第54回星雲賞発表 日本長編部門は長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』 メディア部門に『シン・ウルトラマン』 | VG+ (バゴプラ)

第54回星雲賞発表 日本長編部門は長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』 メディア部門に『シン・ウルトラマン』

第54回星雲賞各部門の受賞作が発表

2023年8月5日(土)、埼玉県の浦和コミュニティセンターで開催されている第61回日本SF大会 Sci-con2023にて、第54回星雲賞の受賞作および受賞者が発表された。星雲賞は日本で最も歴史が長いSF賞で、毎年日本SF大会の参加者の投票によって受賞作および受賞者が選ばれる。

2022年発表の作品を対象にした第54回星雲賞で日本長編部門に選ばれたのは、長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』。星雲賞で候補作に入ったのは今回が6回目で、晴れて初受賞となったことを喜んだ。また、今後も受賞に恥じない作品を書いていきたいと語り、家族への感謝も語った。

日本短編部門を受賞したのは春暮康一「法治の獣」。早川書房編集者の井出聡司が春暮康一からのコメントを代読し、デビュー前に書いた本作が星雲賞を受賞したこと、「みんな変な生き物が好きなんだ」と感じられたことの喜びを伝えた。

海外長編部門に選ばれたのはアイザック・アシモフ『銀河帝国の興亡』全3巻(訳:鍛治靖子, 東京創元社)。新訳版で受賞した鍛治靖子は、70年前の本作が星雲賞を受賞した要因として、Apple TV+で『ファウンデーション』としてドラマ化されたことを挙げた。アシモフは初の星雲賞長編部門受賞になるという。

海外短編部門に選ばれたのはサラ・ピンスカー「いずれすべては海の中に」(訳:市田泉, 竹書房)劉慈欣「流浪地球」(訳:大森望、古市雅子, KADOKAWA)。「いずれすべては海の中に」訳者の市田泉は、邦訳を楽しみにしていた作品を自身が担当できたことの幸運に触れ、同作の力強さと細やかさ、そして作者の音楽的バックグラウンドという魅力について語った。「流浪地球」の翻訳を担当した古市雅子は、中国在住でゼロコロナ政策の中で翻訳作業に取り組んだ本作を「特別な作品」と語った。劉慈欣の星雲賞受賞が4度目になることに触れ、サラ・ピンスカーとの同時受賞を「感慨深い」と語っている。

メディア部門を受賞したのは『シン・ウルトラマン』(監督:樋口真嗣)。受賞した樋口監督が登壇し、ダイコンからの縁である日本SF大会への想いを語った。

コミック部門には魚豊『チ。ー地球の運動についてー』(小学館)が選ばれている。登壇した魚豊は、「疑うこと」と「信じること」をテーマに書かれた同作がサイエンスフィクションとして評価されたことに謝意を述べた。

アート部門には鶴田謙二加藤直之の二人が選ばれた。4度目の受賞となった鶴田謙二は受賞の挨拶でデビュー当初から「何を描いてもいいけどSFはダメ」と言われていたことに触れ、「分かってくれていたのはSFファン」と感謝を述べた。

ノンフィクション部門は『地球の歩き方 ムー 〜異世界(パラレルワールド)の歩き方〜』(地球の歩き方編集室)。株式会社地球の歩き方代表の新井邦弘は幼い頃に小松左京などを読んでいたSFとの縁について語った。

なお、自由部門は該当作なしとなっている。

第54回星雲賞受賞作

日本長編部門
長谷敏司『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房)

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日本短編部門
春暮康一「法治の獣」(『法治の獣』(早川書房) 収録)

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海外長編部門
アイザック・アシモフ『銀河帝国の興亡』全3巻(訳:鍛治靖子)

¥836 (2024/05/02 20:39:41時点 Amazon調べ-詳細)

海外短編部門
サラ・ピンスカー「いずれすべては海の中に」(訳:市田泉)
劉慈欣「流浪地球」(訳:大森望、古市雅子)

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コミック部門
魚豊『チ。ー地球の運動についてー』(全8巻 小学館)

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メディア部門
『シン・ウルトラマン』(監督:樋口真嗣、「シン・ウルトラマン」製作委員会)

シン・ウルトラマン

ノンフィクション部門
『地球の歩き方 ムー 〜異世界(パラレルワールド)の歩き方〜』(地球の歩き方編集室)

アート部門
鶴田謙二
加藤直之

自由部門
該当なし

前年の受賞作はこちらから。

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