SF作家ジョン・スコルジー、『ラブ、デス&ロボット』原作アニメ化のプロセスは「最高だった」 | VG+ (バゴプラ)

SF作家ジョン・スコルジー、『ラブ、デス&ロボット』原作アニメ化のプロセスは「最高だった」

via: Screenshot on Netflix

『ラブ、デス&ロボット』原作者が制作経緯を公開

3作品に原作を提供

Netflixオリジナルの短編アニメアンソロジーとして話題になった『ラブ、デス&ロボット』。公開された18作品のうち、SF作家のジョン・スコルジーが3つの作品で原作を手がけている。「ロボット・トリオ」、「ヨーグルトの世界征服」、「歴史改変」がその3作品だ。どれも一躍人気作品となったが、今回、スコルジー本人がブログで、自身の作品がアニメ化された経緯を明かしている。

制作プロセスは「最高のケース」

ジョン・スコルジーは、『ラブ、デス&ロボット』の制作過程について、「全てのプロセスは快適で、正直にいうと、映画やテレビ業界の人たちとの仕事としては最高のケースだった」と振り返る。
彼がアニメ化の話を受けたのは2017年1月。公開の2年以上前に遡る。『デッドプール』(2016) のティム・ミラーが運営するブラー・スタジオ (Blur Studio) は、スコルジーのエージェントに、二つの作品のアニメ化についてオファーを行ったという。その2作品とは、「ヨーグルトの世界征服」と「歴史改変」。なんと、『ラブ、デス&ロボット』全作の中でも一番人気と言っても差し支えない「ロボット・トリオ」は、当初はアニメ化の計画に含まれていなかったのだ。

「ロボット・トリオ」アニメ化の経緯は?

ジョン・スコルジーは、特に「ヨーグルトの世界征服」がアニメ化されるということを非常に面白がり、結果としてブラー・スタジオはこの2作のアニメ化のオプションを獲得。その後、ロサンゼルスでティム・ミラーと会合を持ったスコルジーは、純粋に「ミラーが喜ぶだろう」という理由で「ロボット・トリオ」の原作を彼に送る。ミラーがこれに飛びつき、「ロボット・トリオ」のアニメ化が決定。原作が世に出る前の出来事だった。

原作者が語るスタジオの誠意

こうして始まったティム・ミラーとブラー・スタジオとの『ラブ、デス&ロボット』のアニメ制作の過程について、ジョン・スコルジーは「非常に良い経験だった」と語っている。スタジオ側は、常にコミュニケーションをオープンにし、制作期間中も随時原作者のスコルジーに確認を行っていたという。彼からの助言も真剣に考慮され、脚本や声優、各話の制作を担当したアニメスタジオに対しても、スコルジーは高い評価と敬意を表現している。
こうした背景もあってか、ジョン・スコルジーはTwitter上で『ラブ、デス&ロボット』で自身の作品を手がけた制作スタッフを紹介している。

最大の問題点とは…?

一方で、ジョン・スコルジーが「最大の問題」だったと語るのは、Netflix特有の厳格な機密保持契約だ。通常、アニメ化や映画化が決定した作品の原作者は、自身の他の作品にもオプション契約のオファーが舞い込むように、映像化決定の宣伝を大々的に行いたいもの。『ラブ、デス&ロボット』も公開直前までプロジェクトを公にすることはできなかったという。しかし、スコルジーはこれについても、スタジオ側からの彼への「リスペクト」を理由に、喜んで従ったと述べている。
なお、彼はTwitter上でも「なんでアニメ化されるって言ってくれなかったの?」と問いかけられ、「Netflixはちゃんとお金を払ってくれたからね」と、スコルジー流の返答で笑いを誘っている。

「ロボット・トリオ」シリーズ化も!?

最後に彼は、ファン達が「ロボット・トリオ」のシリーズ化を望んでいることに言及。「ブラー・スタジオとNetflixが望むのであれば、喜んで話をする」としている。小説などの映像化にあたっては、原作者が満足しているかどうかということは、その他の作品の映像化にも関わる重大事項。ファンにとっても気になるポイントだ。今回のスコルジーの様子を見ていると、作品の完成度だけでなく、映像化の“プロセス”も重要な意味を持つことがわかる。『ラブ、デス&ロボット』とジョン・スコルジーの間では、問題がないどころか、原作者もシリーズ化を望む展開となっった。『ラブ、デス&ロボット』と「ロボット・トリオ」の、今後の更なる展開に期待しよう。

Source
John Scalzi Website

VG+編集部

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