「グッド・ハンティング」を手がけたアニメスタジオは?
『ラブ、デス&ロボット』のケン・リュウ作品に注目
Netflixが公開したオリジナル短編アニメアンソロジー『ラブ、デス&ロボット』。収録された18本の短編SFアニメは、どれも魅力的な作品ばかりだ。その中でも、ダントツの注目度の高さを誇っているのは、ケン・リュウ原作の「グッド・ハンティング」だろう。第47回星雲賞海外短編部門を受賞した「良い狩りを」をアニメ化した作品だ。「良い狩りを」は、早川書房『紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』(2015)、『もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)』(2017) (共に古沢嘉通 訳) に収録されている。
「グッド・ハンティング」の独特な作風
比較的原作に忠実にアニメ化された「グッド・ハンティング」は、人気SF作家ケン・リュウ初のアニメ化作品だ。それもあってか、Netflixも『ラブ、デス&ロボット』におけるメインエピソードの一つとして広報を行なっている。『ラブ、デス&ロボット』に収められた様々な作品の中でも、「グッド・ハンティング」のテクノロジーと魔法がかけ合わさったアジア的な作風は独特だ。『ラブ、デス&ロボット』というアンソロジーに更なる多様性をもたらす結果を生んでいる。
アニメ化を手がけた“レッドドッグ”とは…?
「もののあはれ」など、日本を題材にした作品も描いてきたケン・リュウだが、初のアニメ化を手がけたのは韓国のアニメスタジオだ。「グッド・ハンティング」の独特のアニメーションを制作したのは、レッドドッグ・カルチャー・ハウス (Reddog Culture House)。韓国の京畿道に拠点を置くアニメスタジオだ。2014年に設立された新興スタジオで、アニメーション制作のチームは、20代〜30代の若いアニメーターで構成されている。同スタジオが公開している映像集がこちらだ。
「グッド・ハンティング」とは一線を画すジャパニメスタイルのアニメーションだ。映像集からはそのクオリティの高さがうかがえる。レッドドッグはこれまでに、『メイプルストーリー2』(2015) や、オンラインゲームの『ハイパーユニバース』(2017) のアニメーション制作にも携わっている。今回の「グッド・ハンティング」では、一味違った作風のアニメーションも制作できることを証明した。
ケン・リュウ作品の実写映画も
アニメ以外のケン・リュウの映像化作品では、「母の記憶に」を短編実写映画化した「Beautiful Dreamer」(2016) が知られている。こちらもAfterparty VFX社によるVFXを駆使したハイクオリティな作品に仕上がっている。
今最も注目されているSF作家、ケン・リュウの作品の映像化とあれば、いやが応にも注目を浴びる。プレッシャーをはねのけて映像化に挑んだ制作スタジオに拍手を送ろう。
世界中のアニメスタジオが参加
なお、『ラブ、デス&ロボット』の「ロボット・トリオ」、「ヨーグルトの世界征服」、「歴史改変」を手がけたジョン・スコルジーは、自身の作品のアニメ化を手がけた制作スタッフを紹介している。スコルジーの作品のアニメ化は、スペインのBlow StudioとデンマークのSun Creatureが手がけた。『ラブ、デス&ロボット』は、様々な国のアニメスタジオによって作り上げられていたのだ。こうした背景こそが、同シリーズを多彩で多様な作品に仕上げた一因となったのだろう。