星雲賞

中国星雲賞は、2010年に第一回が開催された中国のSF賞。重慶市で開催されるのは今回が二度目だという。1986年から開催されている銀河賞 (Galaxy Award) と比べて新しいSF賞だ。中国星雲賞の贈賞式はSF大会と共に開催されており、第10回目となる今回は日本からのゲストとして立原透耶、林譲治、藤井太洋が参加している。

第10回中国星雲賞リスト

第10回中国星雲賞の受賞作品および受賞者は以下の通り (金賞の受賞者のみ掲載。銀賞を含む全作品/作家の受賞リストは未来事務管理局のWeiboから確認できる)。

長編小説部門
灰狐『固体海洋』

中編小説部門
阿缺「彼岸花」

短編小説部門
梁清散「济南的风筝」

ノンフィクション部門
該当なし

翻訳小説部門
『预见未来——菲利普·迪克短篇小说全集(三)』
フィリップ・K・ディック 著、郝秀玉 訳

アートワーク部門
布兔『红色海洋』

年度新星賞 (新人賞)
杨晚晴

児童書中長編部門
徐彦利『心灵探测师』

児童書短編部門
秦映亮「百万个明天」

青少年部門
邹佳祎『你所谓的世界』

七星连珠賞
顾备、谢云宁、超侠、孙悦、赵晓旭、张翼

華語星雲賞メダル (特別功労賞)
郭帆、郝景芳

2019年で第50回目を迎えた日本の星雲賞の結果は以下の記事から。

– Thumbnail –
via: 全球华语科幻星云奖
– Source –
未来局科幻办

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