ジョー・ケスラーは何者?『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話の真実をネタバレ解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

ジョー・ケスラーは何者?『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話の真実をネタバレ解説&考察

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ブッチャーのCIA時代の同僚、ジョー・ケスラーとは

腐敗したヒーローと何でもありの悪童と称されるボーイズたちの戦いを描いた『ザ・ボーイズ』のシーズン4がAmazonプライムビデオで配信されている。シーズン5で邪悪なスーパーマンであるホームランダーと、ボーイズのリーダーであるビリー・ブッチャーが決着をつけるということで物語は盛り上がりを見せている

そんな『ザ・ボーイズ』だが、2024年7月4日(水)に配信された最新エピソードである第6話「汚れ仕事」では、ブッチャーの旧友であるジョー・ケスラーに注目が集まった。腐敗と汚職にまみれたヒーローたち相手に何でもやってきたブッチャーだが、ジョー・ケスラーとはどのような関係なのだろうか。

本記事では『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」に登場するジョー・ケスラーと、原作コミックに登場するハワード・“モンキー”・ケスラーの比較解説や考察をしていこう。また、『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」で明かされた衝撃の事実についても解説と考察を述べていこう。なお、以下の内容は本編のネタバレを含むので、必ずAmazonプライムビデオで本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

また、本作は視聴対象が18歳以上の成人向けコンテンツになっている。露骨な残虐描写や流血描写、性描写が含まれるので、注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」の内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・ボーイズ』シーズン4のジョー・ケスラーをネタバレ解説&考察

ドラマ版と原作コミック版のケスラーの違いとは

ドラマ版『ザ・ボーイズ』に登場するジョー・ケスラーはブッチャーのCIA時代の同僚である。初登場は『ザ・ボーイズ』シーズン4第1話「卑劣の極み」で、ブッチャーとアフガニスタンのパンジシール渓谷の作戦に参加し、命からがら生き延びたと語っている。ボーイズから追放されたブッチャーはジョー・ケスラーと行動を共にするようになり、能力者が非能力者を収容所に入れる前に殲滅するという目的を共有するようになる。

しかし、原作のハワード・“モンキー”・ケスラーはジョー・ケスラーとは大きく異なる人物像の持ち主である。モンキーことハワード・ケスラーはブッチャーが情報収集のために雇ったCIAアナリストだ。モンキーというあだ名の由来は両耳を緑色の猿に犯されたことに由来しており、半身不随の女性にしか興奮しない、ブッチャーの激しい尋問のせいで補助なしでは勃起できないなど、ドラマ版のジョー・ケスラーとは正反対のキャラクターとして描かれている。

このようにジョー・ケスラーとハワード・“モンキー”・ケスラーの性格や設定が異なるのには理由がある。それは、ブッチャーとの関係性だ。ブッチャーにとって、ジョー・ケスラーは現実であり、本音なのだと考察できる。ブッチャーは時効性Vの影響で脳に腫瘍が出来ており、失った妻のベッカの幻覚を見ている。

幻覚のベッカは遺言でもある息子のライアンを救うようにブッチャーに訴え続けている。暴力行為に関しては否定的で、ホームランダーを倒そうとするというブッチャーに対しても理想論を説き続けている。

それに対してジョー・ケスラーはホームランダーを倒すためにライアンを利用するべきだと語り、サミールの脚を切り落とさせ、能力者全員を殺すウイルスを製造させようとしている。これはブッチャーが心の奥で抱える本音であり、ブッチャーもこうするほか致し方ないと考えていることが考察できる。

ジョー・ケスラーの正体

何故、ジョー・ケスラーはここまでブッチャーの本音と現実を引き出すことが出来るのだろうか。それは『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」のラストで明かされた。それはジョー・ケスラーが、ベッカと同じくブッチャーの脳腫瘍が生み出した幻覚だったのだ。本当のジョー・ケスラーはアフガニスタンのパンジシール渓谷の作戦でブッチャーに置き去りにされて死亡している。

ブッチャーはジョー・ケスラーにしたことを仕方ないことと考えており、ジョー・ケスラーこそブッチャーにとってどうしようもなかった現実であり、作戦を成功させるためには仕方がなかったというのが本音なのである。『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」での描写を考えてこれまでのエピソードを振り返ってみると、ジョー・ケスラーはブッチャーが一人のときにのみ現われ、ボーイズを捨てて孤独に戦うようにそそのかしている。

ジョー・ケスラーの行動をネタバレ振り返り

シーズン4第1話「卑劣の極み」

それではジョー・ケスラーが幻覚だと理解した上で、ブッチャーとジョー・ケスラーの行動を振り返ってみよう。ジョー・ケスラーが初登場したのは『ザ・ボーイズ』シーズン4第1話「卑劣の極み」だ。ブッチャーはボーイズのリーダーから降ろされ、CIA本部にてグレース・マロリーとロバート・シンガー大統領、現リーダーのMMたちによる会議から閉め出しを受けていた。

会議室の外で会議が終わるの1人で待っていたとき、ジョー・ケスラーが現われる。ここでジョー・ケスラーのカップがアップになり、そこにブッチャーが酒を注ぐ。第三者視点で見るとブッチャーは虚空に向って話しながら、何もない机の上に酒を垂れ流していたことになる。振り返ってみるとカップに注ぐ描写を強調することにも意味があるように感じられる。

また、ここでアフガニスタンのパンジシール渓谷の作戦で、ブッチャーが後先考えずに敵を殺し、ジョー・ケスラーを救ったと語られているが大きな間違いである。実際のジョー・ケスラーは作戦遂行のため、パンジシール渓谷に置き去りにされて末に死亡している。ブッチャーはパンジシール渓谷の作戦のことを言われると一度苦い顔をしており、このときはまだ正しい記憶がわずかに残っていたことが考察できる。

しかし、その後に幻覚のジョー・ケスラーが妄想の逸話を語り、ブッチャーの行動や作戦を肯定する。幻覚のジョー・ケスラーはソルジャー・ボーイのことは否定したが全体的に見るとブッチャーを肯定しており、その後のエピソードでは行動を肯定されたブッチャーは単独でサミール博士の足の切断など暴力行為に走っている。このことからジョー・ケスラーはブッチャーの暴力性の擬人化であると考察できる。

しかし、ブッチャーがボーイズの本部に1人でいるときにジョー・ケスラーは出てこない。これはブッチャーがヒューイから父親が脳卒中で倒れたことを聞いて心配しているためであり、誰かの身を案じるなど良心が働いているときにはジョー・ケスラーは姿を現さないか、代わりにベッカが幻覚として現れる、もしくはジョー・ケスラーはブッチャーに対して否定的になると考えられる。

シーズン4第3話「我らは赤旗を掲げ続ける」

2回目の登場では、ライアンを気絶させるために象10頭が昏睡状態に陥るほどの麻酔薬ハロタンを用意してきた。当初は何故ジョー・ケスラーが能力者にハロタンが有効なのかを知っているのか疑問だった。ブッチャーがソルジャー・ボーイを抑えていた薬物を調べていた際にハロタンを知ったので、ブッチャーの口からジョー・ケスラーに教えられたのかとも考えられるが、そのジョー・ケスラーが幻覚だと話が変わってくる。

実際はブッチャー自身がハロタンを入手しており、それを頭の中でジョー・ケスラーが用意したと折り合いをつけていたのだ。これはパンジシール渓谷の作戦で本物のジョー・ケスラーが死亡したことを、都合のいい記憶に上書きしたのと同じだと考察できる。また、このエピソードで注目すべきはジョー・ケスラーにブッチャーが忠告しているところだ。

ブッチャーはライアンを対ホームランダー用の兵器にせず、あくまでもホームランダーによる洗脳が解けるまでハロタンで昏睡状態にするとジョー・ケスラーに語っている。しかし、ジョー・ケスラーはそれに皮肉で返している。ブッチャーの中の良心と暴力性の葛藤が、ジョー・ケスラーとの口喧嘩という形で発露したのだと考察できる。

その後、ブッチャーはジョー・ケスラーからライアンを対ホームランダー用の兵器にすべきだと責められている。さらにジョー・ケスラーはライアンがホームランダーのようになることを危惧しており、世界を救うためにライアンを殺すか、それとも世界を焦土と化させるかとブッチャーを質問攻めにしている。幻覚のジョー・ケスラーの言葉がブッチャーの抱えている本音だと考察すると、ブッチャーはライアンをベッカの息子であると共にホームランダーの息子として恐れていると考えられる。

シーズン4第5話「ジャバウォックに気をつけろ」

公園で密会するブッチャーとジョー・ケスラーだったが、ジョー・ケスラーは敢えて人気のない場所を選んでいる。これはブッチャーが無意識に幻覚であることを自分自身が気づかないようにするため、邪魔になる人間のいない場所を選んだと考察できる。

ジョー・ケスラーは他のボーイズのメンバーをまともな人間と評し、ブッチャーと自分だけでホームランダーを倒そうと誘っている。シーズン3でブッチャーは元ペイバックのマインドストームに昏睡状態に陥らされたとき、ヒューイは自分が怪物にならないように止めてくれる唯一の人物と考えていることを明かした。他にもブッチャーはMMをボーイズに加入させた理由は部隊で一番仲間思いであったためだと語っている。ブッチャーにとって自分は怪物だが周りの人間は違うと考えていると思われる。

それらのことから、ジョー・ケスラーがブッチャーに2人で仕事をしようと誘うのは、ブッチャーなりのけじめのつけ方だと考えられる。怒れる神を自称するようになった怪物ホームランダーを倒すためには自分自身が怪物にならなければならない。そこにボーイズのメンバーを巻き込みたくないという思いが暴力性と混じり合い、ジョー・ケスラーとのタッグに繋がったと考察できる。

また、サミール博士の片足を切り落として監禁した場所に向かう際には運転をするのはブッチャーで、ジョー・ケスラーは助手席だ。これはジョー・ケスラーが幻覚だと考えれば至極当然のことで、幻覚であるジョー・ケスラーは車の運転ができないため、無意識の内にブッチャーが運転していたと考えられる。切断した足の応急処置はすると言ってブッチャーはジョー・ケスラーを見るが、サミール博士の目は恐怖に満ちている。それは最初は自分の足を切り落とした相手だからかと思われたが、実際は誰もいないところにブッチャーが話しかけているためだった。

シーズン4第6話「汚れ仕事」

『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話「汚れ仕事」でジョー・ケスラーは幻覚のベッカを怒鳴りつけ、それによってはじめてブッチャーはジョー・ケスラーも幻覚だったと知る。それを踏まえてみてみると、サミール博士に対してジョー・ケスラーは直接話しかけておらず、常にブッチャーを介していた。さらにサミール博士は一度もジョー・ケスラーを直接見ていない。また、ジョー・ケスラーがベッカの方を指さす場面も存在している。

ジョー・ケスラーとベッカはブッチャーの頭の中に浮かぶ天使と悪魔だと考えられる。ベッカは理想であり建前、ジョー・ケスラーは現実であり本音で、2人はブッチャーにとっての天使と悪魔なのだ。

幻覚のベッカはライアンを救い出し、対ホームランダー用の兵器にせず幸福に暮らすというブッチャーにとっての理想を説いている。ブッチャーも完全にではないがそれに賛同し、ホームランダーだけを倒そうという建前で動いている。ベッカの幻覚を見ているときのブッチャーはMMを最高の父親と語り、ライアンを託そうとしているなど良心が残っている。

それに対して幻覚のジョー・ケスラーはライアンを対ホームランダー用の兵器に育て上げるか、ライアンを含むすべての能力者を虐殺しようとしている。これには、ライアンはベッカの息子であると考えていると同時にホームランダーの子供だとも考えている本音があると考察できる。ライアンを愛する妻の子供として愛したいという気持ちとホームランダーへの憎悪が入り混じり、それを正当化するための存在としてジョー・ケスラーをブッチャーは生み出したのではないだろうか。

幻覚のベッカがブッチャーに残されたわずかな良心だとすれば、幻覚のジョー・ケスラーはブッチャーの暴力性そのものだ。ブッチャーは自分のことを最低な人間だと考えており、暴力性に関しては怪物であるとも考えている。そのため、ブッチャーは死亡したはずの2人の幻覚に対し、ベッカは明確に幻覚だと考えていたが、ジョー・ケスラーは実は生きていた同僚だと捉えたのだと考察できる。ブッチャーにとって、良心よりも暴力性の方が強く思考を支配しているのだ。

2人を幻覚だと理解したブッチャー。そしてブッチャーはわずかな余命の中で能力者すべてを虐殺するウイルスをサミール博士に製造させるか、別の形でホームランダーに対抗するかを選ぶしかない。時効性Vを投与されたウサギから触手が出たのを目撃し、幻覚のジョー・ケスラーがエゼキエルを殺したのは自分だと語っていることから、時効性Vによってブッチャーも能力者となった可能性が考察できる。今後のエピソードでブッチャーがジョー・ケスラーとどのように向き合うのかに注目だ。

ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン4はAmazonプライムビデオで配信中。

原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから第6巻まで発売中。

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『ザ・ボーイズ』シーズン4第6話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第5話のネタバレ解説&考察はこちらから。

シーズン4第4話のネタバレ解説&考察はこちらから。

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『ザ・ボーイズ』のシーズン5での終了についてエリック・クリプキ監督が語った内容はこちらの記事で。

『ジェン・ブイ』シーズン2についての情報はこちらから。

「ザ・ボーイズ」フランチャイズの更なるスピンオフ展開についてはこちらの記事で。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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