『デトロイト ビカム ヒューマン』題材にしたのは「闘争の歴史」 デヴィッド・ケイジ監督が語る

ライター

『デトロイト ビカム ヒューマン』と社会・権利・革命・哲学

300万本を売り上げる大ヒット

高度な人工知能を持つアンドロイドが人間に代わって労働を担う世界を描いた、PS4用ゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』。アンドロイドの権利を問うストーリーと、ユーザーが物語の分岐を選べるシステムで話題を呼んだ同作は、2018年5月25日に発売され約300万本を売り上げる大ヒットを記録している。

クアンティック・ドリーム社は22周年

この度、『デトロイト ビカム ヒューマン』の開発を手がけたクアンティック・ドリーム社が22周年を迎え、同作のメニュー画面でも22周年を祝うセリフが挿入されるサプライズも用意された。また、クアンティック・ドリーム社の22周年に合わせ、監督・脚本を務めたデヴィッド・ケイジが、『デトロイト ビカム ヒューマン』に込めた思いを自身のTwitterで発信している。

「私たち自身についてのゲーム」

デヴィッド・ケイジによると、『デトロイト ビカム ヒューマン』の脚本は4,000ページに渡り、30,000ショットの撮影に約一年を費やしたという。そして、「もっとも重要なことに」と前置きした上で、こう語っている。

(『デトロイト ビカム ヒューマン』は) 私たちの世界、私たちの恐怖、私たちの希望、私たち自身についてのゲームなのです。

『デトロイト ビカム ヒューマン』は2038年のデトロイトを舞台に、アンドロイドが人間と暮らすというSF作品でありながら、デヴィッド・ケイジ監督が描いたのは、他でもない「私たち自身」だったというのだ。

「どのようにして人々は闘ってきたのか」

デヴィッド・ケイジはこう続ける。

2年の間、歴史を勉強して、古代ギリシャから今日に至るまで、人種隔離政策から女性の権利運動、LGBTの闘争に至るまで、どのようにして革命は起こり、どのようにして人々は権利のために闘ってきたのかということを学びました。
自分の権利のために闘うとき、善悪の基準をどこにおくべきなのでしょうか。

『デトロイト ビカム ヒューマン』は、他でもないプレイヤー自身がキャラクターの行動を選択し、物語を切り開いていくゲーム作品だ。迫害を受ける (あるいは権力側と協調する) マイノリティとしてのアンドロイドの物語は、史実における“権利のための闘争”を題材にしたストーリーだったのだ。

『デトロイト ビカム ヒューマン』と哲学

『デトロイト ビカム ヒューマン』の物語のベースには、ギリシャ哲学も取り入れらている。作中にはプラトンの『国家篇』も登場し、その本の持ち主が「善く生きる」という命題と自分が生きる社会について思考を巡らせていたということが示唆されている。アンドロイドであるプレイヤーは、その本を読み、「答えの分からない問い」について考えることもできた。デヴィッド・ケイジは、ギリシャ哲学からの影響についても触れている。

プラトン、ニーチェ、アリストテレス、その他大勢の哲学者たちからも学びを得ました。私たちの社会と、そこにある分離、差別、家庭内暴力、多様である権利、人間らしさについて描きたかったのです。

過去から学び、未来を描くことで、デヴィッド・ケイジは、現代を生きる私たちが考えるべき社会的・哲学的課題を提示していたのだ。もちろん、その中で描かれた個々のキャラクターの関係性が、物語に親しみやすさを付与しているという点も指摘しておこう。『デトロイト ビカム ヒューマン』発売から一年が経とうとしているが、この作品について語り終えるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

クアンティック・ドリーム社が開発したPS4用ソフト『デトロイト ビカム ヒューマン』は、ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) より発売中。2019年内にはPC版の配信開始も予定している。

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© 2018 Sony Interactive Entertainment LLC
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