『NOPE/ノープ』ジュープ/リッキー役スティーヴン・ユァンが語る“アジア系”の俳優として見られること | VG+ (バゴプラ)

『NOPE/ノープ』ジュープ/リッキー役スティーヴン・ユァンが語る“アジア系”の俳優として見られること

© 2022 Universal Studios

話題の『NOPE/ノープ』

口コミとSNSでの評判で公開後からジワジワとその人気を伸ばしている映画『NOPE/ノープ』。『ゲット・アウト』(2017) や『アス』(2019) を手がけてきたジョーダン・ピール監督による最新作で、多くの謎に包まれたまま公開されると、予期せぬ展開と考察要素に多くの映画ファンが虜になっている。

中でも注目を集めているのは、主人公のヘイウッド兄妹を演じたダニエル・カルーヤとキキ・パーマーと共に存在感を示したジュープことリッキー・パークを演じたスティーヴン・ユァンだ。ジュープはOJ、エムと共にメインポスターにも採用されている重要人物。ジュープを通して展開されるもう一つの物語を、観客は息を呑んで見守ることになる。

ジュープを演じたスティーヴン・ユァンはドラマ『ウォーキング・デッド』(2010-) でメインキャラクターのグレン・リー役を演じたことで知られる。映画『ミナリ』(2020) ではアジア系初のアカデミー主演男優賞ノミネートを果たすなど押しも押されもせぬスター俳優の一人だ。

“アジア系”の俳優であること

『ノープ』では唯一のアジア系のメインキャラクターということもあり、背負うものも大きかったように思われるスティーヴン・ユァン。米Yahooのインタビューではアジア系アメリカ人としてハリウッドで演技をすることについて、「(アジア系という)定義を回避」しようとしている段階だと話したという。

私にとって、私はアジア人であり、アジア系アメリカ人なんです。それが全てです。私の中にそうでない部分というのはありません。そして、時にレッテルというのは私たちのためではなく、私たちの外から見た視点で貼られることがあります。私はもう他人が私をどのように定義したいのかについて、これ以上エネルギーを割きたいと思わないんです。

もはや“アジア系俳優”というレッテルに振り回されたくないと話すスティーヴン・ユァンの言葉は、パキスタン系イギリス人の俳優リズ・アーメッドの言葉に重なる部分がある。実は、スティーヴン・ユァンがアジア系初のアカデミー主演男優賞ノミネートを果たした同年、リズ・アーメッドも映画『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』(2019) でムスリムとして初めてアカデミー主演男優賞にノミネートされている。

リズ・アーメッドは、ガーディアン紙に寄稿した「テロリストがハマり役」というエッセイで、中東系の俳優にオファーされる役について、三つのステップが存在するとしている。一つ目はテロリストのようなステレオタイプな悪しきムスリム。二つ目はステレオタイプな善きムスリム。そして三つ目は人種と関連づけられない役柄だ。

リズ・アーメッドは、この三つ目のステップを目指して渡米。結局アメリカでも差別を受けることになるのだが、特定の役割を期待する他者からの視線を振り払うことで仕事が増え始めたと語っている。後にリズ・アーメッドは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) のボーディー役、『ヴェノム』(2018) のドレイク役と、“三つ目のステップ”にあたる役を演じていく。

スティーヴン・ユァンは先ほどのインタビューでこう続けている。

私はただ自分が何者であるかを定義するためだけにここにいるのですが、それは時に(自分が所属する)コミュニティが見られたがっているであろう姿と衝突することもあります。しかし、私は自分自身を見つめることから始めることで、私たちに課された多くの“限界”を乗り越えていけるのではないかと考えています。

私にとっては、“アジア系アメリカ人の観点”というのは私の全てです。そこから逃れることもできませんし、逃れたいとも思わないし、それを受け入れますし、そうすることによって“定義”による限界を突破したいと思っています。それが、今の私の立ち位置です。

「他者からの視点」「見られる」ということは、映画『NOPE/ノープ』のテーマの一つでもある。“アジア系俳優”と定義される限界を突破したいと話すスティーヴン・ユァンは、本作でどんな演技を見せたのか。ぜひ劇場で、その目でチェックしていただきたい。

映画『NOPE/ノープ』は2022年8月26日(金)より公開中。

『NOPE/ノープ』公式サイト

【ネタバレ注意!】ジュープのあのシーンと続編についての考察はこちらから。

Source
Yahoo

VG+編集部

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