ケン・リュウ「The Hidden Girl」ドラマ化へ
SF作家で翻訳家のケン・リュウが著したSF短編小説「The Hidden Girl」をドラマ化する権利を、米フィルムネーション (FilmNation) が獲得した。米Varietyが独占で報じている。ケン・リュウは製作総指揮としてドラマ『The Hidden Girl』の製作に加わる予定で、現在はショーランナーなどの選定について話し合いが行われているという。
「The Hidden Girl」は、多様な女性の暗殺者たちが四次元を通して時空と時代を移動し、標的の暗殺を目指す物語。職業規範や倫理のジレンマと向き合う主人公たちの姿が描かれる。2020年2月には短編集『The Hidden Girl and Other Stories』に表題作として収録された。
日本では『生まれ変わり』(古沢 嘉通, 幹 遙子, 大谷 真弓 訳) に「隠娘」のタイトルで日本語訳が収録されている。
映画化とドラマ化が決定
「The Hidden Girl」は、2016年にStudio 8が映画化の権利を獲得。2018年4月には、日本のアニメ『TIGER & BUNNY』のハリウッド実写版お脚本を担当することが発表されている女性脚本家のエレン・シャンマンが映画版「The Hidden Girl」を手がけることが報じられていた。
今回、「The Hidden Girl」ドラマ化の権利を獲得したのはテッド・チャン「あなたの人生の物語」を『メッセージ』として映画化した映像製作スタジオのフィルムネーション・エンターテインメント。フィルムネーションが初めて手掛けたドラマ作品『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』では、2020年に発表された第72回エミー賞にて、主演のマーク・ラファロが主演男優賞リミテッドシリーズ及びテレビ映画部門を受賞した。
「これ以上相応しいチームはない」
フィルムネーションによる「The Hidden Girl」のドラマ化権利獲得について、ケン・リュウは、Varietyに以下のようにコメントしている。
「Hidden Girl」を書いたのは、単一の時間や場所に縛られない重装的な感情とモラルによって描かれる美しい世界を呼び起こすためです。このビジョンを拡大し、実現するために、フィルムネーション以上に相応しいチームはないでしょう。この時代における映像界のストーリーテラーの匠と仕事をする機会が得られたことを本当に光栄に思っています。
また、フィルムネーションのエグザクティブ・バイスプレジデントのステファニー・バークは、以下のようにコメントしている。
多彩な才能を持つケン・リュウとの関係をテレビドラマにまで広げることができて、ワクワクしています。「Hidden Girl」を読んだ時、ケン・リュウの独創的な作風に圧倒されました。この作品では、多次元を移動する女性の暗殺者たちの視点を通して、家族とシスターフッドについての壮大な物語が描かれています。このダイナミックなストーリーをテレビで紹介できる日が待ち遠しいです。
2020年9月頭には、ケン・リュウが英訳を手掛けた劉慈欣『三体』がNetflixでドラマ化されることが発表されたばかり。『三体』ドラマ版にも、ケン・リュウはコンサルティング・プロデューサーとして製作に加わる予定となっている。
小説・翻訳だけでなく映像の世界にも活躍の場を広げていくケン・リュウ。「The Hidden Girl」のドラマ版、そして映画版の完成を期待して待とう。
短編映画化されたケン・リュウの「母の記憶に」については、こちらの記事に詳しい。
Source
Variety / Deadline 1 / Deadline 2