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人は都市を夢見る——『ナイトランド・クォータリー』Vol.19のテーマは「架空幻想都市」

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『ナイトランド・クォータリー』Vol.19「架空幻想都市」

ホラー&ダークファンタジーの総合誌「ナイトランド・クォータリー」の『Vol.19 架空幻想都市』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社) が2019年12月6日 (金) に発売された。Vol.19では、「架空幻想都市」をキーワードに、未来都市や空想都市など、都市を夢見る物語にスポットライトを当てている。また、建築家・梵寿綱へのインタビューや、建築ジャーナリスト・磯達雄によるエッセイなども収録されている。ドイツ語圏の幻想文学の紹介を続ける翻訳家・垂野創一郎へのインタビューも見どころの一つだ。

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「架空幻想都市」をテーマにした全11作品掲載

小説作品は、翻訳8編と日本作家の作品3編を収録。妖女が住むという孤高の都・カルカッソンヌを目指すロード・ダンセイニ「カルカッソンヌ」(訳 和爾桃子) と、ノーベル文学賞受賞作家ウィリアム・フォークナー「カルカッソンヌ」(訳 岡和田晃) という対で語られることもある二作品が同時収録されている。

本号にはM・ジョン・ハリスンがファンタジー大作《ヴィリコニウム》シリーズで最初に読むべき作品と語る「ヴィリコニウムの騎士」(訳 大和田始) が収録されている。ハリスンの作品は、前号に《ヴィリコニウム》シリーズの始発点となる「ラミアとクロミス卿」が掲載された。

その他にも、“青碧の都”を舞台に独特の色彩表現が光るフランク・オーウェン「青碧の都」(訳 渡辺健一郎)、アメリカのSFファンタジー作家リン・カーターのショートショートで、ロード・ダンセイニへのオマージュである〈シムラナ・サイクル〉の本邦初翻訳作品「いかにしてアドラズーンの都は審判の日を迎えたのか」(訳 岡和田晃)、イングランドの怪奇フィクション作家マーク・サミュエルズ「暗夜庭苑」(訳 徳岡正肇)、惑星オアシスの未来都市・パンクタウンを舞台にしたウィリアム・ミークル「罅穴と夜想曲」(訳 待兼音二郎)、水の都・ヴェニスを舞台にしたカイラ・リー・ウォード「そして彼女の眼の中で、都市は水没し」(訳 大和田始) が収録されている。同作はアメリカのホラー作家協会が主催するブラム・ストーカー賞にノミネートされた作品だ。カイラ・リー・ウォードはオーストラリアの女性作家で、ロールプレイング・ゲームの出版や俳優・脚本家としての劇団での活動、映像制作もこなす多才なクリエイターでもある。

日本作家は実力派の面々が揃う。朝松健の一休シリーズから京を舞台にした「〈一休どくろ譚〉月都」図子慧の『愛は、こぼれるqの音色』(2019) の前日譚である近未来SF「残像の女」、9月に短編集『蒼い琥珀と無限の迷宮』が出版された石神茉莉の幻想短編「I am Lost」の3編が収録されている。
その他にもブックガイドやボードゲーム紹介、映画紹介なども充実しており、読者を架空幻想都市への旅に誘ってくれる一冊となっている。

『ナイトランド・クォータリー Vol.19 架空幻想都市』(アトリエサード) は2019年12月6日(金)より店頭およびウェブにて発売中。

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