『ナイトランド・クォータリー』最新号が発売
Vol.17より新体制に
ホラー&ダークファンタジーの総合誌「ナイトランド・クォータリー」の最新号『Vol.17 ケルト幻想~昏い森への誘い~』(発行:アトリエサード、発売:書苑新社) が2019年6月5日(水)に発売された。「ナイトランド・クォータリー」は2015年から刊行されている季刊誌で、今号よりSF評論家としても知られる岡和田晃が新編集長に就任している。Vol.17のテーマは「ケルト幻想」。
Vo.17はケルト幻想特集
『ナイトランド・クォータリー Vol.17 ケルト幻想~昏い森への誘い~』では、巻頭カラーインタビューで比較文学者の井村君江が登場。“General Literture”としての幻想文学について、そしてケルト研究の“これまで”と“今後”について、自身の研究史を交えて語っている。著名なイギリス人作家アーサー・マッケンの新訳「変容」(訳 遠藤裕子)や、本邦初紹介となる作家のピエール・コムトワによる「幻の巻狩」(訳 大和田始)、世界幻想文学大賞作家のアンジェラ・スラッターによる「赫い森」(訳 岡和田晃)、もちろん橋本純、松本寛大といった日本人作家の新作小説も掲載されている。また、ジェフ・C・カーター「かかる警句のなきがゆえに」(訳 待兼音二郎) は、本誌に掲載される日本語版が英語版に先駆けて世界初公開という興味深い試みも実施されている。
ゲーム、映画、音楽……様々なメディアに潜むケルト
一方で『ナイトランド・クォータリー』では、小説だけではなく、ゲーム、映画、音楽と幅広いメディアの作品も紹介されている。「ケルト妖精譚とホラー映画の微妙な関係」(文 深泰勉)ではホラーという視点でケルト的な要素を持つ映画を紹介。「Hellblade: Senua’s Sacrifice——「闇」と戦うピクトの女戦士が歩む、復習と幻想の旅路」(文 徳岡正肇) では、数々のゲーム賞を受賞したダークファンタジー・アドベンチャーゲーム『Hellblade: Senua’s Sacrifice』(2017) の評論を掲載。「アイリッシュミュージックの歌姫の浸透と拡散」(文 深泰勉) では、ケルトの流れを汲むアイルランド音楽の系譜を紹介している。映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズをはじめ、様々な作品の底流にケルト神話の文脈が潜んでいるのだ。
新体制となり、より広い視座でホラー&ダークファンタジーの文脈を提示する「ナイトランド・クォータリー」。同ジャンルのファンならずとも必見だ。
『ナイトランド・クォータリー Vol.17 ケルト幻想~昏い森への誘い~』(アトリエサード)は2019年6月5日(水)発売。