『ラブ、デス&ロボット』監督 ティム・ミラーが制作の狙い語る「このシリーズの目的は…」 | VG+ (バゴプラ)

『ラブ、デス&ロボット』監督 ティム・ミラーが制作の狙い語る「このシリーズの目的は…」

via: Screenshot on Netflix YouTube

ティム・ミラーが『ラブ、デス&ロボット』を語る

解説動画を公開

『デッドプール』(2016) のティム・ミラーと『ファイトクラブ』(1999) のデヴィッド・フィンチャーがタッグを組んだ、Netflixオリジナル短編SFアニメアンソロジー『ラブ、デス&ロボット』。有名SF短編作品のアニメ化に、大人向けの過激な表現、見たことのないアニメーションの数々によって、大きな話題となっている。そんな『ラブ、デス&ロボット』について、製作総指揮・監督を務めたティム・ミラー自らが解説する動画を、Netflixが公開した。果たしてティム・ミラーは『ラブ、デス&ロボット』にどのような想いを込めたのだろうか。

『ラブ、デス&ロボット』を作った理由

冒頭、ティム・ミラーは、『ラブ、デス&ロボット』を製作した目的について、以下のように語っている。

このシリーズの目的は、素晴らしい短編作品を紹介し、世界中の優れたアニメーションと融合させることです。それも、大人向けにね。「Fuck the Kids*」ですよ、ホントに。

*パンクバンドNOFXが1996年に発表した楽曲およびEP

ティム・ミラーが「ホラーであり、SFであり、ファンタジーであり、ジャンルもの」と語る同作の目的は、まず短編作品を世に出すこと、そしてそれを世界中のアニメスタジオが制作するアニメと融合させることにあったのだという。
だが、それをなぜ敢えて大人向けにしたのだろうか。ティム・ミラーは、普通はアニメでは見ないようなアダルト描写について、「そうしたかった一番の理由は、新しいことをやりたかったということです」と語る。芯のある物語を残しつつそれを表現する方法を変えることにより、誰も見たことのないものを作り出そうとしたのだ。

すごかったのは、アニメーターだけではない

そして、その表現方法については、ティム・ミラーが“お気に入り”の一つと話す「魂をむさぼる魔物」などが伝統的なアニメーションスタイルで制作された一方で、「シェイプ・シフター」や「ラッキー・サーティーン」といった作品ではモーションキャプチャーがフル活用されている。ティム・ミラーは、アニメーターの力と共にモーションキャプチャーで各キャラクターを演じた俳優の力、そしてその俳優の演技を監督するディレクティングも、『ラブ、デス&ロボット』の制作において重要な役割を果たしたと語っている。

「グッド・ハンティング」にも言及

『ラブ、デス&ロボット』に収められた短編アニメ作品は、世界各国のアニメスタジオが制作を手がけている。中でもケン・リュウの短編小説「良い狩りを」をアニメ化した「グッド・ハンティング」は、韓国のレッドドッグ・カルチャー・ハウス (Reddog Culture House) がアニメーションを手がけている。同作品のアニメ化は、ティム・ミラーにとっても大きな仕事という意識があったようだ。中国を舞台にしたこの作品では、アジアのアニメスタジオに制作を任せると決めていたのだという。

「言葉は問題じゃない」

その他にもスペインやハンガリー、デンマークなどのアニメスタジオが各作品を手がけ、各々のカルチャーや制作手法を『ラブ、デス&ロボット』に落とし込んだ。これについて、ティム・ミラーはこう語る。

嬉しかったですねぇ。言葉は問題じゃないんだ、って。クリエイティビティが全ての言語を翻訳してくれたんです。

言語が異なる人々の協力によって制作され、また世界中の各言語で配信されている『ラブ、デス&ロボット』は、確かに、クリエイティビティが言葉を越えていくということを証明してくれている。

Netflixは「完璧」

そしてティム・ミラーは、『ラブ、デス&ロボット』の企画を通したNetflixについて、「完璧なパートナーでした」と語る。「ロボット・トリオ」など、『ラブ、デス&ロボット』の三作品で原作を提供したSF作家のジョン・スコルジーも、Netflixとティム・ミラー率いるブラー・スタジオ (Blur Studio) との協業について、「最高だった」と振り返っている。

注目すべきは、「Netflixはリスクを取ってくれた」とミラーが語っているという点だ。

「血が出すぎです」とか、「ここでセックスの描写はまずいです」などと言ってくる人は一人もいませんでした。協力的で、むしろ私たちの限界を押し広げてくれました。

NetflixやAmazonプライムビデオは、テレビや映画館といった“パブリック”ではない空間にエンターテイメントのプラットフォームを築き上げた。これにより、メインストリームから外れていた多くのクリエイターに、作品を公開するチャンスが訪れることになった。

クリエイターの界隈は、このチャンスを大いに喜ぶはずです。

『ラブ、デス&ロボット』の公開にそう期待を込めたティム・ミラーは、2019年11月に公開される『ターミネーター: ニュー・フェイト』の監督を務める。また、セガの人気キャラクター、ソニックをハリウッド実写映画化する『ソニック・ザ ・ヘッジホッグ』では制作総指揮を務める。多忙を極めるミラーだが、果たして『ラブ、デス&ロボット』のシーズン2は制作されるのか、それとも新たな才能がNetflixから登場するのか、今後の展開に注目しよう。

Source
Netflix YouTube

VG+編集部

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