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『キンブ・オブ・モンスターズ』続編はどうなる?
ゴジラ愛溢れる仕上がりに
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が公開されたのは2019年。『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)を元ネタに、ゴジラ、モスラ、ラドン、そしてキングギドラが登場する同作は、マイケル・ドハティ監督のゴジラ愛が溢れる仕上がりに。過去のゴジラ作品をフィーチャーした音楽も話題を呼んだ。
続編はどうなる?
そもそも『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、レジェンダリー・エンターテインメントが展開する“モンスターバース”に属する作品。巨大怪獣が存在する世界を舞台にしたこのユニバースでは、第一作目の『GODZILLA ゴジラ』(2014)、第二作目の『キングコング 髑髏島の巨神』(2017)が公開されており、『キング・オブ・モンスターズ』はモンスターバースの第三作目にあたる。同作中にはメイン怪獣の4体のみならず、複数の怪獣が登場し、怪獣大集合の様相も呈する壮大な作品に。これ以上どうやって広げるのか、と心配になるほど盛りだくさんの内容だったが、劇中には次回作や今後の展開を示唆する様々なヒントが散りばめられていた。
以下の内容は、映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の内容に関するネタバレを含みます。
次回作は“ゴジラvsキングコング”
モンスターバースの二大キングが激突
まず、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の続編として既に米公開されているのが、ゴジラとキングコングを中心に据えた『ゴジラvsコング』だ。これまでのモンスターバースのメイン怪獣同士がぶつかる同作は、日本では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で公開日は未定だが、「近日公開」とされている。過去には東宝が『キングコング対ゴジラ』(1962) を製作しており、『キンブ・オブ・モンスターズ』同様、日本のゴジラ映画にインスパイアされた作品であることが分かる。
次回作への伏線
このゴジラvsキングコングの戦いを実現させるため、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が指揮をとった『キングコング 髑髏島の巨神』では、「キングはコングだけではない」というセリフも登場した。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の作中においても、次回作である『ゴジラvsコング』を存分に意識した演出が登場している。髑髏島が何度も登場する他、世界中の怪獣が登場する一方で、続編に備えてキングコングは一度も登場しない。そしてポストクレジットシーンでゴジラとコングが戦っている様子が描かれた壁画が登場し、次回作へのクリフハンガーが完成している。
モスラとギドラも? モンスターバースの更なる展開も示唆
2代目モスラが登場?
では、もう少し先の続編に関するヒントも見てみよう。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、ゴジラの勝利後に起きた様々な出来事がニュースの見出しを通して提示されるエンディングクレジットシーンで、第二のモスラの卵が発見されている。“モスラの子ども”という設定は、1996年から1998年にかけて製作された平成モスラシリーズに登場しており、この時も親モスラは宇宙怪獣デスギドラによって殺されている。モンスターバースにおいても、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で同じくキングギドラの攻撃を受けて力尽きたモスラの跡を継ぐ新モスラが登場する可能性は高い。今作での活躍によって米国でも人気が高まれば、モスラを主役に据えた独自シリーズが展開される可能性もあるだろう。
マイケル・ドハティ監督は、モスラというキャラクターについて、「“生”と“死”、そして“復活”の絶え間ない循環を表現している」語っている。
メカキングギドラが登場?
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のポストクレジットシーンには、同作における悲劇の元凶となったアラン・ジョナ率いる環境テロリストが登場する。彼らがゴジラに破壊されたキングギドラの頭部を買い取るシーンで本作は幕を閉じるのだが、アラン・ロナたちは、この頭部からメカキングギドラを作り出す可能性がある。メカキングギドラは『ゴジラvsキングギドラ』(1991) に登場した怪獣で、胸部には人間が乗り込めるコクピットが取り付けられている。
その他のギドラに派生も
一方で、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、キングギドラ自身に再生能力があることも示されている。残った頭部から、前述の平成モスラシリーズに登場したデスギドラ、『ゴジラ FINAL WARS』(2004) に登場した四足歩行のカイザーギドラなど、その他のバリエーションの“ギドラ”に派生する可能性もあるだろう。
スピンオフ製作の可能性も
怪獣のドキュメンタリー番組!?
以上が『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の作中で示された続編の可能性だが、実は監督のマイケル・ドハティが、ゴジラ作品のスピンオフ制作について興味深い発言をしている。同作公開直前の2019年5月29日、ドハティ監督はTwitter上でファンからの質問に答える形でこのように綴っている。
I’d actually love to do a PLANET EARTH style documentary about the Titans, complete with Attenborough narration. cc: @Legendary #AskGodzilla https://t.co/3tgFOZPXL6
— Mike Dougherty (@Mike_Dougherty) 2019年5月29日
実は『プラネットアース』スタイルで怪獣たちのドキュメンタリーを作りたいんです。アッテンボローのナレーションでね。
『プラネットアース』(2006)は、英BBCの自然ドキュメンタリーのシリーズ。日本でもNHKスペシャルで放送され、高い評価と人気を得ているノンフィクション番組だ。同シリーズには人間は登場せず、弱肉強食の自然の摂理を捉えたシーンが映し出され、BBC版ではデイビッド・アッテンボローのナレーションが入る。ドハティ監督はこの自然ドキュメンタリースタイルで、怪獣たち弱肉強食の世界を描きたいというのだ。
このツイートには「cc: @Legendary」と、制作会社のレジェンダリー・エンターテインメント宛てのリプが付けられており、ドハティ監督の本気度がうかがえる。加えて『キングコング 髑髏島の巨神』のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が「私も……」とリプを飛ばすなど、「ゴジラ」シリーズを観て育った映画監督たちにとっては、是非とも実現したいアイデアのようだ。
Same…
— Jordan Vogt-Roberts (@VogtRoberts) 2019年5月30日
ゴジラと人類の出会いを描く…!?
それだけではない。マイケル・ドハティ監督は、「SFX Magazine」のインタビューで、太古のゴジラを描くスピンオフ制作にも意欲を示している。「『髑髏島の巨神』は1970年代を描いたけど」と前置きした上で、自身は「紀元前のゴジラを描きたい」と話しているのだ。この案が実現すれば、「私たちは人類が本当の意味で初めてゴジラと出会う場面を見ることになるでしょう。人類とゴジラの関係がどのように始まったかをね」と述べており、古代の記録や伝承もない状態の人類がゴジラと出会い、一から関係性を創り出していく作品を撮りたいというのだ。
既に海外で公開されている『ゴジラvsコング』に加え、2代目モスラにメカキングギドラ登場の可能性、それどころかドキュメンタリー形式に古代編と、思わぬ形のスピンオフにまで発展する可能性まで秘めているモンスターバース。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、このユニバースの可能性を無限に広げるパンドラの箱を開く作品になったのかもしれない……。
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』はBlu-rayで発売中。
オリジナル・サウンドトラックも発売中。