『高い城の男』シーズン1でナチス側のキャラを演じたキャストをおさらい—Vol.2 ジョー・ブレイク役俳優が担う新たな時代 | VG+ (バゴプラ)

『高い城の男』シーズン1でナチス側のキャラを演じたキャストをおさらい—Vol.2 ジョー・ブレイク役俳優が担う新たな時代

via: The Man in the Castle Twitter

Amazonスタジオが贈るドラマ『高い城の男』

日本とナチスに分割統治されたアメリカが舞台

Amazonプライムビデオで、『高い城の男』シーズン3が好評配信中だ。同作は、フィリップ・K・ディックが1962年に発表した同名小説が原作で、第二次世界大戦で枢軸国が勝利した後の世界を描いている。舞台となるアメリカは大日本帝国と大ナチス帝国によって分割統治されており、シーズン1では日本領のサンフランシスコとナチス領のニューヨークで群像劇が展開される。『高い城の男』シーズン1から登場している日本領のキャラクターとそのキャストは、以下の記事に詳しい。

ナチスドイツ側の登場人物に注目

今回の特集では、ナチスドイツ領のキャラクターにスポットライトを当てていく。Vol.1では、シーズン1から登場しているナチス親衛隊大将のジョン・スミスと、彼を演じたルーファス・シーウェルに焦点をあてた。第二弾となる本稿では、ナチスドイツの未来を担うあの青年に注目しよう。

葛藤に揺れるあのキャラクター

ジュリアナと恋に落ちるジョー・ブレイク

シーズン1からナチスの一員でありながら、若さ故に揺れ動く心情を見せるのがジョー・ブレイクだ。シーズン1では、ジョー・ブレイクはジョン・スミス大将の配下にある工作員でありながら、日本太平洋合衆国のアメリカ人であるジュリアナ・クレインと恋に落ちる。“高い城の男”が作ったフィルムを追うが、任務と恋心の板ばさみになり葛藤を繰り返す。シーズン2では本国ドイツに飛び、自身についての衝撃の過去を知る。組織と個人、全体主義と自由の狭間で、最も苦しい立場に置かれるキャラクターの一人である。

原作での名前はジョー・〇〇!?

ドラマ版の『高い城の男』では、オリジナルキャラクターが数多く登場するが、ジョーは原作でも登場するキャラクターの一人だ。原作では“ジョー・チナデーラ”の名で登場し、やはりジュリアナと恋仲になる。“高い城”の男に会う為に行動を共にする二人が、どのような運命を辿るのかについては、原作とシーズン3の展開を見比べて頂きたい。
なお、ジョー・ブレイクを演じたアメリカ人若手俳優のルーク・クラインタンクは、ジョー・ブレイクを演じるにあたって、スタジオからは「原作を読まないように」と助言を受けたという。原作から大きく設定が変更されている為、クラインタンクが先入観を持たないようにという配慮だったそうだ。

演じたのはメインキャスト最年少の若手俳優

18歳でテレビドラマデビュー

そんなルーク・クラインタンクは、1990年生まれ。『高い城の男』シーズン1の公開当時で25歳だ。堂々の演技を見せているが、『高い城の男』のメインキャストの中では、ダントツの最年少だったのだ。
クラインタンクのデビューは2009年。『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』(1991-)でシーズン10の第13話に登場している。当時はまだ18歳だったが、幼少の頃から高校卒業まで演劇活動に勤しんでいた彼にとっては、“メジャー”の舞台も早過ぎるものではなかった。

テレビドラマに続々登場

その後も様々なドラマに出演し、2011年にドラマ『BONES』(2005-2017)、2013年にはJ・J・エイブラムス製作総指揮、ジョナサン・ノーラン製作の『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』(2011-2016)にも登場している。『高い城の男』では初めてメインキャラクターを演じ、その名前の通り、“ブレイク”を果たした。29歳になる2019年には、『Midway』『Crown Vic』『The Goldfinch』(いずれも原題)の三本の映画に出演する予定だ。

“ストリーミングメディアの時代”へ

「未来の形でもあり、本のようでもあり、一本の長い映画のようでもある」

Amazonプライムビデオからブレイクを果たしたルーク・クラインタンクは、ストリーミングメディアの特徴について、Entertainment Focusのインタビューで、以下のように話している。

本みたいだよね。好きな時に取り出して、一話だけ読んだり、四話読み進めたり、1日で一冊丸ごと読んだりできるんだ。自分でコントロールできるし、次のエピソードを待つ必要がないから、より引き込まれる。最後に見終わったところから再生できるから、実質、大きな一つの映画のようになっているんだ

by ルーク・クラインタンク

DIYからのインタビューでも、同じように、ストリーミングメディアの在り方は、テレビの未来の形でもあり、本を読むように昔から人々が行ってきた営みでもあり、10時間の映画を作れるようになったということでもあると述べている。若手俳優の彼にとっても、新たに登場したストリーミングメディアは、業界の可能性を広げる画期的な存在なのだ。

撮影現場にも違いが

このストリーミングメディアが持つ特殊性は、撮影現場にも影響を与えているようだ。Amazonスタジオによる撮影について、クラインタンクは今まで経験してきた『プリティ・リトル・ライアーズ』(2010-2017)や『BONES』の撮影現場とは「全く違う」と話している。毎週新たなエピソードを放送するテレビドラマに対して、Amazonプライムビデオでは、完成してから一斉配信という形式を取る。この為、テレビドラマでは通常6-7日間で1エピソードを撮影するが、『高い城の男』では、1エピソードの撮影に10-11日間を費やしているという。映画の撮影方法に近く、時間に余裕があるため、出演者やスタッフ同士が共に過ごす時間が多苦なるという利点をもたらしているのだ。

新たな時代を代表する俳優へ

ストリーミングメディアが業界に革新をもたらしたということは、木戸大尉を演じたジョエル・デ・ラ・フエンテも触れていた点である。フエンテは、ストリーミングメディアの登場によって、アジア人の活躍の場が広がったと話していた。Amazon作品を通してブレイクを果たしたルーク・クラインタンクにとっても、ストリーミングメディアは、そのキャリアの中でかけがえのない存在となった。『高い城の男』シーズン1の公開時には、「見ないと恥をかく」とまで言い切ったクラインタンク、“ストリーミングメディアの時代”を代表する俳優としてどこまでブレイクし続けるのか、今後の活躍を見守ろう。

Source
Entertainment FOCUS / DIY / IMDb

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