『高い城の男』シーズン4予告編の音楽にメッセージ?
2019年11月15日(金)の配信開始を予定している『高い城の男』シーズン4のUS版本予告が公開された。いよいよファイナルシーズンを迎える『高い城の男』は、フィリップ・K・ディックによる同名小説を実写化したAmazonオリジナルドラマ。Amazonスタジオの看板作品として人気を博している。
予告編で使用された曲は?
10月17日(木)に公開された予告編では、これまで展開されてきた群像劇にいよいよ終止符が打たれることを示唆する場面が次々と映し出されている。そのドラマティックな予告編を美しく演出しているのが、スキータ・デイヴィス (Skeeter Davis) による楽曲「この世の果てまで (原題: The End of the World)」だ。
勝新太郎にもカバーされたこの曲では、「人々は世界の終わりが来ていることを知らないのだろうか」「あなたがグッバイと言った時にこの世界は終わってしまった」と歌われている。『高い城の男』シーズン4の予告編では、特に「人々は世界の終わりが来ていることを知らないのだろうか」というパートが繰り返し使用されており、人知れず世界の危機に挑む登場人物たちの心情が描き出されている。
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『高い城の男』との繋がり
実はこの「この世の果てまで」という曲、『高い城の男』の原作者であるフィリップ・K・ディックにも所縁がある楽曲だ。同曲が発表されたのは1962年。そう、原作小説『高い城の男』が発売された年なのだ。『高い城の男』は翌1963年にSF最高賞のヒューゴー賞を受賞するが、「この世の果てまで」も1963年に世界的なヒットを記録している。
1963年といえば、1962年10月のキューバ危機の直後であり、11月にジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された年でもある。「もし第二次世界大戦でナチスドイツと大日本帝国が勝っていたら……」という設定の歴史改変ディストピア小説と、「世界の終わり」を歌う楽曲が同時に登場し、ヒットを記録する——そんな時代だったのだ。
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曲が書かれた背景
『高い城の男』シーズン4の予告編に使用された楽曲「この世の果てまで」とフィリップ・K・ディックの接点は、それだけではない。「この世の果てまで」は一聴すると失恋の曲のようにも聞こえるが、スキータ・デイヴィスがこの曲を書いたのは父親の死に直面した14歳の頃。父の死を受けた娘の心情が生んだ曲なのだ。
『高い城の男』との意外な繋がり
奇しくも、ドラマ『高い城の男』では、フィリップ・K・ディックの実の娘であるイサ・ディック・ハケットがプロデューサーとして製作を指揮している。Amazonで配信されているSF短編ドラマシリーズ『フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ』(2017) もイサ・ディック・ハケットが製作総指揮を務め、彼女がCEOを務めるエレクトリック・シェパード・プロダクションが制作を手がけている。父フィリップ・K・ディックが遺した作品を着実に実写化しているのだ。
なお、イサ・ディック・ハケットとAmazonスタジオの間が良好な関係を結ぶに至った経緯は、以下の記事を参照してほしい。
楽曲「この世の果てまで」は、娘から父へのメッセージだった。この曲がフィリップ・K・ディックの代表作『高い城の男』のファイナルシーズンとなるシーズン4の予告編で使用されたことは、単なる偶然だろうか。
ドラマ『高い城の男』は、シーズン1からシーズン3までがAmazonプライムビデオで配信中。シーズン4は2019年11月15日(金)より配信開始。
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