原里実「植物家族」英訳が米文学誌に掲載
原里実の掌編「植物家族」が英訳され、アメリカの文学誌ワールド ・リテラチャー・トゥデイ (World Literature Today) に掲載された。英題は「A Family of Plants」で、翻訳を手掛けたのはToshiya Kamei。「植物家族」は第2回ブンゲイファイトクラブの応募作品であり、パンデミック下の生活を反映したSF作品だ。日本語版はnoteで公開されている。
「A Family of Plants」(World Literature Today)
ワールド ・リテラチャー・トゥデイは、米オクラホマ大学が出版する文学誌で、エッセイ、詩、書評、小説など、幅広いジャンルの文学を扱っている。「Books Abroad」というタイトルで第1号が出版されたのは94年前の1927年のことで、創刊から50年が経った1977年に現在の「World Literature Today」という名前に変更された。非常に長い歴史を持つ文学誌として知られる。
最近では、『乳と卵』で第138回芥川龍之介賞、『ヘヴン』で第20回紫式部文学賞などを受賞したことで知られる日本の小説家・川上未映子の「マリーの愛の証明」がHitomi Yoshio (由尾瞳) による翻訳で掲載されている。
今回、「植物家族」で名誉ある掲載を勝ち取った原里実は、2014年に「タニグチくん」で第20回三田文学新人賞佳作、2016年に『レプリカ』で第3回文学金魚新人賞 辻原登奨励小説賞を受賞。2020年に開催された第1回かぐやSFコンテストでは、「永遠の子どもたち」が選外佳作に選ばれた。現在は、ゲンロンSF創作講座の5期生。2018年12月には短編集『佐藤くん、大好き』(金魚屋プレス日本版) を発表している。今回、いきなりワールド ・リテラチャー・トゥデイで英語デビューを果たし、今後に期待のかかる作家の一人だ。
そして、翻訳を手掛けたTohisya Kameiは、ウェブサイト上は、海外誌に掲載予定の翻訳作品の一覧を公開している。今年も、多くの新たな才能を世界へと紹介してくれそうだ。2021年も目が離せない。