特集「パレスチナ」をKaguya Planetにて開催、期間は4~6月 | VG+ (バゴプラ)

特集「パレスチナ」をKaguya Planetにて開催、期間は4~6月

Kaguya Planetにて、特集「パレスチナ」を開催

SF企業VGプラスの運営するオンラインSF誌 Kaguya Planet にて、特集「パレスチナ」を開催します。2024年4月から6月にかけて、パレスチナ人作家やパレスチナにルーツのある作家の翻訳SF短編小説を3作掲載します。1本目の小説、ソニア・スライマーン「ムニーラと月」は4月26日に先行公開開始! また、2024年7月には、これらの短編小説に加えてパレスチナとSFにまつわるコラムなどを収録したマガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』を刊行します。

ウェブマガジンKaguya Planetでは毎月、SF短編小説を配信中! 掲載した作品は、三ヶ月に一回、マガジン『Kaguya Planet』として刊行します。Kaguya Planetの会員になると、配信している短編小説を先行公開に読むことができたり、マガジン『Kaguya Planet』が無料で届いたり、イベントに割引価格で参加できたり……魅力的な特典が盛りだくさん! ぜひ会員登録してKaguya Planetに応援をよろしくお願いいたします。

Kaguya Planetについて詳しく知る

特集「パレスチナ」では、70年以上続く「パレスチナ問題」をめぐる報道やさまざまな語りにおおきな偏りがあることに対して問題提起をし、「パレスチナの声に耳を傾ける」ためにできることを模索していきます

目をそらしつづけてきたという罪

2023年10月7日以降、私たちはガザ地区での虐殺を、民族浄化を直接目撃しています。いえ、本当は、1948年のイスラエル建国にともなって、もともとパレスチナに住んでいた人が虐殺され、暴力的に居住地から追放された「ナクバ」と呼ばれる出来事以来、ガザ地区やヨルダン川西岸、また現在のイスラエルを含む、歴史的に「パレスチナ」と呼ばれてきた土地で深刻な人権侵害・民族浄化が行われてきたにもかかわらず、私たちの多くが見ないふりをつづけてきたために、このような事態を招いてしまったのです。

日本や多くの西欧諸国では、パレスチナを含むアラブ・イスラームの国々についての報道は明らかに偏っています。例えばガザについての報道には、「イスラム原理主義組織ハマスの実効支配するガザ地区」というような決まり文句が繰り返し使われており、「2007年からイスラエルによって軍事封鎖されているガザ」と報道されることはありません。軍事封鎖によって燃料や食料、日用品、医療品などが慢性的に欠乏し、様々な形で生産活動や経済の発展が阻害されているという、イスラエルによるガザでの人権侵害が見えにくくなってしまっているのです。 こういった偏った報道によって、イスラム教徒に対するステレオタイプや、ガザ・パレスチナに対するイメージが、気がつかないうちに私たちに刷り込まれています。

また日本政府や複数の日本企業、そして日本でもなじみぶかい多国籍企業の数々は、パレスチナの人々を殺し、パレスチナの土地と生活を略奪しつづけるイスラエルに連帯しています。それらの企業が生活に根ざした日本で暮らす私たちは、それだけでジェノサイドに加担していることにさえなってしまいます。

イスラエルの攻撃の対象とはなっていない日本という国で、目をそらしつづけ、加担し続けてきた私たちに、何ができるのでしょうか。

文芸に携わるものとして「偏り」に向き合う

Kaguya Planetは、SFのマガジンとして、パレスチナの書き手やパレスチナにゆかりある書き手によるSF掌編を紹介する特集を開催します。

日本では毎年たくさんの翻訳書籍が刊行されますが、英語で書かれた英語圏出身の作家による作品と、それ以外の言語で書かれた作品や多様なエスニシティを持つ作家が英語で書いた作品の刊行数には明らかに差があります。

作品が作家の属性を全て代弁しているということではありませんが、紹介される作品やコンテンツの数が多いほど、受け手はその属性のより多様な側面を知ることができます。逆にいうと、作品が紹介されない属性、あるいは特定のテーマや事件に基づいての紹介だけが多い属性は、一面的に見られてしまいやすいということでもあります。このような紹介や報道の偏りによって生み出されたステレオタイプが、「でも、あのあたりはいつも紛争してるし……」「10月に最初に攻撃したのは……」「可哀想な人たちなんでしょ……」と、今まさに目の前で起きている民族浄化から私たちが目をそらす言い訳になってはいないでしょうか。

ある事柄について知りたいときに、誰の語りに耳を傾けるかは重要な選択です。できれば、政治的意図や利益のために特定の誰かを周縁化・悪魔化する語りではなく、その地で現実を生きている人、誰か/何かの無事や安心や幸せを真剣に祈っている人の語りを聞きたい。そのために、まずはパレスチナの人、パレスチナにルーツを持つ作家による短い小説を3作、日本語で読めるようにします。

ナクバ以降、故郷パレスチナを追われたたくさんの人々が移民・難民として世界中に散らばっており、帰還することもままならないふるさとパレスチナとその状況を想って連帯し、虐殺に抗議の声をあげています。いまパレスチナにいる人の声と共に、パレスチナの外で活動するパレスチナ系の人々の声も紹介したいと考えています。

フィクションの果たすべき責任

いま一人でも多くの人命を救うために身を削って動いている人にとっては、フィクションの創作、ましてやその翻訳は苛立ちをおぼえるほどに悠長な営みかもしれません。ですが、フィクションのゆっくりとした歩みの中でも、できることがあるのではないかと考えています。

小説によって、誰かがひどく傷つけられ、殺されている写真・映像とは異なる仕方で、攻撃にさらされている人の痛みを伝えることができるかもしれない。これまでパレスチナにあまり関心を払ってこなかった人でも、面白い小説を読んでその舞台や作者から興味を持つかもしれない。作品に書かれているテーマや問題が他の分野や地域にもつながっていると気づいて、あちこちで起きている虐殺や抑圧、搾取を少しでも取り除くために何ができるか考え始めることができるかもしれない。

そのいろいろな「かもしれない」の力があつまれば、世界をよくすることが、もっと具体的にいうとイスラエルによるパレスチナの民族浄化を止めることができるはずだと信じています。

特集「パレスチナ」の掲載作品を読むには

①Kaguya Planetの会員になる

Kaguya Planetの会員になると、4月、5月、6月に「パレスチナ特集」に掲載される作品をいち早くウェブ上で読むことができます。4月の掲載作品は、4月26日(金)に配信を予定していますので、どうぞお見逃しなく! また、会員のプランに応じて、マガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』も無料で送られてきます。Kaguya Planetについて詳しく知るにはこちら。また、会員の登録方法についてのマニュアルはこちらからご確認いただけます。

②マガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』を予約する

4月、5月、6月に「パレスチナ特集」に掲載した作品は、7月にマガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』として刊行します。マガジンには、掲載した短編小説の他、パレスチナとSFに関連するコラムなどを掲載します。なお、こちらのマガジンの売り上げの一部は、国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に寄付します。

マガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』
【概要】
パレスチナ人作家/パレスチナにルーツのある作家によるSF短編小説を三編収録する他、「英語で読めるパレスチナのSF(仮)」と題したレビューや、パレスチナとSFに関するコラムを掲載します。
刊行:2024年7月13日(予定)
サイズ:A5
ページ数:90ページ(予定)
ISBN:978-4-911294-01-7
価格:1500円(税込1650円)

マガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』を予約する

マガジン『Kaguya Planet 特集:パレスチナ』の刊行に際して、各短編小説はウェブ上で無料で公開する予定です。

4月の掲載作品はソニア・スライマーン「ムニーラと月」

4月26日にKaguya Planetにて会員向けに公開する作品は、ソニア・スライマーンさんによる「ムニーラと月」です。ソニア・スライマーンさんはパレスチナの民話や伝承を題材としたファンタジーやSF作品を多く発表しているパレスチナ系の作家です。スライマーンさんの作品は英語で読めるアラブの文芸を紹介しているメディアArablitや、アフリカ系作家によるSF雑誌FIYAHがパレスチナに連帯して開催した特集などで読むことができます。

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「ムニーラと月」は、古代の地を舞台にした、アラブ圏の精霊であるジンの女性が主人公のレズビアンロマンスです。イスラエル政府は、「ホモフォビックなアラブ」というステレオタイプと対置させる形でLGBTフレンドリーの姿勢を積極的に打ち出し、パレスチナに対する人権侵害を正当化する「ピンクウォッシュ」を行っています。そこで、アラブ圏の人々に馴染み深いジンが主人公で、荒々しさと美しさ、エロティシズムを兼ね備えた、ハッピーエンドのクィアな物語をご紹介します。岸谷薄荷さんによる翻訳、佐藤まなさんによる監訳でお届けします。

5月の掲載作品は「Strange Things Happening Outside(英題)」


5月にKaguya Planetにて会員向けに公開する作品はは、パレスチナ在住のZiad Khaddashさんによる、「Strange Things Happening Outside(英題)」です。Khaddashさんはイェルサレム出身の作家です。パレスチナ文学賞を受賞し、イスラーム圏の数々の文学賞にノミネートされています。12の短編集を刊行しており、ラマッラーの公立高校で文芸創作を教える教師でもあります。

「Strange Things Happening Outside(英題)」は今年2024年の1月に発表されたばかりの短いストーリーで、とある妊婦のお腹の中にいる胎児の視点から今ガザで起きていることを描写する、ソリッドで切実な作品です。アラビア語からの翻訳を手がけるのは佐藤祐朔さんです。

6月の掲載作品については、確定次第お知らせいたします。

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マガジン『Kaguya Planet 特集:気候危機』発売中!

『Kaguya Planet vol.1 気候危機』
特集:気候危機

気温上昇、海洋汚染、エネルギー問題など、地球環境と人間や生物たちに大きな影響を及ぼしている気候変動。
身近な生活の中でも感じられるほどの変化が顕在化し、早急な改善や解決が叫ばれる一方、さまざまな社会問題と絡み合っている複雑な問題でもあります。
マガジン『Kaguya Planet』の記念すべき創刊第1号には、ウェブメディアKaguya Planetで2024年1~3月に開催した「気候危機」特集の掲載小説3作のほか、テーマにまつわるレビューやコラムを収録しました。
フィクションや批評を通して、気候危機が抱える〈交差性〉の一端をのぞき見てみませんか。

⚫︎小説
化野夕陽「春の魚」
津久井五月「われらアルカディアにありき」
エラ・メンズィーズ「雨から離れて」(川崎遥佳訳)
⚫︎ブックレビュー
堀川夢 アンナ・カヴァン『氷』
⚫︎コラム
鯨ヶ岬勇士「バルタン星人と気候危機〈二〇億三〇〇〇万人の移住〉」
齋藤隼飛「気候危機の時代のSF映画」
⚫︎インタビュー
ゲーム『Rise of the Ronin』英語版 高杉晋作役 リック・クマザワが語るレプリゼンテーション
映画『ペナルティループ』監督・荒木伸ニ 俳優・山下リオ
⚫︎PICK UP  『流転の地球 ─太陽系脱出計画─』コラム

サイズ:A5
ページ数:64ページ
一般価格:1650円(税込)
ISBN:978-4-911294-00-0

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※マガジン『Kaguya Planet』は、ベーシック会員(年額6000円)の方にPDF版を、プレミアム会員(年額12000円)の方にPDF版と紙版をお届けいたします。ベーシック(月額500円)の方にはお届けしておりませんので、登録の際にはご注意ください。またKaguya Planetへの登録方法等につきましては、こちらのマニュアルをご確認ください。

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