アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』ネタバレ解説&考察 ラストの意味は? 『ONE PIECE』&ゾロとの繋がりは? | VG+ (バゴプラ)

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』ネタバレ解説&考察 ラストの意味は? 『ONE PIECE』&ゾロとの繋がりは?

©尾田栄一郎/集英社

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』配信開始

『ONE PIECE』(1997-) で知られる尾田栄一郎原作のアニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』(モンスターズ いっぴゃくさんじょうひりゅうじごく)が2024年1月22日(月) より配信を開始した。原作の「MONSTERS」は1998年に刊行された『WANTED! 尾田栄一郎短編集』収録の読み切り短編漫画で、TVアニメ『呪術廻戦』(2020-) の第1期、『劇場版 呪術廻戦 0』(2021) を手がけた朴性厚がアニメ版の監督・構成を務める。

『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』で描かれるのは、流浪の若き侍リューマがある村で竜による襲撃事件に遭遇するという物語。短編ながらも驚きの展開とド派手なアクションが詰め込まれた名作となっている。

今回は、アニメ化された『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』をネタバレ有りで解説&考察し、感想を記していこう。また、本作の『ONE PIECE』とのつながりについても考察していく。以下の内容は重要なネタバレを含むため、必ずアニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』をNetflixまたはAmazonプライムビデオにて鑑賞してから読んでいただきたい。

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ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』の内容に関するネタバレを含みます。

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』ネタバレ解説&考察

リューマと『ONE PIECE』のつながり

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』の冒頭は、アニメ『ONE PIECE』(1999-) でロロノア・ゾロの声優を務める中井和哉のナレーションで幕を開ける。粋な演出だ。“竜の角笛”が10年前に盗まれ、事件は闇に消えたというイントロは原作と同じ。竜(ドラゴン)が存在する時代であることも示されている。

舞台は現代になり、飯にありつけない主人公リューマが登場する。リューマの声を演じるのは細谷佳正。原作者の尾田栄一郎は、『ONE PIECE』のコミックス第47巻のSBSで、「MONSTERS」のリューマは『ONE PIECE』のスリラーバーク編にゾンビとして登場するリューマと同一人物だと認めている。「MONSTERS」は『ONE PIECE』よりも400年以上前が舞台だが、世界線を共有しており、後にリューマはワノ国の英雄として知られるようになる。

『ONE PIECE』では、リューマのフルネームは“霜月リューマ”とされている。ゾロの故郷である“シモツキ”村はワノ国出身の剣豪である霜月コウ三郎によって創設され、その息子がゾロの刀の師匠であるコウシロウ、その孫娘がゾロの幼馴染である、くいなだ。リューマの出身はワノ国の鈴後(りんご)で、かつて鈴後を治めていた霜月牛マルはその子孫、白舞(はくまい)を治めていた康イエと娘のおトコも霜月姓を名乗っている。

なお、アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』での改変として、リューマの着物の帯がうずまき模様になっている。これは『ONE PIECE』に登場したゾンビのリューマがつけていた帯と同じ柄であり、両者が同一人物であることを改めて示している。

原作コミックからの改変も

レストラン・ジェラールでウェイターとして働くフレアは、7年ぶりに町を訪れた剣豪のシラノとの再会を果たしていた。シラノは髪と髭の色のせいか、原作漫画よりも少し歳をとっているように見える。フレアの声を演じるのは花澤香菜、シラノの声を演じるのは東地宏樹だ。東地宏樹は実写ドラマ版『ONE PIECE』(2023-) でアニメ版の小杉十郎太から交代する形でアーロンの声を演じている。

ここに流浪の侍リューマが現れるのだが、リューマはフレアに食事を提供してもらい難を逃れる。そんな中、立ち去ろうとしたシラノがリューマに“鞘当”をしたことで一触即発の展開となってしまうのだった。

鞘当とは、武士同士がすれ違うときに刀の鞘(さや)が当たることで、通常、侍はこれを避けるために左側を歩く。日本が左側通行になったのはこれが理由とも言われており、騎士の国であるイギリスも同様に剣がぶつからないように左側通行になったという説もある(イギリスの場合は馬車に用いる鞭が対向車線の相手に当たらないようにしたという説も有力)。

原作コミックでは、ソファ席に座っていたリューマが通路にはみ出す形で刀を置いていたが、アニメ版では、リューマは刀を椅子の背もたれのところに立てかけている。シラノがわざと鞘当をしたことが強調される演出となっている。

また、アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』では、リューマの「男同士の死を期した闘いだ」というセリフが、「剣士同士の死を期した闘いだ」に変更されている。確かに『ONE PIECE』ではたしぎやレベッカら複数の女性剣士が登場しており、もはや性別で分けるのはナンセンスだ。

妖刀・秋水登場

このシーンでリューマが初めて刀を抜き、銅でできた像を真っ二つにするのだが、この時に刀が刀身の黒い黒刀であることが分かる。これも漫画版からの改変点で、『ONE PIECE』のリューマがのちにゾロに渡す妖刀・秋水のデザインに変更されているのだ。

秋水はリューマの墓に収められ、ワノ国では国宝級の扱いをつけていた。しかし、後にゲッコー・モリアの一味にリューマの遺体ごと盗み出される。秋水はゾンビのリューマからゾロの手に渡ると、ワノ国を訪れたゾロは牛鬼丸や光月日和から秋水を返すよう要求される。代わりに光月日和から父おでんの形見・閻魔を譲り受ける形で、ゾロは秋水をリューマの墓に返している。

牛鬼丸いわく、秋水はリューマが刀を使い込んだことで黒刀になったとされている。アニメ『MONSTERS』の時点で黒刀になっているということは、この時点でリューマは歴戦の侍であることが示唆されている。

10年前の事件と7年前の事件

そして、三流剣士のディーアールが登場。目に「D(ディー)」と「R(アール)」の模様が入っている。ディーアールの声を演じるのは真殿光昭で、『ONE PIECE』の方ではスクラッチメン・アプーの声を演じている。

ディーアールは、原作コミックの造形に最も大きな変更が加えられたキャラクターだ。原作コミックではもっとスラッとしていたが、アニメ版『MONSTERS』ではより道化師のような見た目になっている。

リューマは、野村勝人が声優を務めるレストランのマスターから、7年前にドラゴンの奇襲を受けてある小さな町が壊滅したという話を聞く。シラノはその町の瓦礫からフレアを抱えて現れ、以来フレアと町の人はシラノを慕っていた。そしてリューマは、キングという「兵(つわもの)の魂(こころ)」を持つ剣豪を探していると明かす。このキングという剣豪が『MONSTERS』の物語の鍵となる。

リューマはディーアールの当たり屋な罠にかかり、ディーアールは冒頭で紹介された、10年前に盗まれた“竜の角笛”を吹き、それを破壊する。竜の角笛はドラゴンを呼ぶことができるとされており、ことの発端となったリューマは町の人々から責め立てられることになる。

このとき、先ほど飢えていたリューマに食事を与えて助けたフレアが「こういうやつだって分かってれば助けたりしなかった」と言う。サンジの「悪人でも、食いたい奴には食わせてやれ」という信念があまりに有名になってしまったが、「MONSTERS 」は『ONE PIECE』連載前に描かれたものなので、フレアを許してあげてほしい。

ドラゴンを見たことがあるフレアは烈火の如く怒り、そこにやってきたシラノがこの竜の角笛は本物であると指摘するのだった。ここでリューマがシラノに「ヒゲ太郎」とあだ名をつけているあたり、後の『ONE PIECE』のルフィに続く尾田栄一郎の主人公観が窺える。

シラノは、10年前に竜の角笛が奪われたときに全滅した警備兵は自分の騎士団の部下だったと明かすと、今度は自分がドラゴンと戦うと言い出す。これに対してリューマは「7年前の大奇襲と違って」町の人は逃げれば助かると指摘。原作コミックではこのセリフは「10年前の大奇襲と違って」になっており、アニメ版で正しい数字に修正されたようだ。

少しややこしいのだが、整理すると以下の時系列となる。

10年前に起きた事件は“竜の角笛”の強奪事件で、警備兵が全滅したことから犯人がわかっていない
7年前に起きた事件は竜が小さな町を焼き払った事件で、焼かれた町からシラノがフレアを助け出した

衝撃の事実

シラノは町の人々を退避させるが、7年前の記憶が蘇ったフレアは無謀すぎる戦いに挑むシラノを止めに走る。そのフレアを止めようとしたリューマはある光景を目にすると刀を抜き、フレアに振り返らないよう指示する。それを振り切って後ろを振り返ったフレアは、シラノとディーアールが財宝を手に高笑いをあげている姿を目にするのだった。

ちなみに筆者は小学生のときに原作漫画を読み、このシーンに衝撃を受けた。読んだのはすでに『ONE PIECE』の連載が始まっていた時期だったが、『ONE PIECE』にはなかったかなり残酷な裏切りであり、尖った展開に感じたのだ。

ともあれ、シラノとディーアールは7年前の事件の時からグルで、ドラゴンによる奇襲事件はシラノとディーアールが町民の財産目当てで起こしたものだった。灰になった町の中からフレアを助けたのは、シラノが富だけでなく名誉も得るため。むしろ生きていたフレアの父はシラノによって殺されていた。

それを知り強がるフレアだったが、リューマの目を避けて大泣きすると、その声を聞いたリューマは全力で町を駆けていきシラノとディーアールに対峙する。シラノはここで、10年前に竜の角笛の強奪事件も自分の仕業だったと明かす。

7年前の竜の奇襲事件を起こすために、自分の部下を皆殺しにして竜の角笛を奪っていたのだ。つまり、先ほどディーアールが町の通りで吹いた竜の角笛は元々シラノが奪ったものということである。

とんでもない悪党だったシラノに対し、リューマは裏切られた人々の声を思い出し、本気の闘いを挑む。ここからのシーンの作画は圧巻。朴性厚監督が手がけたアニメ版『呪術廻戦』を思わせる圧倒的な作画力で一瞬の居合を描いてみせている。

リューマの技とゾロの技

シラノが瞬殺されると、ディーアールは先ほど壊した竜の角笛は偽物だったと明かす。吹いた角笛は本物で、壊す時に偽物とすり替えたのだろう。ディーアールは、吹きこなせるようになるまで3年かかったと話しており、10年前の竜の角笛強奪事件から、7年前の竜の奇襲まで3年の時間が空いている理由が示されている。

竜を止められるのは笛を拭きこなせる自分しかいないと主張するディーアールに対し、リューマは「俺は余所者だ」としてディーアールを斬ることを示唆する。さらにそこに現れた竜は町を破壊。原作コミックでは竜が町を破壊するシーンはなく、真っ直ぐリューマのところへ向かってくる。

アニメ版『MONSTERS』では、ある程度竜の脅威が描かれている。また、漫画版ではリューマが竜も瞬殺するが、アニメ版ではリューマが竜の体を駆け上がって上空から斬りかかる過程が丁寧に描かれている。

竜の首を斬り落としたリューマ。後にゾロは「飛竜 火焔」という技でゾンビになったリューマに勝利するのだが、この技はリューマが竜を斬ったときと同じように上空から両手で大きく刀を振り下ろす一刀流の技だ。

さらにゾロは「飛竜 火焔」を竜の姿をしたカイドウ相手にも使ったが、これはビッグマムが避けるように助言してカイドウはことなきを得た。カイドウすらも斬れていたかもしれない技なのだ。

技名と言えば、本作のタイトルは『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』だが、「一百三情飛龍侍極」はワノ国編でゾロが使った三刀流の技の名前である。ゾロはこの技で、カイドウの一味のNo.2である“キング”を打ち負かしている。

そして、アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』でも、ラストでリューマの別名が“キング”であったことが明かされる。リューマが使った刀がゾロの手に渡り、ゾロはその刀で四皇相手にリューマと同じ技を使い、さらに“キング”を超えていくために三刀流で進化させた技を使ったというのは、400年の時を超える熱いドラマだ。

レストランのマスターはリューマの呼び名を“リューマ・ド・キング”だと明かす。あくまで呼び名ではあるが、ゴール・D・ロジャーがゴールド・ロジャーと呼ばれるようになったことから、リューマもルフィと同じ“Dの一族”であるという考察もある。

しかし、リューマの本名は霜月リューマであり、「ド (de)」というのはフランス語で「of」と同じ意味で使われる前置詞でもある。“リューマ・ド・キング”は日本語に直すと「キングのリューマ」という意味になる。

ラストの意味は?

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』のラストでは、レストランのマスターが「世界一の兵(つわもの)の魂(こころ)を持つ剣士だ」とリューマを賞賛。原作漫画はリューマが「腹減ってきた」「戻ろうかな、いいか別に」と呟いて終わるのだが、アニメ版はそのセリフがカットされ、『ONE PIECE』のワンシーンが挿入される。

それは、『ONE PIECE』コミックスの48巻に収録されている第467話、アニメ『ONE PIECE』の第362話のワンシーンだ。ゾンビになったリューマが燃えているのは、先ほど触れたゾロの「飛竜 火焔」を受けたため。この直前にリューマは「負けた」と認め、秋水を「あなたが主人ならこの刀も本望」と話している。

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『ONE PIECE』の方で口調が丁寧なのは、ゲッコー・モリアの能力でリューマの死体にブルックの影が入っているためだ。そちらではリューマは秋水を手放した後に「この侍の体に敗北を与えてしまうとは心苦しい」と言うのだが、声はブルック役のチョーが担当している。声優が違うということもあってか、『MONSTERS』ではリューマのセリフはカットされている。

『MONSTERS』のラストシーンでは、『ONE PIECE』と同じく中井和哉が演じるゾロが「心身ともにあってこその剣士だ」「お前が生きた時代に会いたかったよ」と告げる。「心身ともにあってこそ」というのは、身体はリョーマだが影はブルックであるため、完全な状態ではないということを示している。しかし、『MONSTERS』の物語の後では、リューマが強いだけでなく「兵の魂」を備えた侍だったことにもかかっているように思える。

『ONE PIECE』のブルックに影が戻るシーンもカットされ、ゾロは「刀はもらうが勝負はなかったことにしようぜ、ワノ国の侍」と言い放つ。『ONE PIECE』版よりゾロの語気は力強くなっており、リューマもその遺体が燃え尽きる前の堂々とした姿を残して幕を閉じる。改めてアニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』がリューマのオリジンストーリーであったことを感じさせる演出だ。

ちなみにリューマのその後については、ワノ国編ではリューマがゾロと同じく隻眼の侍であったと言われており、この後リューマは何らかの理由で片眼を失うことになる。また、『VIVRE CARD〜ONE PIECE図鑑〜』によるとリューマが死んだのは47歳の時とされている。

そして、『ONE PIECE』世界ではリューマの死は400年前とされており、800-820年前に始まったとされる空白の100年よりは後の時代を生きている。ちなみに400年前というのは空島編で描かれた“嘘つきノーランド”が処刑されたのと同じ時期である。

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』ネタバレ感想

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』は、ストーリーは原作漫画に忠実でありながら、登場人物に彩りが加えられ、アクションシーンにもワクワクするようなオリジナル演出が加えられていた。それに、ラストでは『ONE PIECE』ファンには嬉しい映像も含まれており、30分番組とは思えない満足度の高い作品となっている。

尾田栄一郎が19歳の時に描いた漫画が、このように30年の時を経てアニメ化されたというのは何よりもドラマチックな展開だ。『WANTED! 尾田栄一郎短編集』に収録された作品は「MONSTERS」の他にも、『ONE PIECE』の原型となりそのタイトルがそのまま第1話につけられた読み切り短編「ROMANCE DAWN」なども収録されている。化け物退治の物語「一鬼夜行」なども読み応え抜群だ。

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願わくば、『WANTED!』収録の他の短編漫画のアニメ化や、『ONE PIECE』のスピンオフとなるような短編アニメの制作が今後も実現してほしい。今回はゾロと関係の強いリューマというキャラクターを掘り下げる作品になったが、様々なキャラクターのオリジンを知れる機会に今後も期待したい。

アニメ『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』はNetflixとAmazonプライムビデオで配信中。

『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』(Netflix)

実写版『ONE PIECE』第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

実写版『ONE PIECE』の海外の評価はこちらの記事で。

映画『ONE PIECE FILM RED』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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