『シン・ゴジラ』(2016)7年ぶりの新作長編ゴジラ映画
「ゴジラ」シリーズ37作目にして、日本で制作された「ゴジラ」シリーズでは30作目に当たる「ゴジラ」シリーズ70周年記念作品として公開される山崎貴監督作『ゴジラ-1.0』。2023年11月3日に全国公開されることが発表されていた『ゴジラ-1.0』だが、その主要キャストと新キャッチコピーが明らかになる新予告が2023年9月4日に解禁された。反戦と災害としてのゴジラ映画として制作されたのが『ゴジラ-1.0』だ。
主人公の敷島浩一を演じるのは神木隆之介、大石典子を演じるのは浜辺美波と2023年度前期放送のNHK「連続テレビ小説」第108作目『らんまん』と同じ組み合わせのキャスティングとなったが、これは偶然とのことだ。他にも新予告の中ではゴジラに対抗する人々として水島四郎役で山田裕貴や橘宗作役に青木崇高、佐々木蔵之介が演じる秋津淸治が登場した。
生々しい戦禍の爪痕
彼らはおそらく旧日本軍などに関わる人物か、徴兵された経験がある人物だと思われる。山田裕貴演じる水島四郎の「なんで俺たちこんなところ呼ばれたんですか」という戸惑いの声や、敗戦処理を行う船「新生丸」を操る佐々木蔵之介演じる秋津淸治の「誰かが貧乏くじ引かなきゃなんねえんだよ」という台詞、神木隆之介演じる敷島浩一の叫びなどゴジラの被害か、戦争による悲惨な現状を目の前にした人々の想いが『ゴジラ-1.0』新予告編からはにじみ出ていた。
市井の人物として描かれるのが、安藤サクラが演じる太田澄子だろう。戦争を生き延びた一般市民の女性の代表者のような立ち位置で描かれる太田澄子は敷島浩一に向かって「この恥知らず」と発言しており、その直前の青木崇高演じる橘宗作の「みんな死んだぞ」という台詞も相まって生き残った者の罪悪感を想起させる演出がなされている。それによって『ゴジラ-1.0』新予告編では最初に公開されたキャッチコピーである「戦後、日本。無から負へ。」の通り、市民への被害や、犠牲者が生々しく描かれることがわかり、ゴジラがもたらす被害の甚大さが鮮明に描写された。
深まるゴジラの謎
一方で第1作目『ゴジラ』(1954)に登場する古生物学者の山根恭平のような、科学者的な立ち位置だと思われる吉岡秀隆が演じる野田健治も登場している。そして『ゴジラ-1.0』新予告解禁前に公開された予告映像の中で政府とゴジラの謎についてもわずかに触れられている。そこではGHQこと連合国軍最高司令官総司令部の総司令官ダグラス・マッカーサーの署名と、以下のような文章が一瞬映し出された。
9.4(月) 14:45
最新予告映像
YouTubeプレミア公開https://t.co/19vV9IdljL#11月3日公開#ゴジラマイナスワン#ゴジラ#Godzilla pic.twitter.com/TUJnlpkFPb— 『ゴジラ-1.0』【2023年11月3日公開】 (@godzilla231103) September 2, 2023
Tokyo, Japan
10 February 1947
Dear Mr. Prime Minister
Our intelligence agency, coordinating with allied forces, has confirmed the presence of a massive aquatic organism headed at high speed toward the Japanese archipelago from the south.(拝啓、首相閣下。我が国の諜報機関は、同盟軍と連携し、南方から日本列島に高速で向かってくる巨大な水棲生物の存在を確認しました。)
このことからわかる通り、終戦後2年目の時点で日本政府はゴジラの存在を知っていたこととなる。更には「This Microfilm is Property of United State Government. Microfilmed by Nippon-Naval District Washington Microfilm section(このマイクロフィルムは米国政府の所有物です。日本海軍ワシントン支局マイクロフィルムセクションによるマイクロフィルム化)」というアメリカ政府による資料も登場しており、『ゴジラ-1.0』新予告解禁前での巨大な爆発シーンからアメリカ政府を含めた連合国軍もゴジラについて何か知っていたことがうかがえる。
吉岡秀隆演じる野田健治は「政府は国民にこの情報を伏せています」と発言しており、日本政府がゴジラ襲撃以前からゴジラの存在を知っていた可能性が高い。他にも潜水艦など、ゴジラによって海軍の設備が破壊されていることが予告編解禁前の映像から見て取ることができ、日本政府やアメリカ政府は既にゴジラと交戦した経験がある可能性すらある。
『ゴジラ-1.0』新予告編は1分22秒と短く、情報量もまだ少ない。しかし、その短い新予告編の中でゴジラによる圧倒的な絶望を見せつけてきた。神木隆之介演じる敷島浩一の「その怪物は許しちゃくれない」という悲壮な台詞がそれをより一層引き立たせる。だが、最後には新たなキャッチコピーとして「生きて、抗え。」という希望が与えられた。マイナスからこの希望を頼りに人類はどのようにゴジラに立ち向かうのだろうか。今後の情報解禁に期待したい。
山崎貴監督作『ゴジラ-1.0』は2023年11月3日公開。
映画『ゴジラ-1.0』予告編第1弾はこちらの記事から。
映画『ゴジラ-1.0』と読売巨人軍がコラボに関してはこちらの記事から。
モンスター・ヴァース版ゴジラの最新作の情報はこちらの記事から。
『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』の第1話ネタバレ感想と考察はこちらの記事から。