ジョージ・ミラー監督「マッドマックスには中毒性がある」 『マッドマックス:フュリオサ』についてシネマコンで語る | VG+ (バゴプラ)

ジョージ・ミラー監督「マッドマックスには中毒性がある」 『マッドマックス:フュリオサ』についてシネマコンで語る

©️Warner Bros. Feature Productions Pty Limited, Village Roadshow Films North America Inc., and Ratpac-Dune Entertainment LLC

「マッドマックス」の原点についてジョージ・ミラー監督が語る

歴史ある新作映画の発表の場である米シネマコンで、ジョージ・ミラー監督が国際キャリア功労賞を受賞した。そこでジョージ・ミラー監督はワーナー・ブラザース国際配給社社長のアンドリュー・クリップスとのトークイベントの中で「マッドマックス」シリーズを制作し続ける理由について、「中毒性がある」と解説したことを米Deadlineが報じた。

ジョージ・ミラー監督は映画に対する情熱を語った。元々、ジョージ・ミラー監督は映画監督を志していたわけではなかった。医者を目指し、医科大学に進学までしたが、学生時代に短編映画を数本制作した後、『マッドマックス』(1979)の監督と脚本で映画界にその名を轟かせたのだ。ジョージ・ミラー監督の代表作である『マッドマックス』は、ジョージ・ミラー監督が医学生時代に息子を事故で失った警察官と出会ったことがきっかけだったと解説した。

「マッドマックス」シリーズの脚本を書き始めるアイデアは、視覚的言語だけに依存した映画をつくることだった。そして、当初の「マッドマックス」シリーズのアイデアはポストアポカリプス的な映画ではなかったと続けた。事実、第1作『マッドマックス』は荒廃した近未来のオーストラリアが舞台であるものの、ポストアポカリプス的な作風になったのは『マッドマックス2』(1981)からである。ジョージ・ミラー監督はこのように解説する。

そしてそれは本当に幸運なことでした。偶然にも、そうでなければ現代の自然主義的な映画になっていたでしょうが、知らず知らずのうちに、より寓話的な映画になっていたからです。

「マッドマックス」シリーズで描かれる神話学

『マッドマックス2』は『マッドマックス』から打って変わってポストアポカリプス的な作風になっただけではなく、アメリカ合衆国の神話学者ジョゼフ・キャンベルが発表した『千の顔を持つ英雄』(1949)などから強く影響を受けた作品となっていることが考察できる。

『千の顔を持つ英雄』はジョージ・ルーカス監督の「スターウォーズ」シリーズのルーク・スカイウォーカーにも影響を与えた著作で、神話や物語における英雄の冒険譚を解剖し、類型したものである。『千の顔を持つ英雄』で語られる英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)の構造は以下の通りだ。

1. 天命
2. 旅の始まり
3. 境界線
4. メンター
5. 悪魔
6. 変容
7. 課題完了
8. 故郷に帰る

他にも「マッドマックス」シリーズ第3作であり、第88回アカデミー賞最多受賞を果たした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2012)では『マッドマックス2』よりも貴種流離譚といった神話学の要素を取り入れた作品となっていることが考察できる。貴種流離譚とは、外部の世界からやって来た英雄が苦悩に満ちた贖罪の旅路の中で誰かを救い、また旅に出ていくといった類型のものである。このようにジョージ・ミラー監督は「マッドマックス」シリーズを寓話的な作品として描いたのだと考察できる。

『マッドマックス:フュリオサ』の原点

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の脚本を書いていた際、2024年5月31日(金)に日本でも劇場公開される『マッドマックス:フュリオサ』のアイデアを思い付いたという。『マッドマックス:フュリオサ』の原点となったアイデアについて、ジョージ・ミラー監督はこのように語った。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のストーリーを語るためには、スクリーンに映し出されるものをすべて理解する必要がありました。すべてのキャラクターのバックストーリーだけでなく、すべての小道具、すべての乗り物。フュリオサが『フューリーロード』で登場するまでの15~16年間の物語を書いたり、マックスが登場する1年前の物語を書いたりしました。

それらは最終的に脚本になり、ひとつは小説になりました。俳優やスタッフに理解してもらうためにそうしました。だから『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がうまくいったとき、「これは豊かな物語だ」と思いました。映画というのは、今までやってきたことの繰り返しにならないように、独特の親しみやすさが必要で、それが『マッドマックス:フュリオサ』につながったのです。

バレエ経験者である「アニャ・テイラー=ジョイ」の演技

また、『マッドマックス:フュリオサ』のキャスティングについてもジョージ・ミラー監督は詳しく語った。まず、主人公のフュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイに関しては、かつてエドガー・ライト監督作『ラストナイト・イン・ソーホー』でアニャ・テイラー=ジョイを観たと話した。タップダンスを得意とするペンギンを主人公にしたCGアニメ『ハッピーフィート』の監督を務めたジョージ・ミラー監督はダンスの経験者と仕事をした経験が活きていることを明かした。

若い日のフュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で現在のフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンと同じくバレエの経験がある俳優だ。そのしなやかな肉体がフュリオサを演じる上で活かされていることが考察できる。アニャ・テイラー=ジョイの印象についてジョージ・ミラー監督は「彼女には何かがあります。神秘的でありながら、親しみやすい人です。彼女はとても規律正しい人だと知りました」と評した。

前述の通り、『ハッピーフィート』などでダンサーとの仕事の経験を持つジョージ・ミラー監督はバレエ経験のあるアニャ・テイラー=ジョイを、「肉体的な規律だけでなく、感情的な規律も理解していたので、そのすべてがアニャ・テイラー=ジョイをフュリオサにすることにつながりました」と語り、それが若き日のフュリオサの人物像を描く上で重要な役割を果たしたと考察できる。

「完全無欠」のクリス・ヘムズワース

また、『マッドマックス:フュリオサ』のメインヴィランであるウォーロード・ディメンタス将軍を演じる同郷のクリス・ヘムズワースについても詳しく語った。ウォーロード・ディメンタス将軍は幼いフュリオサを誘拐して部下に変え、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のメインヴィランであったイモータン・ジョーと抗争をしている筋骨隆々の人物だ。

会って話すまで、クリス・ヘムズワースのことは考えたこともありませんでした。彼は、私が最初に考えていたよりも、もっと多くの側面を持っている人物だと気づきました。僕にとって彼は、オーストラリアで言うところの「完全無欠」なのです。

巨大な暴走族のバイカー集団「バイカー・ホード」を率いるウォーロード・ディメンタス将軍に、「完全無欠」と解説されるクリス・へムズワースの演技プランがどのようにかかわってくるのだろうか。また、バレエ経験を活かしたアニャ・テイラー=ジョイの演技と『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のメインヴィランであったイモータン・ジョーとの関係性も期待だ。米シネマコンで更なる情報解禁がされることにも期待していこう。

『マッドマックス:フュリオサ』は2024年5月31日(金)より全国公開。

『マッドマックス:フュリオサ』公式サイト

Source
Deadline

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『マッドマックス:フュリオサ』の予告編第2弾はこちらから。

『マッドマックス:フュリオサ』の予告編第1弾はこちらから。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のキャスト・吹き替え声優まとめはこちらから

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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