『ジョーカー』監督、作品のテーマと観客の反応を語り始める「孤独、慈悲の欠落と格差問題を……」 | VG+ (バゴプラ)

『ジョーカー』監督、作品のテーマと観客の反応を語り始める「孤独、慈悲の欠落と格差問題を……」

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トッド・フィリップス監督 『ジョーカー』のテーマと観客の反応を語る

映画『ジョーカー』公開から約3ヶ月が経過し、指揮をとったトッド・フィリップス監督が映画のテーマや観客からの反応について語り始めている。2019年12月にニューヨークで開催されたDEADLINEのThe Contenders New Yorkにて、トッド・フィリップス監督は『ジョーカー』のテーマについて以下のように語っている。

この作品には、人々の共感を呼ぶテーマがあるのだと思います。私たちの誰もがR指定の映画が10億ドルを超える興行収入を生むとは考えていませんでしたが、作品のテーマが強い共感を呼んだのだと思います。(共同脚本の) スコット・シルヴァーと私が脚本を書くときに取り組んだことは、何か意味のあることをコミック作品の範囲で表現することであり、同時に、私たちが脚本の執筆を始めた2016年の時点で起きていたことに呼応させることでもありました。執筆中の2017年にこの国で起きていたことは明らかでしたし、ジョーカーを用いて慈悲と礼節の欠落についての映画を作りたかったのです。

2016年のアメリカといえば、ドナルド・トランプが大統領選に出馬、国内で排外的な空気が高まりを見せていた時期だ。11月に実施された大統領選ではトランプが当選。2017年からはトランプ政権が誕生し、大統領令13769号によって一時、中東・アフリカからの人々がアメリカへの入国を制限された。7月にはバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義グループの集会が開かれ、カウンター側との衝突で死者も出ている。アメリカ社会が混沌としたムードに包まれていく一方で、トランプ政権の支持基盤となっていたのは、『ジョーカー』の主人公・アーサーのような白人労働者層だった。

観客からの反応は?

そのようにして製作された映画『ジョーカー』は、どのような評価を得たのだろうか。トッド・フィリップス監督はこう続ける。

この映画と共に世界中を周りました。映画を観た人と話すと、(『ジョーカー』を) アメリカに対する告発とみなす人もいれば、自国で起こっていることが映し出されていると見ている人もいましたが、共に慈悲の欠落と、富と格差の問題に関する作品だと捉えられていました。

また、Varietyが米時間1月3日(金) に開催したVariety Creative Impact Awardsで登壇したトッド・フィリップス監督は、以下のようにも話している。

映画を上映した後、何人かが私のところに来て、彼女ら/彼らが抱える孤独相手にされていない感覚精神疾患との闘いについてシェアしてくれました。ある女性には統合失調症の姉妹がいて、映画を観た後に彼女に対してより忍耐強く、親切心と理解を持って接することができるようになったと話してくれました。

映画『ジョーカー』に現代の社会問題を見出す観客もいれば、アーサーの姿を自分や身近な人に重ね合わせ、生きていく力とする観客もいたようだ。いずれにせよ、「映画『ジョーカー』を意義あるものにする」というトッド・フィリップス監督の目的は達成されたようである。

公開前には「定義したくない」

映画『ジョーカー』の公開前、トッド・フィリップス監督は作品のテーマについて、「政治的な映画ではない」「定義することはしたくない」「あなたがこの映画をどのようなレンズを通して見るかによって決まる」と述べてきた。

結果、トッド・フィリップス監督のこの態度は作中のジョーカーの態度とリンクする仕掛けになっていたということが分かるのだが、観客からの反応を受けて、公の場で映画『ジョーカー』のテーマについて公言するようになっている。

大ヒットの一方で批判も

映画『ジョーカー』は2019年10月に公開されると、本国アメリカではR指定であったにもかかわらず大ヒットを記録。R指定作品としては初となる興行収入10億ドル (約1,080億円) を突破した。一方で、作中に性犯罪者であるゲイリー・グリッターの楽曲を使用していることが批判を集めた他、「悪人であるジョーカーを英雄視している」という声も聞かれた。映画『ジョーカー』を取り巻く批判に対する考察は、以下の記事をご覧いただきたい。

映画『ジョーカー』は2020年1月9日(金) まで劇場公開。1月8日(水) にはデジタル先行配信が始まり、1月29日(水) にブルーレイ&DVDが発売される。劇場では公開されていない吹き替え版も収録される。

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Source
DEADLINE Daily Motion / Variety Twitter

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