【ネタバレ解説】ドラマ『スノーピアサー』第1話「始まりは気候変動」最大のみどころはラスト3分間【Netflix】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】ドラマ『スノーピアサー』第1話「始まりは気候変動」最大のみどころはラスト3分間【Netflix】

Netflix

ドラマ『スノーピアサー』がNetflixで配信開始

2013年にポン・ジュノ監督の手によって映画化され、2020年にTNTでテレビドラマ化された『スノーピアサー』。日本でも2020年5月25日(月)よりNetflixでドラマ版の配信が始まった。人々が階級ごとに分断された永久機関列車“スノーピアサー”を舞台に、登場人物たちの各々の戦いが繰り広げられる。

映画版からの変更点も多く、ドラマ版では、より詳細なストーリーと設定が描かれる。今回は、第1話をネタバレありで解説していく。ドラマ『スノーピアサー』全体のあらすじとみどころついては、以下の記事を参照していただきたい。

ドラマ『スノーピアサー』ネタバレ解説

ドラマ版で明確になった“原因”

ドラマ『スノーピアサー』の冒頭で紹介されるのは、すでに動画で公開されていたアニメーションによる前日譚だ。第1話のタイトルでもある「始まりは気候変動」という解説からスタートする点が、ドラマ版の特徴だ。温暖化が進んでいたにもかかわらず、否定派は嘘の情報を流し続け、戦争によって温暖化が加速したという背景が語られる。そして、地球を冷却するために化学薬品が散布され、地球に氷河期が到来したという設定は映画と同じだ。

このオープニングで注目すべきナレーションは「災厄の元凶たる富裕層は“スノーピアサー”に避難」という部分だ。つまり、この状況を生んだ富裕層が率先してスノーピアサーに乗り込んだというのだ。「災厄の元凶たる」の部分は、英語では「responsible=責任を負うべき」と表現されている。

映画版では、スノーピアサーの中で人々が富裕層と貧困層に分けられた理由として、前方車両の乗客はチケットを買っており、最後尾の乗客はチケットを無賃乗車だったと述べられている。この説明だけでは、「それはそれでフェアなのではないか」と考える人もいただろう。

だが、ドラマ版『スノーピアサー』では、温暖化の事実を覆い隠し、経済を優先させ、そして戦争を引き起こした富裕層が率先してスノーピアサーに逃げ込んだということが説明されている。温暖化が加速した原因に具体的に言及することで、貧困層の側に共感しやすいつくりになっている。

そして、「これは1001車両にわたる俺たちの革命だ」というセリフで、長期にわたる様々なストーリーが提示されることを示唆し、ドラマ『スノーピアサー』は幕を開ける。

なお、ドラマ『スノーピアサー』は既にシーズン2の撮影を完了している。詳細は以下の記事からご覧いただきたい。

詳細に描かれる車両の様子

オープニング後、ドラマ用に新たに作られたスノーピアサーの中身が明らかになる。映画版よりも多様な階層の車両が用意されており、ジェニファー・コネリー演じるメラニー・カヴィルの車内アナウンスが心地よい列車の雰囲気を演出している。一方で、最後尾の人々に配られるのは、映画版にも登場した“プロテインブロック”だ。

このプロテインブロックは映画版でも通貨として活用されていたが、ドラマ版では10分の1を税金として収めるなどより、最後尾の車両のより具体的な運営手段が描かれている。また、最後尾の中には反乱に対する慎重論もあり、2時間の映画では描けなかったスノーピアサーの複雑な様相を映し出している。

そして、前方車両の様子が詳しく描かれていることもドラマ版の特徴だ。接客係のメラニーが富裕層の朝食の席を周り、富裕層の中での小競り合いも描写される。LJ・アンダーソンを演じたアナリース・バッソは、ドラマ版の特徴として、「様々な階級の物語が描かれる」と語っている。

二項対立を避ける設定に

最後尾の車両では、ダヴィード・ディグ演じるレイトン・ウェルを中心に、映画版と同じく反乱のが始まる……かと思いきや、ドラマ版第1話でいきなり意外な展開を見せる。主人公のレイトンがかつての職業である殺人課の刑事として前方車両に徴集されるのだ。この設定により、レイトンは捜査権限を利用して、様々な車両に足を踏み入れることができる。ドラマの長期化を見据え、一方通行の物語にはしない、非常にうまい設定の置き方だ。また、スノーピアサーの地下に車両で移動できる地下通路を設定することで、1001車両という長大な列車を自由に移動できるようにしている。

また、警備員にも“良いやつ”と“嫌なやつ”を置くことで、徹底して二項対立の描き方を避けようとしている。接客係のメラニーも暴行を受けたレイトンに社を代表して謝罪する、積極的に話を聞こうとするなど、対話の姿勢を見せる。映画版でも語られた車両の“バランス”についても、メラニーは積極的に説明を試みる。そして何よりも、捜査に協力したレイトン自身が最後尾の乗客に裏切り (日和見) を疑われることになるのだ。

最後尾の車両では最年長のイヴァンが自殺したことで反乱の口火が切られる。ついに前方車両へ突き進んでいく英語でもおなじみのシーンが登場する。だが、ここで交渉役として駆り出されたレイトンは、反乱の中心人物であるパイクを説得。スケジュールや警備の状況といった前方車両の情報を確認することで、計画的に反乱を進めることを提案し、この場をおさめる。

多くの血が流れ、凄惨な光景をつくりだしながら、反乱軍が進むことができたのはたったの1両。パイクはこの現実を受け入れる他なかった。ドラマ版『スノーピアサー』では、レイトンを中心として、より現実的な新たな反乱が描かれることになりそうだ。

そして、多くの死者を出しながらも、三人の投獄とレイトンが捜査を引き受けるという大甘の条件で、メラニーは今回の件の決着を受け入れる。ただし、「腕を奪う」という映画版を見た人には耳慣れたも処罰も忘れていない。

ドラマ版最大のみどころはラスト3分間

そして、ドラマ版『スノーピアサー』第1話の最大のみどころは、ラストの3分間だ。長い1日を終えたメラニーは疲れ切った様子でヒールと制服を脱ぎ、パーカーを着込む。部下兼パートナーと思われる男のいる先頭車両へ戻り、他愛もない会話を交わしながら夕食をとる。そして、ほかでもないこのメラニーこそが“ミスター・ウィルフォード”だということが明らかにされる。

これこそがドラマ版の最大の特徴である。映画版ではエド・ハリスが演じたウィルフォードを、ジェニファー・コネリーがその正体を隠しながら演じるという度肝を抜かれるプロットだ。エンジン室にこもっていた映画版とは違い、ドラマ版ではウィルフォードは自ら車内を周り、マネジメントをこなし、車内の均衡を守っていたのだ。

そうであれば、ドラマ版のウィルフォードは、レイトンの話に耳を傾け、仕事をこなす血の通った人物にも思える。また、ウィルフォードことメラニーがMIT (マサチューセッツ工科大学) のパーカーを着ているということは、やはりメラニー自身がスノーピアサーを設計したということを示唆している。高い能力を持つエリートであり、自ら現場に足を運ぶ優れたマネージャーとして、新たなウィルフォード像が提示された。そして、「ミスター・ウィルフォード」とあえて男性の敬称を使用している意図も、今後明らかになるのだろうか。

新たな反乱の物語、そしてそれを受けて立つ新たなウィルフォード像を提示しながら、永久機関列車スノーピアサーはシーズン1を突き進んでいくことになりそうだ。

ドラマ『スノーピアサー』はNetflixで毎週月曜日に新エピソードを配信。

ドラマ『スノーピアサー』(Netflix)

ポン・ジュノ監督が指揮をとった映画版『スノーピアサー』もNetflixで視聴できる。

映画『スノーピアサー』(Netflix)

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