第18回センス・オブ・ジェンダー賞大賞に田中兆子『徴産制』——彩こん で各賞発表

センス・オブ・ジェンダー賞大賞に『徴産制』

第58回日本SF大会 “彩こん” が埼玉県大宮のソニックシティで開催され、第18回センス・オブ・ジェンダー賞 (Sense of Gender) の各賞が発表された。大賞には田中兆子『徴産制』が選ばれ、また九州男児『ヨメヌスビト』にベスト・カップル賞が贈られた。センス・オブ・ジェンダー賞は、ジェンダーSF研究会が主催する。前年に発表されたSFおよびファンタジー作品の中から、優れたSF的ジェンダー考察がなされた「ジェンダーについて深く考えさせる日本の作品」に大賞が贈られる。

田中兆子が受賞スピーチ

センス・オブ・ジェンダーの贈賞式には、『徴産制』の著者である田中兆子が登壇し、受賞のスピーチを行った。『徴産制』は、“徴兵”ならぬ“徴産”によって、男性が性転換を強制される物語。田中兆子は、男性が強制的に性転換をさせられるというコンセプトについて、「女性が当たり前のように求められている社会通念 (セックス・妊娠・出産など) を男性が求められたら男性はどのように思い、考えるのだろうということを、5人の男性主人公を通して描いた」と、セックスや出産を押し付けられるグロテクスさを描写したと説明。「こうした通念を押し付ける国家や政治を無批判に受け入れているとどうなるのだろう、ということも最後に書いた」と付け加えた。

各賞も発表

日本SF大会では毎年、星雲賞、センス・オブ・ジェンダー賞をはじめとする各賞の発表が行われる。星雲賞が制定される前に発表される以前を顕彰するレトロ星雲賞には、日本長編部門に小松左京『エスパイ』、日本短編部門に筒井康隆「東海道戦争」が選ばれている。紫野拓美記念・日本SFファンダム賞にはSF大会の公開合宿・コンパックを主宰してきた三浦範久、ファングループ「星界企業」を主宰しファンジン「宇宙塵」の販売に尽力した中谷育子が選ばれた。

なお、7月27日(土)には第50回星雲賞が発表され、飛浩隆の『零號琴』が日本長編部門賞を受賞している。

2019年の第58回日本SF大会 “彩こん” で発表された確証は以下の通り。

レトロ星雲賞

日本長編部門 小松左京『エスパイ』
日本短編部門 筒井康隆「東海道戦争」
海外長編部門 スタニラフ・レム『ソラリスの陽のもとに』
海外短編部門 エイブラム・デイヴィッドスン「あるいは牡蠣でいっぱいの海」
アーサー・C・クラーク「遥かなる地球の歌」
映画演劇・メディア部門 ウォルト・ディズニー製作『メリー・ポピンズ』
大映製作『大怪獣ガメラ』
ノンフィクション部門 福島正実『SF入門』

紫野拓美記念・日本SFファンダム賞 (柴野章)

三浦範久
受賞理由:2010年以来、日本SF大会が都市型で開催される際に公開合宿「コンパック」を主催。日本SFファンダムの活性化に尽くした。

中谷育子
受賞理由:ファングループ「星界企業」を主宰、「宇宙塵」の販売に多大に協力した。柴野章の運営は「宇宙塵」の売上の残預金で賄われており、中谷育子の活躍がなければ柴野章の存在はなかった。

暗黒星雲賞

企画部門 令和姫
ゲスト部門 シルヴァン・ヌーヴェル
コスチューム部門 ケムリクサの りん
自由部門 小ホールへの道

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