『キンドレッド』が映像化
米FXがオクティヴィア・E・バトラーの小説『キンドレッド』の映像化を進めていることが明らかになった。米Deadlineが報じた。FXはディズニー傘下のテレビ局で、ドナルド・グローヴァー主演・監督・脚本の『アトランタ』(2016-) や「X-MEN」シリーズのスピンオフ『レギオン』(2017-2019) といったドラマの製作で知られる。
『キンドレッド』は1979年に出版された作品で、日本では唯一翻訳されたバドラーの長編小説として知られる。風呂本惇子と岡地尚弘によって翻訳された『キンドレッド―きずなの招喚』は、1992年に山口書房から刊行された。
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奴隷制時代へタイムスリップ
『キンドレッド』は、26歳の黒人女性の主人公が1976年から奴隷制時代の南部アメリカへとタイムスリップする物語。主人公のデイナが黒人女性であるというだけで受ける仕打ち、白人奴隷主でデイナの先祖でもあるルーファスの支配欲、黒人少女アリスとの出会いを、過去と現代を行き来するデイナの姿を通して描いている。ドラマ版では、主人公は現代のロサンゼルスから19世紀の農園にワープすることになるという。やはり時代を行き来する中で、主人公は歴史のひずみに直面し、これに立ち向かう。
パイロット版の製作は、ドラマ『ウォッチメン』(2019) にコンサルティング・プロデューサーとして携わったブランデン・ジェームズ=ジェンキンスが担当し、シリーズの製作総指揮も務めるという。
『キンドレッド』は2017年にダミアン・ダフィーとジョン・ジェニングスの手でグラフィックノベル化され、コミック界のアカデミー賞とされているアイズナー賞で「Best Adaptation from Another Medium」に選ばれている。
なお、オクティヴィア・E・バトラーの作品では、『Wild Seed』(1980) と『Dawn』(1987) のドラマ化が進行している。いずれも黒人のクリエイターと俳優によって製作されており、『Wild Seed』はSF作家のンネディ・オコラファーが脚本を担当する。
Source
Deadline