「X-MEN」マグニートー/エリックのモデルはマルコムX——マイケル・ファスベンダーが語る

Photo Credit: Doane Gregory

『X-MEN: ダークフェニックス』公開

新シリーズ最後の物語

『X-MEN: ダークフェニックス』が日本でも公開され注目を集めている。若き日のマグニートーことエリック・レーンシャーとプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの物語が、遂に終焉を迎えるのだ。そんな中、マグニートーことエリック・レーンシャーを演じた俳優のマイケル・ファスベンダーが自身が演じたキャラクターについて、DAILY NEWSのインタビューで改めて口を開いた。

4度目のマグニートー役

マイケル・ファスベンダーがエリック役を演じるのは、『X-MEN: ダークフェニックス』で4回目。『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011) から数えて8年間同役を演じ続けてきた。エリックを演じ始めた頃には30代中盤だったファスベンダーも、『ダークフェニックス』公開時点で42歳。2〜3年ごとに様々な心境の変化を経験したエリックを演じてきた。

マグニートーはマルコムX、プロフェッサーXはキング

マイケル・ファスベンダーは、「X-MEN」シリーズと自身が演じたマグニートー/エリックと言うキャラクターについて、以下のように話している。

私たちが扱っているのは空想的な世界で、分かりやすいものです。ですが、その中央にはコアになるものが存在していて、それは公民権運動を基に構成されたものです。演じ始めた頃から、私はマグニートーをマルコムXに重ね合わせ、プロフェッサーXをマーティン・ルーサー・キングに重ね合わせて見ていました。私たちは、常にその観点からアプローチしていたのです。

『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』で描かれたプロフェッサーXとマグニートーの物語は、アメリカで1950年代から1960年代にかけて展開された公民権運動がベースになっている。白人との共存を求め非暴力を掲げたキング牧師と、差別に対して暴力を用いた抵抗も辞さないとするマルコムXの姿勢は、チャールズとエリックの人類に対する態度と共鳴するのだ。

 

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妥協点を見出したエリック

更に、今作『X-MEN: ダークフェニックス』におけるエリックの状況について、マイケル・ファスベンダーはこう語っている。

彼は一つの妥協点を見出しました。彼はジェノーシャ [マグニートーが支配する土地] を手に入れたので、人類に対する戦いはひとまず終わりを迎えたのです。

エリックが人類への憎悪を乗り越え平穏を見出したという設定は、晩年におけるマルコムXの意識の変化に近いものがある。ネーション・オブ・イスラムを脱退した後のマルコムXは、メッカ巡礼を経て人種として白人を憎むことをやめ、その態度や思想に“白人性”を見出し批判するようになった。公民権法制定後、キングとマルコムXはベトナム戦争と階級社会に対する批判を強め、共通の敵を見出していくことになるのだが、この流れもまた、「X-MEN」シリーズにおけるエリック/マグニートーとチャールズ/プロフェッサーXの関係性に投影されている。

自分に身近で重要なテーマに

このように現実とリンクする「X-MEN」シリーズ自体のテーマについても、マイケル・ファスベンダーは以下のように語っている。

私がとても興味深く感じている点は、どんな理由であれ、自分に身近で重要なテーマを中心におくことができるということです。民族的なバックグラウンドや性的指向等によって、社会の片隅に追いやられていると感じている人、違和感を感じている人、うまく順応できない、排除されたと感じている人達……。これは非常に価値のあることですよ。多くの人にそうした経験があるでしょう。

「X-MEN」は、SFというジャンルが持つ機能を存分に活用したシリーズだ。同シリーズは、現実に存在する差別と排除、それに向き合う人々や対抗する手段を比喩表現によって描き直した。これにより、人種のみならず、あらゆるテーマを抱える人々に差別や排除とどう向き合うかというヒントを提供する作品となったのだ。

8年間エリックを演じたマイケル・ファスベンダーは、最後まで彼の姿をマルコムXに重ね合わせていたようだ。だが、ファスベンダーが話す通り、これらのストーリーをどう捉えるかは観る人の手に委ねられている。自分の中に生きる様々な “X-MEN” を、エリックとチャールズに、またはその他のキャラクターに重ね合わせて見ることができるだろう。

映画『X-MEN: ダークフェニックス』は、2019年6月21日(金)より全国でロードショー。

Source
Daily News

齋藤 隼飛

齋藤 隼飛

VG+編集長。1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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