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「ミレニアル世代は本を読まない」? 有名作家が爆弾発言
『レス・ザン・ゼロ』(1985) などの著書で知られるブレット・イーストン・エリスの発言に、批判が集まっている。エリスは、米時間4月21日(日)に公開された英The Timesのインタビューで、「ミレニアル世代の文化? ものを書くということをしません。本も読まないんです」と発言。インタビュー記事自体も「『アメリカン・サイコ』の著者ブレット・イーストン・エリスは、なぜミレニアル世代を嫌うのか」と、ミレニアル世代に対する挑発的なタイトルとなっている。
“What is millennial culture? There’s no writing. None of them read books” – @BretEastonEllis https://t.co/CGMogf1s7B
— The Sunday Times (@thesundaytimes) 2019年4月21日
作家と読者から強い反発
ミレニアル世代とは、1980年から2000年ごろまでに生まれた世代のことで、現在20代〜30代後半の人々を指す。デジタルに慣れ親しんだ世代であり、1964年生まれで、冷戦下で生まれ育ったジェネレーションXに属するブレット・イーストン・エリスとは一線を画す世代だ。今回のエリスの発言には、(当然のことながら) 作家やミレニアル世代の読者たちから強い反発が起きている。
作家たちの反応は? 他世代の作家たちが反応
1973年生まれでジェネレーションXに属するファンタジー作家のマイク・コールは、「マジか。なんて野郎だ」と驚きを隠せない様子。
Christ what an asshole https://t.co/adI2J1HzxM
— Myke Cole (@MykeCole) 2019年4月21日
1969年生まれで、『老人と宇宙』で知られるジョン・スコルジーは、「“私は個人的にミレニアル世代の作家を知りません。あとは誰も私の作品に興味がないようです。”」と、エリスの発言を“解釈”して“代弁”投稿している。
“I don’t know any millennial authors personally and none of the rest of that group seem interested in my work.” https://t.co/0ZEg28hQ9y
— John Scalzi (@scalzi) 2019年4月21日
ミレニアル世代の作家は…
1984年生まれでミレニアル世代に属するファンタジー作家、サム・サイクスは「攻撃に対処する術を知らず、悪意のある変人に付き合ってしまうタイプの人がいます。エリスはそのうちの一人。」と皮肉を投稿。
There’s a specific type of person who legitimately doesn’t know how to handle getting dunked on and pivots into a hateful crank as a response. Ellis is one of those people. https://t.co/95i15Qha1D
— Sam Sykes (@SamSykesSwears) 2019年4月21日
だが、実はミレニアル世代の作家からは、それほど声はあがっていない。「ミレニアル世代はものを書かない」というトンデモ発言は相手にもしていないようだ。この世代では、怒れる高齢者を揶揄する「雲に怒鳴る老人 (Old man yells at could)」というネットミームも誕生するなど、ある種の耐性が付いているとも言える (「スピルバーグによる「Netflix作品除外」の報道に、評論家らが相次いでコメント」も参照)。
1954年生まれで、ジェネレーションXよりも上の世代であるベビーブーマー (1946-1964年生まれを指す) に属する、『夏の樹』(1984) の著者、ガイ・ゲイブリエル・ケイは、現在の状況を作家らしく比喩表現で説明した。
This is where we all pretend to find the ceiling or the arrangement of bottles behind the bar interesting until the clearly troubled man leaves and normal conversation can resume. https://t.co/hIzfJMIpzg
— Guy Gavriel Kay (@guygavrielkay) 2019年4月21日
[レストランで] 明らかに問題を抱えた男が家に帰るまで、皆が天井やワインボトルに関心があるフリをしている状態。
本当にミレニアル世代は本を読まないのか、読者は怒り
一方で、ミレニアル世代の読者たちからは、ブレット・イーストン・エリスの発言に対する多くの批判が起こっている。「ミレニアル世代が本を読まない世代なら、J・K・ローリングは億万長者になってない」「この人の本を読んでいないだけでは?」という論調が主なものだ。個人的な経験から詳細なデータに至るまで、「ミレニアル世代は本を読む」という様々な証拠が示されている。
ミレニアル世代は本を楽しむ世代
2017年にForbes誌が公開した「ミレニアルズ: 読書を楽しむ世代」と題した記事によると、ミレニアル世代は、上の世代よりも本を読む習慣があるとの調査結果が示されている。18〜29歳の世代は80%が本を読んでいるが、50代以上では70%、65歳以上では67%まで低下する。その上、ミレニアル世代は仕事や勉強のためではなく、楽しむために本を読む傾向が強いとされている。
炎上商法…?
エリス自身は、『アメリカン・サイコ』(1991) など、いくもの作品が映画化されている有名作家だ。かつては同世代の若者の群像劇を描く作風に定評があったが、近年は、左派メディアやリベラル陣営に噛み付く発言で注目を集めている。今回の発言も、「エリスの本を読んだことがない」というミレニアル世代が一斉に反応した結果をみると、エリスなりの“炎上商法”と見るのが正しいだろう。一方で、エリスの発言は、ミレニアル世代の“読書愛”が発露するきっかけともなった。一流作家が描き出した、皮肉なストーリーである。