映画『ファンタスティック・フォー』舞台は60年代? MCUの時系列と時代背景を考察 | VG+ (バゴプラ)

映画『ファンタスティック・フォー』舞台は60年代? MCUの時系列と時代背景を考察

©2024 Marvel

MCU版『ファンタスティック・フォー』2025年公開

10年ぶりにリブート作品にしてMCU合流作品となる映画『ファンタスティック・フォー(原題)』が、2025年7月25日(金) より全米で公開される。米国のバレンタインデーに合わせ、2024年2月14日(水) にはポスターが公開され、ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、エボン・モス=バクラック、ジョセフ・クインが出演することも明かされた。

注目を集めているのは、公開されたポスターでザ・シングが読んでいる雑誌のカバーだ。海外のファンダムでは、この雑誌が『LIFE』誌の1963年12月号と同じデザインであることが指摘されている。ポスターの雰囲気と合わせて、MCU版『ファンタスティック・フォー』が1960年代を舞台にしているのではないかという考察が広がっている。

そもそも1960年代というのは、「ファンタスティック・フォー」の原作コミックが初めて登場した年だ。MCUでもその時代にファンタスティック・フォーの誕生を描くという展開は十分に考えられる。これはコミックで1941年に誕生したキャプテン・アメリカの映画の舞台を1940年代に設定したのと同じやり方である。

これまでMCUでは、映画『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) で1940年代を、映画『キャプテン・マーベル』(2019) で1990年代を舞台にしている。過去を舞台にヒーローのオリジンを描き、その時代の音楽や文化、時代背景を活用するのはMCUの十八番とも言える。

気になるのは、MCU版『ファンタスティック・フォー』が1960年代を舞台にしているとすれば、どんな物語が描かれるのか、そして、なぜ現在のMCU世界でファンタスティック・フォーの存在が知られていないのか、ということだ。今回は、MCUの時系列と時代背景的に本作がどんな立ち位置になりえるのかを考察してみよう。

1960年代の時代背景

激動の時代

まず、ザ・シングが持っている雑誌の表紙について。『LIFE』1963年12月号の表紙は米国のジョンソン大統領だ。1963年11月にジョン・F・ケネディ米大統領が暗殺され、当時副大統領だったジョンソンが新大統領に就任、そして『LIFE』の表紙を飾ったという流れになっている。

前年の1962年には、映画『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011) で描かれたキューバ危機が起きたり、1965年にはアメリカがベトナム戦争に本格的な軍事介入を始めたりと、1960年代は激動の時代だった。『ファンタスティック・フォー』では、『ファースト・ジェネレーション』のように、歴史的な事件の裏にスーパーヒーローがいたとしたら……という物語が描かれる可能性もあるだろう。

宇宙開発競争は『ファンタスティック・フォー』にぴったり

ファンタスティック・フォーといえば、元はロケットで宇宙に出て宇宙線を浴びた四人がスーパーパワーを得るというオリジンが設定されている。1960年代はそんな設定にぴったりの時代だ。米国とソ連の宇宙開発競争の真っ只中にあり、重大な出来事がいくつも起きているからだ。

1961年にソ連のユーリイ・ガガーリンが人類で初めて地球軌道を一周することに成功し、1963年にはソ連のワレンチナ・テレシコワが女性初の宇宙飛行士になった。1965年にソ連のアレクセイ・レオーノフが人類初の宇宙遊泳に成功するなど、1960年代はソ連が宇宙開発競争をリードしていた。

だが、歴史的な転換期として人々の記憶に残ったのは、1969年に米国のアポロ11号が月面着陸に成功したことだ。人類で初めて月に足を踏み入れたニール・アームストロング船長の「これは一人の人間には小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」という言葉はあまりに有名だ。

特にアメリカの人々が宇宙に強い関心を持っていた時代であり、1963年時点では米政府としてもソ連の躍進に焦りを持っていた時代でもある。ファンタスティック・フォー誕生の背景として、米政府が秘密裡に進めていた(そして失敗した)宇宙開発プロジェクトがあったとすれば、現在のMCU世界でファンタスティック・フォーが知られていないことにも理由はつけられそうだ。

加えて、1960年代はアメリカの公民権運動真っ只中の時代でもあり、1963年にワシントン大行進、1964年に公民権法成立、1965年にマルコムXが、1968年にキング牧師が暗殺されるという歴史的な出来事が起きている。“マイノリティ”になるファンタスティック・フォーの4人がこの時代をどう生きることになるのかという点にも注目だ。

MCUの時代背景は?

あの時代にいたのは…

MCUではこれまで、1960年代の出来事はほとんど描かれてこなかった。ドラマ『エコー』(2024) のヴィランとして登場したキングピンことウィルソン・フィスクですら1960年代生まれで、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースも冷凍状態にあったから、この時代には主だったキャラクターがあまりいないのだ。

わずかな例を挙げると、『アイアンマン2』(2010) のヴィランであるイワン・ヴァンコの父アントン・ヴァンコがソ連からアメリカに亡命したのが1963年だ。アントン・ヴァンコは同作でハワード・スタークと共にアークリアクターを開発したことが語られていた。

少し後になるが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) では、スティーブ・ロジャースとトニー・スタークがピム粒子を回収するために1970年のキャンプ・リーハイを訪れた。ここではトニーの父ハワードとペギー・カーターの姿も描かれた。

『エンドゲーム』のラストではスティーブ・ロジャースはインフィニティ・ストーンを元の時代に返しに行くが、過去の時代でペギー・カーターと共に余生を過ごすことを決めた。『ファンタスティック・フォー』が1960年代を舞台にするなら、そのラストでクリス・エヴァンス演じるスティーブ・ロジャースのカメオ出演もあるかもしれない。そして、もしスティーブが秘密裡にファンタスティック・フォーの4人を訓練することになれば、アツい展開だ。

ハンク・ピムも登場?

MCU版『ファンタスティック・フォー』が1960年代を舞台にしているとすれば、登場するキャラはペギー・カーターやハンク・ピム、ハワード・スターク、ジャネット・ヴァン・ダインといったかつてのS.H.I.E.L.D.メンバーが本命になると予想できる。

特にハンク・ピムについては1963年にピム粒子を発見している。ザ・シングが読んでいる雑誌は1963年刊行のものとされているため、ハンク・ピムとピム粒子が物語に絡んでくる可能性は十分にあるだろう。

S.H.I.E.L.D.でエージェント兼アントマン&ワスプとして活動していたハンク・ピムとジャネットの活躍も、現代のMCU世界には伝わっていなかった。S.H.I.E.L.D.での二人の活動はヒーロー活動というより、米ソ冷戦時のスパイ活動のようなものだったと思われるので、隠密行動であっても納得はいく。

あるいは、ファンタスティック・フォーのメンバーが、ジャネットと同じように量子世界へと行ってしまうとすれば、同じ見た目のままで現在のMCUに合流する展開もあり得る。そうするとハンクが4人について黙っていたことが不自然になるが、『ファンタスティック・フォー』ではピム粒子のみ登場してハンクと4人は出会わないという展開も考えられる。

もちろんMCU版映画『ファンタスティック・フォー』が1960年代を舞台にするかどうかはまだ分からない。それでも、一枚のポスターでここまで考察させてくれるのがMCUの面白いところだ。ファンタスティックな4人はどんな時代に登場することになるのか、続報を楽しみに待とう。

映画『ファンタスティック・フォー(原題)』は2025年7月25日(金) 米公開。

 

MCU版『ファンタスティック・フォー』の発表で明らかになったことと、2025年のMCUの新スケジュールはこちらの記事で。

ペドロ・パスカルの『ファンタスティック・フォー』出演に関する報道はこちらの記事に詳しい。

MCU映画『デッドプール&ウルヴァリン』とドラマ『ロキ』の繋がりについての解説&考察はこちらから。

『デッドプール&ウルヴァリン』と旧「X-MEN」シリーズの繋がりについての考察はこちらから。

MCU最新タイムラインの解説&考察はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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