ケン・リュウ編の中国SFアンソロジー第2弾 『月の光』が2020年3月18日発売 『Broken Stars』の日本版、収録作品の特徴は? | VG+ (バゴプラ)

ケン・リュウ編の中国SFアンソロジー第2弾 『月の光』が2020年3月18日発売 『Broken Stars』の日本版、収録作品の特徴は?

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ケン・リュウ編の最新中国SFアンソロジーが登場

『紙の動物園』(2015)で知られるSF作家・翻訳家のケン・リュウによる最新中国SFアンソロジー『月の光 現代中国SFアンソロジー』(訳 大森望、中原尚哉、大谷真弓、鳴庭真人、古沢嘉通、解説 立原透耶) が、2020年3月18日(水)に発売される。『三体』で知られる劉慈欣 (リュウ・ジキン/リウ・ツーシン) の作品を含む中国SF16作品が収録される。この度、その書影も公開された。

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英語版は2019年2月に発売

ケン・リュウ編訳の英語版は『Broken Stars』のタイトルで、Tor Booksから2019年2月19日に発売された。表紙には中国語表記で「碎星星」の文字が確認できる。

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『折りたたみ北京』に続く現代中国SFアンソロジー

ケン・リュウは、2016年にも現代中国SFアンソロジー『Invisible Planets: Contemporary Chinese Science Fiction in Translation』を発表。2018年に中原尚哉、古沢嘉通、大谷真弓、鳴庭真人による日本語翻訳版『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』が発売されている。

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『折りたたみ北京』では若手作家を中心とした7名の中国SF作家の作品が収録されたが、『月の光』ではその二倍となる14名の作家が作品を提供している。収録される16作品の内7作品は中国でも出版されていない作品で、前作に登場した7名全員が再び参加しているというのも嬉しいポイントだ。

「折りたたみ北京」でヒューゴー賞中編小説部門および星雲賞海外短編部門を受賞した郝景芳の最新作「正月列車」も収録される。「正月列車」は、春節 (旧正月) で故郷に帰る人々を乗せた列車が突如消えてしまい、その謎を追うというストーリー。また、『三体』の劉慈欣による表題作「月の光」にも注目だ。

収録された作品の特徴は…

ケン・リュウはTor.comで、前作の『Invisible Planets』(=『折りたたみ北京』) 同様、『Broken Stars』(=『月の光』)は中国SFを“代表”するものでも、“ベスト”を集めたものでもなく、ケン・リュウ自身がストーリーを楽しみ、記憶に残った作品を収録していると説明する。画一的な“中国SF”の形は存在せず、多様で複雑な中国の環境/状況が反映されているというのが、ケン・リュウの兼ねてからの主張なのだ。

映像化を控える張冉宝樹も参加

なお、『月の光』にも参加している郝景芳は、現在自身の映像製作会社を立ち上げ、SFドラマアンソロジーの製作を進めている。今回『月の光』に参加している張冉宝樹が原作を手がけた作品も実写化される予定だ。映像の分野でも快進撃が続く中国SFを、『月の光』で先取りしておこう。

新たに多様な作家陣が加わった『月の光』に収録される作品は、以下の通り (太字は今回初収録の作家)。

『月の光 現代中国SFアンソロジー』収録作品

夏笳  「おやすみなさい、メランコリー」
張冉  「晋陽の雪」
糖匪  「壊れた星」
韓松  「潜水艇」
韓松  「サリンジャーと朝鮮人」
程婧波 「さかさまの空」
宝樹  「金色昔日」
郝景芳 「正月列車」
飛氘  「ほら吹きロボット」
劉慈欣 「月の光」
吴霜  「宇宙の果てのレストラン――臘八粥」
馬伯庸 「始皇帝の休日」
顧適  「鏡」
王侃瑜 「ブレインボックス」
陳楸帆 「開光」
陳楸帆 「未来病史」
エッセイ by 王侃瑜、宋明煒、飛氘

SF界に欠かせない存在に

ケン・リュウは、「紙の動物園」「もののあはれ」でヒューゴー賞短編小説部門を二年連続で受賞。日本では、新☆ハヤカワ・SF・シリーズより、短編作品20篇が収録された『生まれ変わり』が2019年2月に発売されている。

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また、2020年1月に発売された『文藝』の2020年春季号には、ケン・リュウの初邦訳短編が収録されている。

一方で、ケン・リュウは2015年に翻訳したリュウ・ジキンの『三体』でも、翻訳者としてヒューゴー賞長編小説部門を受賞している。SF作家としてはもちろん、中国SFの翻訳家としても、今のSF界には欠かせない存在だ。そんなケン・リュウの記憶に残った作品を集めたという『月の光』、どのような作品が収められたのかチェックしておこう。

ケン・リュウ編『月の光 現代中国SFアンソロジー』(訳 大森望、中原尚哉、大谷真弓、鳴庭真人、古沢嘉通、解説 立原透耶) は2020年3月18日(水)発売。

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現代中国SFアンソロジー第一弾の「折りたたみ北京」は、文庫版が2019年10月に発売されている。

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Source
Tor.com

VG+編集部

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