『ナイトランド・クォータリー』Vol.21が発売
ホラー&ダークファンタジーの総合誌『ナイトランド・クォータリー Vol.21 空の幻想、蒼の都』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社) が2020年6月15日 (火) に発売された。「ナイトランド・クォータリー」は毎回テーマを定めながらも、幅広いメディアの作品を捉えた特集で知られる。
『ナイトランド・クォータリー Vol.21 空の幻想、蒼の都』では、“空”や“飛行”に焦点を当てている。巻頭ロングインタビューには、英米の幻想文学研究家で翻訳家の中野善夫が登場。小川隆が主催していたSFファングループ「ぱらんてぃあ」のエピソードやファンタジー作品の翻訳者/紹介者としてのここまでの道のりが語られている。
“空”をテーマにした10本の小説作品を収録
今回も多数の小説作品が掲載されている。エドガー・アラン・ポー「軽気球夢想譚」(訳 長澤唯史)は1844年にニューヨークのザ・サン紙に無記名のスクープ記事として掲載されたフィクション作品。当時の読者たちは、この話を実話だと信じ込んだという。
アーネスト・ヘミングウェイ「パリからストラスブールへの飛行機の旅は、ナマのキュビスム絵画の展覧会だ」(訳 岡和田晃)、カリーナ・ビセット「毒娘の花園」(訳 待兼音二郎)は本邦初訳。ビセットの作品はフェミニズムをテーマにしたアンソロジーが初出。M・ジョン・ハリスン「混乱の祭主たち」(訳 大和田始)は『ナイトランド・クォータリー』に連続掲載されている《ヴィリコニウム》シリーズの一作だ。
そのほかにも、アダム=トロイ・カストロ「赤い雨」(訳 田村美佐子)、アラン・バクスター「鴉酒」(訳 徳岡正肇)、マージョリー・ローレンス「宙を歩いた男──あるいはビグルスウェイド氏のブーツ」(訳 渡辺健一郎)が掲載されている。バクスターの作品はAustralian Shadows Awardを受賞した短編集の表題作。ローレンス作品の掲載は、パルプ時代の奇想と技巧を融合させた女性作家を再評価する試みとなっている。
フーゴ・ハル「失物之城 ピレネーの魔城・異聞」 には驚きの仕掛けが施されている。ぜひその目でチェックしていただきたい。また、「異形コレクション」で第19回日本SF大賞特別賞を受賞した井上雅彦による連載〈ミライ妖カイ幻視行〉は第二話「彼方でいつまでも」を掲載。小説投稿サイトのカクヨムで活躍し、2019年12月に『魔王殺しの《死に狂い》 さすらいの侍は更なる強者を求め続ける』を発売した新進気鋭の草薙刃は書き下ろし新作の「ボーダレス・ブルー」を寄せている。
いつも通り充実のエッセイやブックガイドも要チェックだ。
『ナイトランド・クォータリー Vol.21 空の幻想、蒼の都』(アトリエサード) は、2020年6月15日(火) より店頭とウェブで発売中。