ピーター・トライアス スペシャルインタビュー「私とSF」

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VG+ 1周年特別企画、スペシャルインタビュー「私とSF」では、各フィールドで活躍する4名のクリエイター・表現者の方々に、影響を受けたSF作品と、SFをどう見ているかについてお話を伺った。日本が支配するアメリカ西海岸を舞台にした『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』『メカ・サムライ・エンパイア』を著したピーター・トライアスは、どのような作品に影響を受けて現在の作風に至ったのだろうか。

ピーター・トライアス
SF作家。2017年、『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』(早川書房) で第48回星雲賞海外長編部門受賞。続編『メカ・サムライ・エンパイア』(早川書房) が2018年発売、第50回星雲賞海外長編部門ノミネート。シリーズ最終作『Cyber Shogun Revolution (邦題未定)』が2020年3月に米国で刊行予定。

——まずは読者の皆さんに自己紹介をお願いします。

ピーター・トライアスといいます。『メカ・サムライ・エンパイア』『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の著者です。日本の皆さんにはサイエンス・フィクション作品で知って頂いていますが、作家としてのキャリアは短編の文芸小説から始まりました。だからこそ、皆さんが私のサイエンス・フィクション作品を気に入って頂いていることを嬉しく思っています。

——これまで、影響を受けたSF作品についてお話される機会は何度かあったかと思います。今回はクリエイティブの世界に入っていくきっかけとなった原体験を教えていただけますか。

今思い出せる最初に読んだ本の一つは『不思議の国のアリス』です。不思議な旅路のミステリーとファンタジーに満ちたシーンが大好きでした。小さい頃からものを書くことを始めたのですが、7、8歳の頃に小説を書いていたノートを今でも持っていますよ。引っ越すことが非常に多かったので、アリスのように、周りの人が誰も自分のことを知らない環境で度々自分と向き合っていました。そしていつしか、自分を取り巻く世界を解き明かす物語を書いて伝えることに、心地よさを覚えていきました。

サイエンス・フィクションということであれば、アニメとゲームの影響が大きいですね。しかし、ジョン・スタインベックやマーガレット・ワイス、そして羅貫中といった作家の作品も読んでいましたよ。また、私の作品には聖書からの影響も見られると思います。私がプレーしてきたゲームは素晴らしいものばかりで、とてもインスパイアされました。『ファイナルファンタジー』(1987)におけるガーランドのタイムループに関するプロットや、『トップシークレット』(1987)におけるヒトラーの復活、そしてもちろん『メタルギア』(1987)における戦略諜報アクションとビッグボスによる真実の暴露は、今でも記憶に残っています。『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』(1989)もまた、私にとって重要な作品です。私がそれまで考えていたよりも広い世界を想像し、夢見ることを教えてくれたからです。

——トライアスさんにとって、SFとは何でしょうか。“楽しい”ものでしょうか、それともより“重い”ものでしょうか。

私が好きなSF作品は、「メカのようなテクノロジーが、いかに文化と社会に影響を与えるのか?」といった議題を検討する類のものです。近年の小説の中で、様々な方法で人間の未来について考えさせてくれたSF作品は、伊藤計劃『ハーモニー』(2008)、藤井太洋『オービタル・クラウド』(2014)、草野原々『最初にして最後のアイドル』(2018)、そして高見広春の『バトル・ロワイヤル』(1999)などです。サイエンス・フィクションは、楽しいものにも重いものにもなりうるでしょう。しかし、本質的には人間的なつながりを描くものでなければなりません。もしサイエンス・フィクションが楽しいだけで、中身や目的のないものであれば、すぐに忘れ去られてしまうポップコーン映画のようになってしまうでしょう。

“楽しい”とは言えないサイエンス・フィクション作品を読んだり見たりしたこともありますが、その本を読み終え、映画を見終えた後でも、長い間余韻が残るような深いテーマを扱っている作品もありました。同時に、サイエンス・フィクションは巨大なキャンバスでもあります。様々な作家が自らの立ち位置を切り開き、各々のやり方で科学的な探求に取り組んでいる姿を見ることは、いつでも楽しいことです。

——日本で活動している若いクリエイターにメッセージを頂けますか。

あなただけの道を切り拓いてください。自分が夢中になれるものについて書いて/創り出してください。そして、それを目一杯楽しんでください。

——日本のファンにお知らせはありますか。

今、懸命に『Cyber Shogun Revolution (邦題未定)』の最終校正に取り組んでいます。前作『メカ・サムライ・エンパイア』から20年後を舞台に、二人の新たなキャラクターを中心に据え、ヴィランも一新されます。ちょうどジョン・リベルトさんがデザインしたカバーを見たところなのですが、皆さんにお見せする日を待ちきれません。シリーズを締めくくるにふさわしい作品になる予定で、日本のファンの皆さんがこのシリーズ最終作を楽しんでくれることを心から願っています。

――ありがとうございました。今後の作品も楽しみにしています。

VG+ Interview ―― Peter Tieryas “Me and Sci-Fi”
—Would you introduce yourself for readers?

My name’s Peter Tieryas and I’m the author of Mecha Samurai Empire and the United States of Japan. While I think Japanese audiences know me for my science fiction, I began my writing career publishing literary short stories, which is why I’m happy people like my science fiction.

—You often mention about sci-fi works which influenced you. This time, could you recall the first events which triggered/moved you into the creative world?

One of the first books I can remember reading is Alice in Wonderland. I loved the sense of mystery and fantasy in the whimsical journey. I began writing as a young kid and still have notebooks of the novels I wrote when I was seven or eight. Because I moved quite a lot, I often found myself in new environments where I didn’t know anyone, kind of like Alice. I found comfort in writing and telling stories that made sense of the world around me. When I talk about science fiction influences, I mainly talk about anime and videogames, but some of my favorite authors growing up were John Steinbeck, Margaret Weis, and Luo Guanzhong. You can also see the influence of Biblical reading in my writing. The games I played were wonderful and very inspiring. I still remember the first time I found out the secret time loop plot of Garland in Final Fantasy, the resurrection of Hitler in Bionic Commando, and of course the tactical espionage and Big Boss reveal of the original Metal Gear. In many ways, Phantasy Star II was also pivotal for me because of the way it helped me to imagine and dream of bigger worlds than I’d ever imagined.

——What is SF for you? Is it fun thing or more like serious thing?

To me, my favorite science fiction explores question about how the technology, like a mecha, affect a culture and society? Among recent books, some of the science fiction I thought made me ponder the future of humanity in different ways was Project Itoh’s Harmony, Taiyo Fujii’s Orbital Cloud, Gengen Kusano’s Last and First Idol, and Koushun Takami’s Battle Royale. I think science fiction can be both fun and serious, but at its heart, it has to be about the human connection. If the science fiction is all fun, but ultimately has no content or purpose, it’s forgettable popcorn action. I have seen and read science fiction that might not be considered as fun, but had meaningful themes that resonated with me long after I’d finished the book or watched the movie. At the same time, science fiction is such a broad canvas that I always enjoy finding the ways different authors carve out their place and explore science in unique ways.

——Would you give a message for young creators in Japan?

Blaze your own path. Write and create what you’re passionate about. Have a lot of fun.

——Do you have any information for fans in Japan?


I’m hard at work finishing up the final edits for Cyber Shogun Revolution. It’s set 20 years after Mecha Samurai Empire and features two new characters and an all new villain. I just saw the new cover from artist John Liberto and I can’t wait to share it with everyone. It’ll be great to wrap up the series and I genuinely hope the fans in Japan will enjoy the final part in the series.

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