『ナイトランド・クォータリー』Vol.18 は、想像界の生き物にスポットライト

『ナイトランド・クォータリー』Vol.18が発売

ホラー&ダークファンタジーの総合誌「ナイトランド・クォータリー」『Vol.18 想像界の生物相』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社) が2019年8月30 (金) に発売された。「ナイトランド・クォータリー」は2015年から刊行されている人気の季刊誌で、前号から批評家の岡和田晃が編集長を務めている。Vol.18では、国立民族学博物館で開催されている特別展示「脅威と怪異」とリンクし、想像界の生き物にスポットライトを当てている。

想像界の生き物にスポットライト

『ナイトランド・クォータリー Vol.18 想像界の生物相』では、大阪の万博記念公園内にある国立民族学博物館の特別展示「脅威と怪異ー想像界の生きものたち」(2019年8月29日〜11月26日) の小特集を掲載。更に、前号Vol.17での比較文学者・井村君江へのインタビューに続き、今号では「怪獣絵師」開田裕治のインタビューが掲載されている。SFとの出会い、イラストレーターとしての道のり、そして氏のアート観が詳細に語られている。また、ゲームAI開発者で人工知能学会編集委員でもある三宅洋一郎へのインタビュー「AIは人間の幽霊を見るか」も興味深い。

そして前号に引き続き、ゲームや映画などの幅広いメディアの作品を紹介してくれる点も『ナイトランド・クォータリー』の魅力の一つだ。更に今号では様々な特集を通して、バリや台湾といった世界各地の作品や土俗の伝承を知ることができる。想像上の生物が登場する作品にスポットライトを当てたブックガイドも、やはり充実している。

小説作品は全10編収録

想像上の生き物をテーマにした小説作品も多数掲載されている。『シャーロック・ホームズ』シリーズの著者として知られるアーサー・コナン・ドイル「大空の恐怖」(訳 田村美佐子) は、まだ人類が空の全容を知らない時代に未知の生物との遭遇を描いた古典の新訳。怪奇幻想作家 E・ホフマン・プライス「クルディスタンの異邦人」(訳 岡和田晃) は、荘重な雰囲気が漂う邪教の神殿を舞台にした作品だ。数々のSF・ファンタジー賞を受賞している作家 M・ジョン・ハリスン「ラミアとクロミス卿」(訳 大和田始) は、ハリスンが25歳の頃に発表された《ヴィリコニウム》シリーズの始発点となる作品。《ヴィリコニウム》シリーズは、宮崎駿『風の谷のナウシカ』にも影響を与えたとされている。

また、「レオポルトシュタット街のゴーレム」(訳 待兼音二郎) タラ・イザベラ・バートンの本邦初紹介作品。タラ・イザベラ・バートンはこれまで、「ニューヨーク・タイムズ」や「ガーディアン」、「ナショナル・ジオグラフィック」などで作品を発表してきた。純文学とジャンル小説を折衷させたような作風に注目しよう。

「マレクの復活」が掲載されたオーストラリア出身のポール・ヘインズもまた本邦初紹介。ポール・ヘインズはオーストラリア圏のSF文学賞であるディトマー賞の常連作家として知られており、幾度も受賞を果たしている。オーストラリアのSF作品が日本で紹介される貴重な機会だ。

国内からは、一休宗純を主人公にした伝奇シリーズで知られる朝松健「一休葛籠」、「はじまりと終わりの世界樹」で第24回SFマガジン読者賞を受賞した仁木稔「ガーヤト・アルハキーム」が収録されている。翻訳8編、国内2編の計10編という大ボリュームだ。

想像界の生き物たちとふれあえる『ナイトランド・クォータリー Vol.18 想像界の生物相』(アトリエサード)は、2019年8月30 (金) より店頭とウェブで発売中。

また、ナイトランド叢書からは、心霊学者フラックスマン・ロウが怪奇現象を次々と解明していくホラー推理短編集『フラックスマン・ロウの心霊探究』(著 E&H・ヘロン、訳 三浦玲子) が2019年6月28日に発売されている。

2019年6月5日に発売された前号『ナイトランド・クォータリー』Vol.17の詳細は↓こちらから。

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