2018年度 ヒューゴー賞発表! N・K・ジェミシンが前人未到の三連覇、タケダ サナがプロアーティスト部門含む二冠、映像部門は『ワンダーウーマン』(受賞リスト掲載) | VG+ (バゴプラ)

2018年度 ヒューゴー賞発表! N・K・ジェミシンが前人未到の三連覇、タケダ サナがプロアーティスト部門含む二冠、映像部門は『ワンダーウーマン』(受賞リスト掲載)

via: © The Hugo Awards

2018年度ヒューゴー賞の結果は…

N・K・ジェミシンが前人未到の三連覇!!

日本時間の8月20日(米国時間8月19日)、カリフォルニア州サンノゼで開催された第76回世界SF大会 (ワールドコン) にて、2018年度のヒューゴー賞受賞者/作品が発表された。大注目の長編小説部門を受賞したのは、黒人女性作家N・K・ジェミシンの『The Stone Sky』。「ブロークン・アース(壊れた地球)」シリーズと呼ばれるトリロジー作品の最終章で、史上初の三連覇を達成した。
受賞式の大トリとして登壇したジェミシン、スマホを片手に「ちょっと待って、友達からメールが来すぎてスピーチのメモが…」と、会場を笑わせた。

短編部門はローンホースが二冠

短編小説部門には、新人作家レベッカ・ローンホースの「Welcome to Your Authentic Indian Experience」が選ばれた。ローンホースは、ヒューゴー賞と同時に発表されるジョン・W・キャンベル新人賞も受賞。「私はこの賞を受賞した”初の”黒人女性になったようですが、この賞を受賞した”最後の”黒人女性にはならないでしょう」とスピーチし、会場を沸かせた。

『The Stone Sky』と「Welcome to Your Authentic Indian Experience」は、共に5月に発表されたネビュラ賞を受賞しており、長編部門と短編部門の二作品がSF最高賞二冠を達成する結果となった。

タケダ サナがプロアーティスト部門含む二冠、『モンストレス』は二連覇達成

作品ではなくアーティストを対象としたプロアーティスト部門では、日本出身のイラストレーター、コミックアーティストであるタケダ サナが選ばれた。現時点でSF界における最高のアーティストとしての称号を手にしたことになる。
グラフィックノベルやコミック作品を対象にしたグラフィックストーリー部門には、アイズナー賞でも最優秀長編作品賞に輝いた、マージョリー・リュー&タケダ サナの『モンストレス Vol.2 (原題: Mostress, Volume 2: The Blood)』が選ばれた。『モンストレス』は昨年に引き続き二年連続の受賞。タケダ サナはプロアーティスト部門と共にヒューゴー賞二冠を達成した

長編映像部門に『ワンダーウーマン』

長編映像部門に選ばれたのは『ワンダーウーマン』。こちらも女性監督の作品が選ばれる結果に。アメコミ作品としては2015年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以来、DC作品としては1979年の『スーパーマン』以来の受賞となった。また、半商業誌を対象としたセミプロジン部門では、『Uncanny Magazine』が三連覇を達成している。

ヒューゴー賞はSF最高賞の一つとして知られている。SF作家や編集者などの関係者の投票によって選ばれるネビュラ賞に対し、ヒューゴー賞ではSFファンの投票によって受賞者および受賞作品が選ばれる。

2018年度のヒューゴー賞受賞作品および受賞者は以下の通り。

長編小説部門
N・K・ジェミシン『The Stone Sky』

中長編小説部門
マーサ・ウェルス「All Systems Red」

中編小説部門
スザンヌ・パーマー「The Secret Life of Bots」

短編小説部門
レベッカ・ローンホース「Welcome to Your Authentic Indian Experience」

シリーズ部門
ロイス・マクマスター・ビジョルド「World of the Five Gods」

関連書籍部門
アーシュラ・K・ル=グウィン『No Time to Spare』

グラフィックストーリー部門
マージョリー・リュー、タケダ サナ『モンストレス Vol.2 (原題: Mostress, Volume 2: The Blood)』

長編映像部門
アラン・ハインバーグ 脚本、ザック・スナイダー、アラン・ハインバーグ、ジェイソン・フュークス 原案、パティ・ジェンキンス 監督『ワンダーウーマン』

短編映像部門 (90分以内)
ジョシュ・シーゲル、ディラン・モーガン 脚本、ディーン・ホランド 監督「The Good Place: “The Trolley Problem”」

プロアーティスト部門
タケダ サナ

短編編集者部門
マイケル・ダミアン・トーマス

長編編集者部門
シェイラ・E・ギルバート

セミプロジン部門 (半商業誌)
リン・M・トーマス、マイケル・ダミアン・トーマス、ミチ・トロタ、ジュリア・リオス 編集、エリカ・エンサイン、スティーブン・スチャパンスキー ポッドキャスト製作『Uncanny Magazine』

ファンジン部門(非商業
マイク・グライヤー編集『File 770』

ファンアーティスト部門(非商業アーティスト)
ジェニーバ・ベントン

ファンライター部門(非商業ライター)
サラ・ゲイリー

ファンキャスト部門(非商業オーディオ・ビデオ部門)
ムア・ラファティ、マット・ウォレス『Ditch Diggers』

ヒューゴー賞と共に発表されたその他の賞

ジョン・W・キャンベル新人賞
レベッカ・ローンホース

WSFS ベスト・ヤングアダルト・ブック賞
ンネディ・オコラファー『Akata Warrior』

Source
The Hugo Awards

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