左沢森がBFC王者に
28日午前11時、第3回ブンゲイファイトクラブ (BFC3) 決勝の結果が発表され、第3回笹井宏之賞にて最終選考候補となった左沢森が、短歌連作「気持ちじゃなくて」で優勝を果たした。
第1回かぐやSFコンテスト審査員特別賞受賞者で、“さなコン”日本SF作家クラブ賞受賞者の坂崎かおるは「泥棒コロッケ」で決勝にのぞみ、準優勝。決勝のジャッジを務めたのは『異常論文』(樋口恭介編/ハヤカワ文庫) にて「オルガンのこと」を執筆した青山新。
両名の作品と、青山新による決勝ジャッジは、以下のリンク先で読むことができる。
ブンゲイファイトクラブは文芸による名誉をかけた戦いで、賞金なし、参加資格とジャンルの制限なし、ジャッジ自身もジャッジされるという前代未聞のルールを掲げた文芸イベントだ。各試合の勝者はジャッジの判定によって決定されるが、ジャッジもまた出場ファイターからのジャッジを受け、高い評価を得たジャッジが生き残っていく。主宰は西崎憲が運営する「惑星と口笛」。
過去二回のBFCからは、Toshiya Kameiの翻訳によって海外の媒体に掲載される作品・作者も登場しており、広く世界に開かれた文芸イベントだ。
今年も盛況だったBFC
BFC3では、2021年10月31日(日)に本戦出場を果たした24作品を公開。11月9日(火)、12名のジャッジによって選ばれた準決勝進出のファイター4名が発表された。翌週の14日(日)には準決勝の4作品と勝ち進んだジャッジ4名が発表された。準決勝のファイターは伊島糸雨、左沢森、坂崎かおる、宮月中。ジャッジは青山新、冬木草華、由々平秕、鯨井久志の4名。18日(木)に坂崎かおると左沢森の決勝進出が発表され、11月21日(日)に両名による決勝2作品が公開。同時に青山新が決勝ジャッジに選出されたことが発表された。そして本日11月28日(日)、左沢森が見事栄冠を手にした。
BFC3では、BFC2に引き続き「オープンマイク」を開催。今年は各人が自由に画像を応募できるようになっており、文芸、イラスト、漫画など、昨年と合わせて193作品が集まっている。また、昨年に引き続き、スピンオフイベント「イグBFC2」「BFC3落選展」も開催されるなど、コミュニティ主導の盛り上がりを見せていた。また、ジャッジとファイターを兼任して出場する人が現れるなど、新しい展開も見せた。
第3回ブンゲイファイトクラブを戦い抜いたファイターとジャッジに拍手を送りつつ、それぞれの今後の活躍にも注目しよう。
これまでのBFC
2019年に開催された第1回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを『構造素子』の樋口恭介が務め、『100文字SF』などで知られる北野勇作が初代王者の座に輝いた。第2回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを竹中朖が務め、蜂本みさが栄冠を手にした。
BFC3で準優勝の坂崎かおるがバゴプラに寄稿した「パラミツ戦記」はこちらから、初代王者北野勇作がオンラインSF誌Kaguya Planetに寄稿した「ひゃくじま」はこちらから、蜂本みさがKaguya Planetに寄稿した「冬眠世代」はこちらから読むことができる。