『TENET』で流れた曲は?
2020年9月18日(金)に日本で劇場公開が始まった映画『TENET テネット』。『ダークナイト』(2008)、『インセプション』(2010)、『インターステラー』(2014)といった作品で知られるクリストファー・ノーラン監督による最新作で、世界を守る任務を託され、時間が逆行する現象に直面する主人公を『ブラック・クランズマン』(2018)のジョン・デヴィッド・ワシントンが演じた。
期待を裏切らない一級品のノーラン流SF映画に仕上がっている『TENET テネット』だが、SFアイデアやストーリーもさることながら、劇中の音楽にも注目してみたい。
『TENET テネット』で音楽を手掛けたのは『ブラックパンサー』(2018)のルドウィク・ゴランソン。劇中で流れたサウンドトラックの全曲と“逆再生バージョン”もYouTubeで公開されている。
もう一つ、『TENET テネット』の音楽で注目すべきポイントは、クリストファー・ノーラン監督作品としては珍しく“主題歌”が設定されている点だ。『TENET テネット』のエンディングで流れる曲は、ラッパーとして活躍するトラヴィス・スコットの「The Plan」。『TENET テネット』のために書き下ろされた楽曲で、トラヴィス・スコットにとっては初めての映画への楽曲提供になる。
トラヴィス・スコットはヒューストン出身のラッパーで、カニエ・ウェストのグッド・ミュージックを経て、T.I.のグランド・ハッスルと契約。2019年に発表したアルバム『Astroworld』ではグラミー賞の最優秀ラップ・アルバム部門にノミネートされた。同年末には自身で立ち上げたレーベルCactus Jackからリリースしたコンピレーションアルバム『JackBoys』が全米初登場1位を獲得。今最も注目されているラッパーの一人だ。
以下の内容は、映画『TENET テネット』の内容に関するネタバレを含みます。
「The Plan」に込められた意味
『TENET テネット』でトラヴィス・スコットの「The Plan」が流れるのは、全ての事実が明らかになった後のエンディング。トラヴィス・スコットはこの曲をルドウィク・ゴランソンと共に収録したという。この楽曲では、どのような歌詞が歌われているのだろうか。
フックで歌われるのは、「君は私たちが立っている場所を知らない。それが事実。計画を知るべきだ」というライン。計画の黒幕になる未来の主人公から、現在への主人公へ向けられた言葉だと捉えることができる。その他にも、「オペラはおしまい。外には警察」「最後に逆行して生きた時 (中略) 自分の中に戻っていった。地獄のようだった」と、劇中を思わせる描写が並んでいる。
『TENET テネット』のために書き下ろされたこの曲について、クリストファー・ノーラン監督はGQで「彼 (トラヴィス・スコット) の声が、1年間探していたパズルの最後のピースになりました」と語っている。更に「作曲家のルドウィク・ゴランソンと私が構築していた音楽と物語のメカニズムに対する彼の洞察力は、瞬発的で、洞察力に富み、深みのあるものでした」と付け加えている。
クリストファー・ノーラン監督も称賛する『TENET テネット』の主題歌「The Plan」はサントラにも収録されている。
シングルも配信中。
映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国でロードショー。